折り紙は地を離れ(☆☆☆★)
リンク: CeBIT 2006レポート.
テイザー広告でユーザーをじらすこと二週間。3月9日、マイクロソフトによって発表された謎の新デバイス・Origami。その正体は、超小型化したタブレットPCとも言える新デバイス、UMPC(Ultra Mobile PC)でした。
インテルのシンガー副社長が、インタビューで見せていたのと同じものが、会場での発表会にあったようですね。
このニュースが流れた時、VAIO Uと比較してスポイルされた、既存の技術ではたいした物は出来ない、などの声が聞かれた訳なんですが。これは的を得ていない批判だと、自分としては思います。
重要なのは、VAIO Uは… と言うよりウルトラサブノートと言うカテゴリは… 今はもうほとんどない、と言うことです。この分野の雄と言うべきVAIO C1は既に亡く、インターリンクも生産完了。ひとりリブレットU100が気を吐き、周辺分野の超小型タブレットPCとして、LOOX Pがついこのあいだ発売されたばかりです。OQOは日本にも輸入されている(いた)らしいですが、実機を見かけたことはないですね……。
まあ、言うまでもなく、売れなかったからでしょうね。専用設計とこだわりの技術をふんだんに投入し小型化したものの、コストに似合う売り上げは得られなかったわけです。
超小型PCがもっとも求められるのは日本市場のはずなのですが、それでもA5クラスまで小型化したPCは…… 例えば僕とかみたいな…… 一部の物好きの買うものであった訳ですからして。
しかし超小型ノートが停滞している間に、市場の雰囲気もずいぶん変わりました。
携帯で常時メールをやりとりしているのは普通に見かける風景となり、ウィルコムは通信モジュールを内蔵したW-ZERO3を発売し、これがかなりの売れ行きとなりました。
動画を「持ち出す」と言う考え方は、数年来のテレビパソコンの普及やDVDレコーダの一般化、そして(それこそ、当初Origamiの仮想敵と見なされていた)ビデオipodや、それにPSPと言う、持ち出し先の普及により、裾野はじょじょに広がりつつあります。もちろん
より重要な事に、PCからの録画をかんたんに転送できるインスタントな手段がかんたんに手に入るようになってきました。録画を好きな時に見るタイムシフトから、好きなときに好きな場所で見る、タイム&プレースシフトに…… 変な単語勝手に考えましたけど、こりゃロケーションフリーですね…… へと、着実に要望は深化しています。
その需要の、受け手となるハードのほうはどうでしょう。ミニノートは弱体化しつつあり、PDAは潜在的な需要を感じさせつつも市場はそれほどでもなく、Palmが栄えた時代はもはや前世の夢です。
ウィンドウズCEにはじまる一連のOSは、ウィンドウズに外見を似せるように努力を…… 最大限の努力を払ってきたように思いますが、それでも、似てくれば似てくるほど、違うところが目についてしまい、「ウィンドウズとは違う」と言う印象を強くしてしまったような気がします。人形の目と人間の目が、似せれば似せるほど違いが際立ってしまう丁度そのように。
そしてタブレットPCは…… 実際使ったことのある人は少数派だと思いますが…… ビジネス向けであり比較的高価でもあることから一般に普及せず、一般に普及しないから使った人も少なく、購入者も伸びない、と言う、よくないスパイラルに陥っていました。
触って試せば、これは非常に非常におっもしろいデバイスなんですけどね。
タブレットPCを一般市場に売り込みたい、と言う上からの方向と、ちょうど狙うべき市場…… 日本市場で言う「超小型ノートPC」と言うカテゴリが、競合対象の存在しない空白状態であること。
「なんに使うのか?」と言う疑問点に関しては、メールやウェブ閲覧と言う従来の答えに加え、音楽や動画の再生、と言う新しい回答が既に用意されています。
向こうはipodに音楽を持ち出すけど、こちとらiTunesをそのまま持ち出すんだ、ってなとこですな。Origamiよりipodの方がHDD容量から大きそうなところが、ちょっと切ないですが。
超小型PC好きとして、そしてまたタブレットPCフェローとして(どちらもライトですが)。絶滅した、あるいは将来のあやしいカテゴリにてこ入れしてくれるのは、嬉しい限りです。
そんなわけで、Origamiには是非頑張ってほしいと思う自分がいます。
問題はやはりまず価格、次に稼働時間、そして重量サイズその他もろもろでしょうか。
稼働時間や重量は、今後改良型が出れば逐次改善されていくでしょうが、価格でつまずくと、そもそも「今後」がなくなってしまいます。
価格に対する反応としては、昏昏機関さんの記事で、サムスン製品の予価に疑念が呈されておりました。
それによれば予価は1400ユーロ、日本円換算で198,000円弱。……ううん。これでは、買う人は買うけど、買わない人は買わないですな。買う人とはつまり、それがいくらだろうが買う人ということで。
仰るとおり、HDDザウルス級の価格($599~$999、日本円で71,000~120,000円位)であれば、「買わない人」もある程度食指が動くような気もするのですが…… 何の興味もない人を呼び込む(カテゴリとして成立するには、是が非でもそうならなければなりませんが)、背中をさらに強く押す必要がありそうですね。
そうか。これ、ロボットの制御にも使えますよね。VAIO U使ってる方、お見かけしたような記憶がありますし。
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コメント
そうそう、【誰もが欲しくなる】のは機能よりも価格が大事だったりしますよね。へえ、そんなことできるの!それはいいかも!だけではそれで終わっちゃうけど、買うかどうかは、その価格ならいいよね、と言わせないと。
投稿: Aruyo | 2006.03.11 22:36
やっぱり価格ですよねー。
そうなると、まがりなりにもそういう規格を打ち出した事で、スケールメリットを見込む、と言う戦略は正しいのやも知れません。
現状で出ている試作機の価格を見ると、なんか不安が誘われちゃうので。ここは戦略的な値付けを期待したいところですね。
私的には、バッテリ駆動時間も気になるところなんですけどね。
携帯電話みたいな「有料公衆コンセント」が、一般化してくれないかなァ。とか思っている昨今です。
ファーストフードとかにあって、ご飯食べてるあいだ充電させてくれるとか。
投稿: sn | 2006.03.12 21:14