暗号攻防史:或いは暗号の欧州史(☆☆☆)
リンク: Amazon.co.jp:暗号攻防史文春文庫: 本.
バットマンの敵の一人にリドラーと言う人がおりまして、その本名はエドワード・ニグマと言います。イニシャルで言うとE.ニグマ、つまりエニグマから取っているわけですね。
さてエニグマと言えば、第二次大戦中にドイツ軍が使った、たぶん暗号機としては世界一有名なソレなわけです。wikipediaにも詳しい解説がありますが。
エニグマと、これもドイツがらみのツィンマーマン暗号をキーにして、古今の暗号の仕組みや暗号絡みの歴史、特にいかにして暗号は解析されてきたか(原題はずばりcodebreaking、暗号解読)を、まるで参考書のように判りやすく教えてくれる面白い本であります。
特に各章の解説には、まるで例題のように暗号文が配置されていたりして、かなり面白。
暗号そのものと暗号史をバランスよく配していて、最後は電子マネーや電子署名、公開鍵などの仕組みまで踏み込んでの解説。ドイツでの電子マネー事情などもちょっと触れられてたりして。
要はダ・ヴィンチ・コードからの連想で読み始めたわけですが。
当たり前のようですが、「暗号」と言うものは、解読される事を前提に作られる事、そして解法が必ずある、非常に精密なものである、と言う事がよくわかります。暗号と言うものには、仕組まれたミスリードはあっても、複数の答えはあるはずはないのです。
誰に向けてのものなのか、定型的な解法はあるのか、恣意的な解釈の入り込む余地がないか? 「~の暗号」と言うものが、そんな暗号と呼べる要件を満たしているかどうか? まずは暗号について勉強してみてから、「~は暗号だった!」と言う本を読んでみるのもいかがでしょうか。そんな書評欄風の纏めに入りたくなる、面白い本でありました。
仕事中、こっそりエクセルのマクロで暗号化/復号化マクロを作って遊んでみようと思ったら、意外に忙しくて野望頓挫でした。カエサル式を途中まで作りかけたんですが。くそう(働け)。
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