宇宙世紀と言う沃野、そこに眠る可能性(☆☆☆)
リンク: Amazon.co.jp:機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより (1)カドカワコミックスAエース: 本.
MSもない、ニュータイプもない、しかし確かに感じる宇宙世紀のこの響き。
Zガンダム(劇場版)の舞台裏で、カイ・シデンは誰と会い、何をしていたのか、を描くこの連作。いやー、こんな面白いのやってたんですな。全然気付きませんでした。
長く続いたシリーズものってだいたいそうだとは思うんですが、ガンダムって言うのは、時間的な広がりよりも、空間的な広がりって言う方の軸足が大きいですよね。
時間的って言うのは、ウルトラマンの後にウルトラセブンが来て、そのあとに新マンとかが… 日本なら日本で、同一の場所があって、そこの時間軸上にいろんな事件が起きていた、と言う感じで。
それに対して空間的って言うのは、一年戦争、って言う同一の時間がまずあって、この日この時には北米でこの人が、オーストラリアではこの部隊が、って言う、そういう広がり方をしていくシリーズで。既に起きている別の物語を側面として取り入れながら、設定や物語が、じょじょに重層になっていく、と言う感じですね。
ただこの「空間的」って広がり方はクセモノで。ガンダムを題材に取り、いかにもガンダム的な物語… 孤独に転戦する遊撃部隊… みたいな話を投入してしまうと。空間的に物語が広がる以上、同一の時間軸に「いままで未知だったガンダム」が一個、どうしてもぽこって増えちゃう感じになるんですよね。
アレックスがたぶん元祖で、陸戦ガンダムがその際たる例ですが、ブルーディスティニーでありガンダム4号機5号機でありマドロックであり、あげくのはてにピクシーであったりもする訳ですけども。
ガンダムや一年戦争を題材に取るとき、そこを土壌に作り出すものが、「ガンダム的なもの」ばかりって言うのもなあ。と、そんな風に時々思っていたので、デイアフタートゥモローの、この切り口は斬新でいいですねー。
ギレンの野望を初めて遊んだ時や、ガンダムNOVELSを強烈に進められて読んだ時の、その感触が蘇る気がします。
二巻で完結とのことですが、楽しみですねー。わくわく。
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コメント
ウルトラマン、ウルトラセブンは製作当時から見ての近未来を舞台に作られていました。一方で帰ってきたウルトラマンは製作時期をリアルタイムに反映していたのです。
つまりは、帰ってきたウルトラマンよりマンやセブンはずっと未来の物語であるという矛盾がある訳です。
と、かなり見当違いなレスを入れてみました次第。
投稿: サンドマン | 2006.04.25 03:33
「デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポート」…「いけV」の「カテ公」、「マーベットさん」で一世を風靡した(でも「12月31日の決意」とかシリアス系も良かったんですよ…というか、そっちが「サイバーコミック」でのガンダム短編デビューかな?)「ことぶきつかさ」氏の新作で、第1話(ハヤトの結婚式)の連載から楽しく読んでました(「Zガンダムエース」、「ガンダムエース」の連載です)。「新訳Z」での「カイ・シデン」の地味な活躍が(自分的には)本コミックを意識させて嬉しかったですね。
いよいよ単行本という事で楽しみにしてました。あと終了しましたが「ガンダムエース」の「夏元雅人」さんのコミックも面白かったです。そっち関係は読んでないと思いますが、意外なコミック・小説が満載なんですよ。
ガンダムゲーム・映像ソフトで、ガンダムが出るのは商売上仕方ないですが(最近は「MS-iGLOO」とか出せるようになったですね)DCの「コロニーの落ちた地で…」は敢えて「ガンダム」に乗せなった名作ですね(確かフリーモードでも乗せなかった剛の者だったはず)。
ちなみに「ウルトラセブン」はもう過去の話になりました…「鉄腕アトム」と同じく。「ジェッターマルス」が2015年…自律型アンドロイドはまだまだ無理だな。
投稿: 宙 未来 | 2006.04.25 22:08
未来の話が過去に、と言うと、「夏への扉」読んだときが一番ショックでしたね。
ドラフターが自動化されてる、って言う発想は、リニアに未来を考えたらそうなるんだろうなあ、って言う感じですけど。破壊するために車を生産してる工場の話なんかは、今聞いてもどきっとするものがありますね。
文化女中機にはじりじり近付きつつあるようで、どっちかって言うとコールドスリープの方が遠そうですねー。
投稿: sn | 2006.04.29 18:39