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2006.04.22

Vフォー・ヴェンデッタ(☆☆☆☆)

「悪が勝利する唯一の条件は、善良な人々が何も行動しないことだ」

 と言うわけで見てきましたVフォー・ヴェンデッタ。六本木の東宝シネマズでは、実験的にデジタル映像で上映しております。らしいです。
 あの大画面で圧縮映像見たら、さすがにブロックノイズとか目につかないかな、とか思っていたのですが、僕が見ている限りでは気になりませんでしたよ。
 途中で気になるシーンはあったんですが、「テレビ会議やってる相手の顔」のシーンだったので、もともとそういう演出だったんだろうと納得。むしろ、字幕の字が異常にハイビジョンな感じでくっきりしてて、そっちにびっくりしましたが。

 ロンドン、イギリス。2020年。第三次世界大戦の戦勝国。核戦争を勝ち抜き、アメリカを解体して植民地化すらしたその国家は、繁栄と引き換えに自由を引き渡した世界だった。
 監視カメラと盗聴器、そしてテレビの向こうの独裁者に支配され、権力の末端がほしいままに振舞う世界。自警団にからまれた女性イヴィーを救けたのは、仮面とマントを身に纏い、銃すら使わず敵と戦う男V。

 大仰な振る舞いは、さながら時代を間違えた怪盗のよう。街中にクラシックを響かせて裁判所を爆破し、電波ジャックどころかテレビ局を占拠して犯行声明を流す有様。
 国を揺るがす仮面の怪人、追いかけるのは名探偵フィンチ警部とその相棒。Vの完全犯罪は成るのか、それとも刑事がそれを阻むのか。予告状の指定した刻限は1年後- 11月5日、ガイ・フォークス・デイ。
 彼が目指す完全犯罪は、窃盗でもなく爆破でもない。、誘拐でもあり連続殺人でもあり、しかしその罪状の名は「国家反逆罪」。

 国家転覆を企む仮面のテロリスト・Vと、彼に翻弄され、霍乱される、ファシスト的な全体主義イギリス政権。
 陰に陽に戦いを繰り広げる両者、そしてその両者の狭間で翻弄されつつも、それぞれの信じるままに動き続ける、イヴィーやフィンチ警部といった人々。
 社会に対し、個人はいかに闘うべきなのか、全体主義とテロリズムの対峙といった、過去においては空想の産物だった「暗澹で憂鬱な近未来」を、ストレートに叩き付けてきた、そんな作品です。

 これは評を書くと、ストレートに書いた人の内側が出てきそうな感じの映画ですね。Vは未来の世代に期待をつなぐ革命家である一方、自分の復讐のために政府要人を次々と殺害していく復讐鬼でもある。それを「革命のために現政権の人間を殺している」と考えるのか、単に義憤に駆られてなのか、それとも自分の復讐のためだけなのか。

 折り目正しいヒーローと言うわけでは全然ないし、タフな台詞を吐くアウトローでもない。時代がかった台詞や、児戯じみたことに熱中する面はむしろ、狂気に食われかけたヴィランに相通じるものがあります。
作中、よく彼が「他に方法がなかった」と言いますけども、「本当かよ他に思いつかなかったのかよ!?」と突っ込みたくなるやも知れません。いや多分突っ込んでいいとこだ。

 いろんな人物が出てきますが、僕が一番好きだったのはフィンチ警部。Vの正体を探るため、探偵として当然あるべき行動を取るのですが、狂気に蝕まれた世界では、「当然」であるはずの行動は制限され罪となる。そういう中でタフさを見せる、かっこいい太っちょであります。
 なんか「ドラキュラ紀元」のマッケンジーを思い出しましたですよ。

 ウォシャウスキー兄弟と言うことで、マトリックスがよく引き合いに出されますが、確かにこれは、一番最初のマトリックス… 3部作って言われる前の… の雰囲気に近いのかも知れません。
 テレビ局を占拠した、Vの放送の文句に、ふと冒頭の一文を思い出してもみたりします。

 この状況(全体主義国家となったイギリス)を作り出した、本当の責任者の顔を見たければ…… どうしろ、とVは言ったのか?
 その台詞を心に刺して、映画館を後にした日でありました。

 あ、ナタリー・ポートマンは本当にバリカンで髪剃ったそうですよ。撮り直しがきかない一発撮りで。
 本人は「いっぺんやってみたかった。気持ちよかった」由でした。

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コメント

n sさん、はじめまして。 長文失礼します。
冒頭の一文もいいですね。コミックの映画化で期待せずに観た為か、思った以上に楽しめました。「革命」か「復讐」か?の問い掛けなど深遠なテーマも印象的ですね。女性視点からは華がないとも言われる、フィンチ警部も確かにイイ味を出していましたよね。「作家はウソで真実を語る」など、W兄弟・脚本の含みのあるセリフも印象的でした。(DVDで、Vがイヴィーに自己紹介する場面を英語字幕で観ると面白いですよ。)

近未来という設定ですが、映画の中の「マスコミ操作」や「官製テロ」を現実と重ねると、今年公開された「意味」や、製作者の本当の「意図」が見えてくるかもしれません…。 ディラン・エイヴリー青年(23歳)が監督し、最もポピュラーな9.11検証シンボル映画「LOOSE CHANGE 2ND = ルース・チェインジ」で、「9/11 Truthムーブメント」の衝撃が世界に広がっていますが、ご存知ですか? 夏完成の「LC 2ND Recut」などで、Vのように「集まろう」呼び掛けました。(平和的にですが。) 「仮面」の代わりが「黒のTシャツ」です。

06年の9月11日の再調査要求・NYデモと、次の日にその様子を伝えたはずのニュース。(デモ参加者の人数の映し方の違いに着目…。) 9月11日は来年もやって来ます。
http://www.911podcasts.com/files/video/TalkingAboutaRevolution.wmv
http://www.911podcasts.com/files/video/Zahn_LC.wmv

DVD発売前から「LC2」吹き替え版の「無料」ダウンロードが各所で開始されています。日本語版の検索語「LOOSEチェンジ」の各国での報道などは、下記BBSの11/22を。ご参考になればと。 尚、本文内容やLINK先とは利害関係はありません。
http://www.wa3w.com/911/index.html
http://bbs9.fc2.com/php/e.php/cinepro/
http://www.harmonicslife.net/gallery/main.php?g2_itemId=775

投稿: W・R | 2006.12.13 02:00

 コメント、ありがとうございますー。
 アラン・ムーア原作作品は数多いですけど、『リーグ・オブ・レジェンド』に比べると原作に忠実で、その分ポリティカルな要素が強いですよね(あっちはあっちで大好きなんですが)。
 この手の最終兵器は『ウォッチメン』だと思うんですが、映画化が頓挫している(らしい)のは残念でなりません。who watched watchmenってなもので。

 ご教授頂いた映画に関しても、確認させていただきたいと思いますー。

投稿: sn | 2006.12.14 00:02

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V for Vendetta 去年の今頃はこんな映画が上映されていました。 コンスタンティン - CONSTANTINE そして今年がこれ。かたや天国と地獄の代理戦争を行う、善側に荷担するも天国行きは拒まれているエージェント、かたや全体主義の独裁政権打倒を標榜するも、自分自身の復讐も兼ねて活動するアナーキストという、妙で極端な倫理観のあるところが共通点。こういうのは同じく共通点である、漫画が原作という点に由来しているのだろうか? しかし侮れない。前者はほとんど完全に娯楽映画でしたが、後者は娯... [続きを読む]

受信: 2006.04.30 00:22

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