土曜の九時の映画館はかつてないほど混んでいて。(☆☆☆)
建物になんかでっかい広告が。
公開日の朝一に置き出して、見てきましたダ・ヴィンチ・コード。
トム・ハンクスにイアン・マッケランにジャン・レノ、渋いところでアルフレッド・モリーナ。ヒロインはアメリの人だしシラスの役はポール・ベタニー。……マスター・アンド・コマンダーの人じゃないスか。この映画大好きだったはずなのに、思い出せなかったとは不覚の至り。
元々の小説を読んだ観想が、「この原作、映画にしやすそうだなあ」だったわけで。その通りかなあ、とわくわくしながら見に行ったわけですが。冒頭からして、そうそう、やっぱりこう来なくちゃ、と言う始まり方で。
筋書き的には、原作をそのままなぞっても良さそうな感じなんですけども、やはりかなりはしょられている様子。そんなこんなで、ラングドン一行の訪問先が一寸減っていたりしています。
特に、一行を追いかけるファーシュ警部の立ち位置が原作と微妙に変わっていまして。それが筋立てに結構な変化を出しています。ジャン・レノの出番が増えて、これはこれで嬉しいんですが、あおりを食ったのか、相棒のコレ警部補(この人もいいキャラなのになあ)の出番が減ってしまっていたのが、一寸残念。
それにしても、ファーシュ警部が他の登場人物の出番(アリンガローサとか)を食ってしまったのと、元より嫌なキャラになってる嫌いがあるので……。是非原作も併せて読んであげてください。
リー・ティービングのイアン・マッケランはさすがの存在感。原作を読んだイメージだと、もっと太ってる感じだったんですが(モリーナがもっと年寄りなら、きっとぴったりだったんじゃないかと)、いざ喋って動き出すと、そんなことは忘れてしまう迫力です。
シャトー・ヴィレットでの、ラングドンとティービングの対話による謎解きのシーンは、元々映像化するのが難しそうな部分だろうに、原作を超える迫力で(より正直に言うとどぎつさで)迫ってきます。マッケランの迫力の為せる技ですな。
全体に、原作がフィクションである部分を薄めて、ぼかして書いていた… それだけに読むほうの妄想を書きたてた… 部分に、きっぱりとしたメッセージを打ち込んでいて、それは好感が持てる部分だと思います。ハワード監督がインタビューで、「僕自身がどう思うかを表に出さないと決心した」と言う事を書いてましたが。確かに、バランスを取る、と言う事に重点を置いて、テキストが追加されている気がします。
確か原作にはなかった台詞だと思うんですが、ラングドンは何度もこう言います。何を信じるか、だと。
さて、原作を読んでから映画を見るべきか、映画を見てから原作を読むべきか、これはちょっと難しいところです。自分は原作を読んでから映画を見た口で、映画はディティールに関しては確かに省略されている点があるので、これはなんとも言えません。
ただ、映画と原作と一方だけではなく、必ず両方を押さえてほしいなあ、と思いますね。嫌いは人は両方とも見ないと思いますけど(苦笑)、好きすぎる人には、特に両方押さえてほしいと。映画の方が後から出来ただけあって、やっぱりベクトルが補正する方向に向いてますからね。
美術品や芸術館もそうなんですけども、ラングドン一行の訪れる建造物の数々は、本物の力を圧倒的に感じます。尺の都合であっと言う間に移動せざるを得ないんですけども、一箇所一箇所をじっくり、それこそ実地で見てみたくなりますねー。
こういうのは、やはり文章ではおっつかないものがあります。ここは素直に、映画では建物の外観を、原作では「どういういわれのある建物なのか」の薀蓄を、両方から吸収するつもりで行くとよいかと思います。……その意味だと、原作を読んでから、のほうがいいのかも知れませんね。
最後に、個人的にものすごく気に入った点。時々出てくるフランス警察のパトカーの殺到ぶり。これ、必ずやの必見です。
すっごいもう。「ルパーァン! 逮捕だーっ!」ってな感じですから、ええ(笑)。
【追記】
今思い出しましたけど、そういえばX-MEN3の予告編やってませんでしたよ。
かわりに『007 カジノロワイヤル』の予告編をやってました。リメイクするんだ……。
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コメント
どうもあの「カジノロワイヤル」のリメイクではなく
小説1作目の映画化ってことみたいですけどね。
で、タイトルは「カジノ・ロワイヤル」だとか。
投稿: Ryoichi | 2006.05.21 00:52
だびんちこーど…とりあえず見に行こうとは思ってます。
暇な時にでも。
その暇がなかなか作れないんですけどね(泣)
まずは原作を読んだ方が良いのか…
20分くらい立ち読みして買うかどーか決めようと思います
(笑)
とりあえずそんなトコでひとつ
投稿: rainplug | 2006.05.21 11:35
遂に公開されましたね…小説としては面白いようですが、映画は時間が決まってますからしょうがないですね…映画「ローレライ」と小説「戦場のローレライ」はまったく別物と化してました(既に原作というより原案ですね…まんま作ったら4クール分のドラマになりますね)。
以前に書いた「ノンフィクション」は早とちりでしたが、巻頭の「芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」という文が(恣意的な物かどうかはともかく)最大のフィクションでありました。
小説の内容がフィクションなのは問題ないところです。ただ内容を本気にする人が多いのは注意すべきではないかと(SFなんかは本気にしないですがね~)…以前、友人が「テレ朝」の影響で「ムーンホークス説」を本気にしていて怖かったです。
ビリーバーな人は(キリスト教原理主義系の批判本で無く、ちゃんとした)指摘書籍も合わせて読まれた方が良いかもしれません(といっても日本の謎本のほとんどは「便乗よいしょ本」ですが…)。
参照)
・新潮45掲載「世界的ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』の嘘」
・Wikipedia「シオン修道会」
・『レンヌ・ル・シャトーの財宝伝説』(無頼出版)
http://www.voynich.com/bripub/index.html
投稿: 宙 未来 | 2006.05.21 12:31
>Ryoichiさん
おおう、フレミングの原作のほうでしたか。そういえば、007誕生秘話とか言ってたような気がします。
……007ビギンズ。あるいは007イヤーワンということで(中止)。
>rainplugさん
えーとあのー。20分立ち読みすると、一冊読み終えちゃいますよきっと(笑)。
買って読み終えた人に、借りて読むのも一つの手かと思われまする。……強く「買って」と言わないあたりで、察していただければ(笑)。
>宙未来さん
正直なところ、原作を読んだ正直な感想は「これ本気にする人いるんだ」ってところだった訳ですが(笑)。自分も昔は五島勉の本を読んで怯えたクチなので、人様のことはようけ言えませぬ。
映画は原作を見てだいぶ経ってるだけあって、突っ込みにフォローが入ってるっぽいところがあってなかなか面白いです(笑)。
投稿: sn | 2006.05.25 21:41