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2005.05.31

BATMAN YEAR ONE

 バットマンはひとりなのか?

 読んでから、なんとなくそんなことを考え始めました。かつて小学館からも和訳が出たことのある、フランク・ミラーの傑作です。
 闇の騎士、ゴッサムの守り手。地上最高の探偵にしてクライムファイター、バットマン。つとに知られた彼のオリジンを語りなおし、バットマン一年生(うわすげえ表現)を通して描いた物語であります。
 今よりも欲望と犯罪が渦巻いていた、かつてのゴッサムシティ。二人の男が時を同じくして街に現れた。一人は他所者として。一人は帰国者として。
 彼等はそれぞれの事情を、それぞれの理由を抱えながら、ゴッサムシティで新たな生活を選び取る。それは戦いの生活、ゴッサムシティと言う街、そのものと対決する生き様。
 警察が、市長が、本部長が、ギャングが、街の全てを敵に回したかの如き有様の中で、過ちを犯し無力感に苛まれながらも打ち続く苦闘の日々。
 ジム・ゴードン、ブルース・ウェイン。ゴッサムを守る二人の男の、それは若き日の物語。

 てなわけで、地味ながらも(先に断っておきますが)、細やかで丁寧な物語であります。物語の中でコスチュームを着ているのは、バットマンとあと一人だけ。チンピラ、警察、汚職、無理解と暴力、そんな街の歪んだ構造そのものが、バットマンとジム・ゴードンに襲い掛かります。
 わけても、のちの本部長、ゴードン警部補の苦闘ぶりは察するに余りあるものがあります。ブルース・ウェインとバットマンと言う、二つの顔を時に応じて使い分けられる、いわば恵まれた存在であるバットマンに対し、周囲全てがぐるり敵… と言う環境の中で。少しずつ味方を増やし、たゆまぬ戦いを続けた彼。
 この物語の構造そのものがそうなんですが、バットマンはひとりなのか? と。なんとなく、そんなことを考えてしまいます。
 イヤーツーって続きがあるそうですけど… むむん。気になりますな。
 

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