クラーク故郷に帰る(☆☆☆)
リンク: スーパーマン リターンズ.
というわけで。昨日、実は徒歩の旅の前に見てきておりましたスーパーマンリターンズ。ちなみにパンフレットの上にあるのは、サンクスで貰ったデイリープラネットの号外なり。
いやー、面白かった! もし「やっぱり帰ってこないほうが良かった」なんて結論になったらどうしよう。とひやひやしていたのですが、これなら安心してお帰りなさいスーパーマン、てなもんです。
ひとつ間違うと冗談に見えてしまうほど、スーパーマンのスタイルがかっちり決まったブランドン・ラウス。あの格好ももちろんなんですが、クラーク・ケントでの姿がこう。いかにも純朴というか、ウドの大木というか、お人よしでニブそうな感じが、とてもばっちりはまっていていい感じでした。人でごったがえしてるとこで、片っ端から荷物をぶつけてしまい「失礼」「失礼」と延々とやっているあたりが、なんとも素敵で。
レックス・ルーサーのケビン・スペイシーも、なんていうか飛ばしっぱなしです。ひとたび口を開けば三段オチは固い彼ですが、なんていうかこう、あんまり面白すぎて心配になってきます。アレ? レックス・ルーサーって、こんな愉快なキャラだったっけ? とか、そういう感じで(笑)。
見ている時は気がつきませんでしたが、後になって考えてみると。あの様子はかなーり、オースティン・パワーズのドクター・イーヴルに似ているやも知れません。
さてストーリーは、「スーパーマン」と云う、存在自体が簡単に深刻になってしまうテーマを、スーパーマンの心の問題を軸にして、娯楽としてきっかりと書ききっています。その割り切りぶりには、好感が持てますね。スーパーマンは一寸間違うだけで、深刻な(もっと悪いことに中途半端に深刻な)話になってしまう存在だと思うがために。
それでも、脚本がスーパーマンのそういった属性について、完全にスルーしているわけではない節がところどころに見えて。そこが非常に丁寧と云うか、この映画のバランスの取れたところだと思います。
今回のスーパーマンリターンズは、映画第二作目の続きということになっています。作中では5年ぶりに地球に帰還したスーパーマンですが、現実で云うと、実に25年ぶりの帰還となります。この25年、そして5年。世界に、とりわけアメリカには、果てもなく大きな変化がありました。
この「5年」と云う時間は、たぶん、それほど深い意味もなく決められたものであると思います。それでも、彼が宇宙へ旅立ったのは、きっと9月10日より前のことだったに違いありません。
地球に戻ってきたばかりのスーパーマンが、とりあえずしたことはテレビを見た事でした。不在の5年のあいだ世界がどう変わったか、世界のニュースを次々とザッピングして、無表情に見入るスーパーマン。
一方、作中、ロイス・レインはピューリッツァー賞を受賞しています。その受賞記事の名は、「世界はなぜスーパーマンを必要としていないか?」。
勿論スーパーマンかっこいい! と云うか、スーパーマンいろんな意味で可哀想、と云うか、そういう見方で見るのがこの映画の正しい見方だと思います。もうオープニングテーマが出た瞬間に「おおーーー!」って云う感じですから。ええもう本当に。
見せ場は後半、危機迫るニューヨーク。持てる超能力をフル動員し、「災害」を次から次へと制圧していくスーパーマンの姿を見ていると、この男に相応しい敵なんかいるんだろうか、と本当に心配になるほどの八面六臂ぶり。個人的には、飛行機を無事に着陸させた後の一言が、非常にツボでした。ああ、この一言はスーパーマンじゃないと出てこないかも。とそんな感じで。
ものすごく楽しそうなケビン・スペイシーの演技と、ものすごく真っ当なブランドン・ラウスのスーパーマンっぷりに酔いしれつつ。描かれたことと、描かれていないことに思いを馳せる。思ったより深い映画だと思った、スーパーマンリターンズでした。
さ、次はX-MENだ! まさか生きてるうちに、マルチプルマンが映画に出るのを見られるとは(悪役らしいけど)。いい時代になったものです実際の話。
【追記】
テレ朝でいま、最初のスーパーマンをやってて見てますけど、リターンズでちゃんと台詞とか踏襲してるんですね。こっち先に見てるとなお面白そうです。
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