カンフーハッスル!
強く悪であるものが栄える混沌の世情。法も秩序も、強弱と言う事実の前に力を持たない時代。弱く貧しすぎるがゆえに平穏だった貧民街に、強くあろう悪であろうと願うチンピラが現れる。
彼が最強最悪のギャング・斧頭会の名を騙り、折悪く本物の斧頭会が姿を表す事で、しかし黙認の上に成り立つ平和は破られる。身を守る力もないと思われた住民の中から立ち現れる三達人。次々と立ち現れるカンフーの達人達の繰り広げる決闘の最中。悪と善に引き裂かれ、チンピラの心は目覚めのきっかけを待っていた…。
この映画、大マジです。
小林サッカーがまずもってアクションコメディを目標にしていたとしたら、カンフーハッスルが目指しているのはカンフー映画の再生。ハリウッド映画で言う、往年の名作のリバイバルと言う視点で捉えるべきなのかもと思います。
ここで頼りないのは自分がその辺りの映画を見ていない事なんですが。むしろ「ジャイアントロボの十傑衆や、シャッフル同盟の動きを実写にしたらかくのごときか」と思うのも。今川監督作品の中の、香港映画な部分に似ていると思う所以なのでしょう。
映像的な衝撃度は増量ものですが、やはり見る方として身構えてしまっている分は割り引かれてしまいます。むしろ派手な演出よりも、三達人や家主(特に亭主のほう)の、軽く重く凄みのある立ち会いに引き込まれます。豚小屋砦のミニチュア感や、迫る刺客の陰と言った地味な部分の気合の入り具合にも。
何も考えずに突拍子のない映像を目当てに見に行くことが正解、とは言い兼ねるかも知れません。それで楽しめるか楽しめないかは、人によるところ大。ただ、「あれはこうなのかな」と考え込むと、深く静かに面白い。なんていうか宣伝のされ方のせいで損してないかなあ、と思うそんな映画です。
あ、パンフレットは見終わった後に読んでください。これ絶対。
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