スケルトン探偵の事件簿。(☆☆)
例の図書館で本の確保幅が広がったもので、最近ちまちまと借りてきているのが、アーロン・エルキンズの推理小説、ギデオン・オリヴァーのシリーズです。
だいたいの本のサブタイトルが「~の骨」となっているのは、主人公ギデオンが「スケルトン探偵」と仇名されているがゆえ。人類学者のギデオンは本来、遺跡を発掘し、骨の分析を行うのが本業。偏屈な学者タイプと言うわけではなく、陽気で頑健だけど、ちょっとぼやきの多い四十男(既婚)です。
最初の仕事での活躍で「スケルトン探偵」と言う仇名をつけられたことを迷惑に思い、行く先々で事件に巻き込まれる事にぶつぶつ文句を言いつつも、妻のジュリー、人類学の師匠エイヴ、それに親友であるFBI捜査官のジョン・ロウと言う面々と、ああでもないこうでもないと意見を戦わせながら事件を解決していくことになります。
捜査の専門家と言う訳でもなく、腕っ節は弱くないはずなのに今ひとつ被害者になることが多いギデオン。彼の最大の見せ場は、骨の鑑定。事件の過程で見つかる「骨」について、それをじっくりと分析してプロファイリングを行っていきます。わかりやすく専門知識を交えて説明することで、一本の大腿骨(なんてものが出てくればいい方で)から肘の小さい骨にいたるまで、綽綽と分析しては、性別、年齢などを鮮やかに特定していきます。
例えば、肘の皿に小さい穴のある骨がある。先天的な病気かなにかか、と思って反対の肘を見ると、穴はない。するとこの人物は生前、なんらかの理由で肘を酷使していたに違いない。片方の肘だけを酷使するような理由が、なにかあるだろうか? と言う事で、被害者候補について情報を集めてみると。果たしてマイナーリーグでピッチャーの経験があった人物が行方不明になっている、と言うような、大体そんな按配です。
三冊ほど読んでみて、本によってまあ、結構当たり外れはあるような気はしますが(汗。骨、と言う切り口から、事件を捜査していく…… と言うと難解そうな雰囲気ですけど、ギデオンとジュリーの夫婦漫才じみた掛け合いも楽しい、気楽に楽しめるシリーズであります。
このエルキンズの本がまたずらっと並んでいるあたりが、くだんの図書館のまた嬉しいところで。もう少し楽しんでから、次にゆきたいと思いますー。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 2020年読書録(一部その他含む)(2020.12.31)
- あるいは謎を語る者の覚悟について:「死に山」(☆☆☆)(2019.01.24)
- 奇譚を売る店(☆☆☆)(2019.01.17)
- 湖を越えて行け、海原の覇者となれ:新・水滸後伝(☆☆☆)(2018.09.21)
- 星を渡るは九重の塔・天駆せよ法勝寺(☆☆☆)(2018.07.09)
コメント