コンスタンティン
一般的なヒーローが、「怪物」と「もっと怪物」の物語だとすれば、これは人間と「もっと怪物」の物語ではないでしょうか。
人間界、ここは神と悪魔の遊戯板。「取り決め」で直接介入をしない事にしている彼等は、それぞれの代理人ハーフブリードを地上に送り込み、あるいは救済し、あるいは破滅させ、幾多の人間たちの人生を転がし続けてきた。
世界の裏側を知るわずかな人間達はその均衡の絶対を信じ、そして殆どの人間は世界の裏に気付きもしない。只一人、己の為に悪魔祓いを続ける男コンスタンティンだけが、それに疑いを抱き始める…。
終始陰鬱かつ沈痛で、薄暗い映像。荒廃しているにも拘わらず、地上にも勝る様式美を放つ地獄の光景。そこに巣くう亡者。圧倒的な超越者の君臨する圧迫された世界観は、キリスト教的宇宙をたたき台に、クトゥルフ神話を展開している様な印象です。と言ってもダーレスですが。デビルマンって言ってる人もいますけど、どっちかって言うとゴッドサイダーかな。
面白いのは主人公ジョン・コンスタンティン。近頃あまり見慣れないタイプです。何しろさして強くない。霊視といくつかの魔法のほかは、聖遺物を武器に改造した怪しげな武器を持つ、言わば「裏側を知りすぎた」だけの、小さな人間に過ぎない。
では意志の力で不可能を可能にする凡人なのかと言えば。彼は決して、自分の意志で未来を切り開くタイプでもない。ヘビースモーカーが原因で肺ガンになり、どれだけ働けば救われるのかとガブリエルに食ってかかれば、お前自己中心的だから駄目だとか言われる始末。強くもなく、不屈の意志もない。負の、ではなく、欠如している、と言う意味で、アンチヒロイックな存在であります。じゃあ見苦しいか、格好悪いかと言えば、決してそんなことはない。
前評判が高すぎて、反動でアレな評価になるんじゃないかとその辺が不安なんですが。キアヌ・リーブスが黒いスーツで出てくる時点でもう「マトリックスと比して」となる気もすごくするんですが。まあそれは仕方のないこととして。
ある程度のキリスト教の… と言うか、オカルト方面の基礎知識が頭に入っていれば、しっかり話に食いついて行けると思います。まあ、多少ギアが入るまでは時間がかかるんですが。憎めないが慕えない主人公と、頼りにするには怪しげにすぎる仲間達。そして決して揺るぎなく、世界を支配する超越者のルール。その狭間で苦闘する人間たちの様は、「クトゥルフの呼び声」が好きだった人なら、きっと気に入ることが出来るはずだと思います。
以下は余言。
セブンイレブンとクイズノサブが並んで建ってるシーンがあったけど、スポンサーだったのかしら。アンジェラの家のパソコンはmacだったし。
コンスタンティン家のお風呂にも、あひる隊長が。真剣なシーンなのにあひるに目が行きました。
後そうそう、スタッフロールが終わるまでちゃんと見て行きましょう。結構重要です。
参考になったサイト様:
【追記】
mixiのお勧めレビューを書こうと思ったら、検索に引っかかりません。あれれ?
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コメント
こんにちわ★
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ではこれからも頑張って下さい☆
投稿: 人気BLOGRANK | 2005.04.16 18:30
む。面白そうですね。かなり見たいかも。
> 前評判が高すぎて
こんな映画がやっている事自体知らなかったので、心配無用です(笑)
でも前評判が高いとすると、しばらくは混雑に気をつけた方が良さそうですね。
> 「マトリックスと比して」
マトリックスは未見なのでこれまた問題ありません(笑)
> ある程度のキリスト教の… と言うか、オカルト方面の基礎知識
不安要素はこれですかね。
ちょっと勉強してから行くべきかな。
投稿: 烏羽@掛田鈴子 | 2005.04.17 22:19
あー、キリスト教の知識って言っても、本当ーの本当ーに基本的なところさえ押さえておけば大丈夫です。
具体的に言うと、四大天使の名前とか、ルシファー=サタンである事とか、ロンギヌスの槍が、キリスト教の脇腹をつついた槍の名前で、ヒトラーがそれを分捕ったけど、戦後は行方不明になった説とか(「ヘルボーイ」でもやってましたが、本当に定番ネタなんですな)、本当にその程度で大丈夫です。
自殺がカトリックで大罪であることとか、その辺のファクターは作中で説明してくれるので全く問題ありません。
このくらいならあえて言うまでもないかなーと思っていたんですが、「女神転生」世代じゃない人はひょっとすると知らない可能性もあるかな、と思って。
と言ってて不意に気付きましたが、あの世界観は女神転生に色濃く相通じますね。特に真・女神転生I。
投稿: sn | 2005.04.17 23:58