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2008.07.04

雷(☆)

 いやに蒸し暑い会社からの帰路、最寄りの駅から降りると、曇天の空に駆け抜ける紫電。雷まっさかりな有様でした。
 空一面が彼方にぱっと光ったかと思うと、今度は枝分かれした光が此方に走る。荘厳な光のショーに、思わず見入ってしまった有様でした。

 今日と言う日に生まれた自分は、雷が放電現象であることを知っています。どんなときに発生し、どうすれば危険を避けられるかも大体知っています。雷が何であるかを知っている。にも関わらず、空を駆け抜ける雷光一条を見るたびに、荘厳で圧倒的で話し合いの通じない、理不尽なまでのその力に、畏怖と美しさを感じるわけで。雷がなんであるかを知るすべもなかった古の人が、その畏と怖に、抗うことの出来ない存在、荒ぶる神を見た事は、全く自然と言えるでしょう。
 本邦のタケミカヅチ、中国道教の雷公雷神、その頂点たる九天応玄雷声普化天尊、帝釈天こと雷帝インドラ。ギリシアの最高神ゼウス、そして北欧の雷神トールと、雷の力を持つ神格は数知れません。雷を見て、まして雷が降ったのを見れば、有無も是非も問わぬその凄まじい威力に撃たれたとしても無理はないでしょう。

 興味深いのは、それら自然の神々が、時として自らの写し身である「武器」を持つことです。ヴァジュラは雷を模していると言われますし、トールには雷そのものであるトンカチのミョルニルがあります。もちろん自らに雷の力を帯びた神も数知れないのですが、「神の使う道具」と言う発想には、自然を制覇したい、あの凄まじい力を自分の自由にしたい、と言う、人間のはかりしれぬ野心が見え隠れしている気がします。
 トールハンマーと言われる通り、雷鳴を起こすミョルニルはトールにしか扱えません。ミョルニルを扱えるからこそ雷神トールなのであり、雷神トールであるからこそミョルニルを扱えるのです。本来、神と神性は不可分であり、自然は人間の力のはるか及ばぬ存在のはずでした。

 しかし、神もまた人間と同様に道具を使っているとしたら、人間は「神の道具を用いる」と言う物語を思い描く事が出来ます。実際に雷を制圧し、自由に操る事が出来なくても、「偶然ミョルニルを手にした人間」と言う物語を描く事で、あくまで概念的にはですが、雷を制圧し、雷を操る可能性を自らに持たせる事ができるわけです。

 自然の理を、神の定めたルールを解明したい、敬神の概念は、科学の精神の根源に食い込んでいる幾多のもののひとつでした。人は電気を制圧し、解明し、操る術を身につけました。いまや電気なしに、都市や国家の生活は成り立たないと言ってもいいでしょう。

 人間は雷を手にしました。人間は雷を知っています。しかし、それでもなお。本物の雷を目にした時、心駆けめぐる衝動と衝撃は。
 「あれ」を手に入れたい、同じものがほしい、と願った、はるかな古の人々の血の騒ぎの、ほんのひとにぎりの残滓のような、そんな気がするのです。

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コメント

 なるほどと感動した!! そうかそういう風に考えることもできるのかー。この路線を膨らませればひとつ物語作れるんではないでしょうか。

投稿: ジョニーこばけん | 2008.07.05 07:21

 やや、コメントありがとうございます!
 これはなんだ、カミナリ見ててそれこそ電撃的に閃いたものを文章に落とし込んでみたもので。はい、お恥ずかしい限りです(汗。こういう神話関係の話とかは大好きなもので、ついうっかり。

 ちゃんとまとまるかどうか判りませんが、近々挑戦してみます(笑)>ひとつ何かに

投稿: sn@散財 | 2008.07.06 01:16

私としてはは雷といえばだんぜんイワン雷帝ですね~
アミニズム時代のルーシにペルーンっていう雷神がいて、この神様は正教が入ってきてからも聖人の中の1人と重なって生き残ってる(だからロシア正教は多神教ともいえるんだ)
っていう話を大学で習った気がしたんだけど
今調べてみたら、イワン雷帝とは全く関係なかったorz
というか、イワン雷帝と雷もあんまり関係ないみたいです・・・

うろ覚えですが、大野晋さんの日本語語源系の新書のなかのどれかに、"カミ"(=畏怖の対象)を語根にもつ言葉の分析が載ってて、"カミナリ"にも触れてましたよ

投稿: ヨッコ | 2008.07.15 00:54

 ONE PIECEって漫画で。周りに「神」って呼ばれてる敵の一人が、雷を自在に操る能力を持ってたんですけども。
 初登場のときにその人「我は神なり」って言ってたんですよね。なんとなくそんな話を思い出した昨今です。

 ロシア正教と言うか、広くキリスト教は多神教ではないか、と言う話を前に聞いた事があります。
 逆に、ヒンズー教は神様もりだくさんに見えるけど、ヒンズー教徒的な意見としては一神教なのだとか。なかなか興味深い話です。

投稿: sn@散財 | 2008.07.16 21:23

アンチワンピース派としては、ダジャレにしか見えません>我は神なり

キリスト教は、いろんな段階で多神教の性格があると大学の宗教学の時間に習いました
1.草創期>ヤハウェ信仰が異教徒を取り込んでいく過程で、ヤハウェの配下に置かれた異教の神が「精霊」とか「ケルヴィム」?とかの表記で聖書の中に生き残ってる
2.新約以降>父と子と精霊+聖母マリア、畏敬の対象が4つも!(⇔三位一体説)
3.布教、拡大>土着の神々が12使徒とか聖人と重ねられて生き残ってる(本地垂迹っぽい)
ロシア正教は、キリスト教のほかの宗派と比べても3の性格がとくに強いらしいです

イヴァンはヨハネに対応した名前なので、ロシア正教で雷神扱いされてるのが聖ヨハネだったら、イヴァン雷帝の渾名の由来が説明できておもしろいと思っていたのですが、そう簡単にはいきませんでした~

投稿: ヨッコ | 2008.07.17 04:21

 僕もだじゃれだと思います(笑)。

 1と2については詳しく知りませんが、3に関しては、勢力の拡大に応じて行く先の土地と折り合いをつけていくうちに、土着の神が守護聖人化するか、もしくは悪魔化していくか、と言う感じなんでしょうね。同じ神格が二つに分裂してしまうケースもあるでしょうし。

 推察ですが、本来の本拠地なり中枢から遠く離れてコントロールが弱くなると、3の成分が強くなるんでしょうかね。

 まあでも、イヴァンもヨハネもジョンさんですからね(笑)。世界人名辞典を読んでると色々おもしろいです。

投稿: sn@散財 | 2008.07.17 21:16

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