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2008.08.28

王と皇帝。(☆)

 下調べしないで記憶に頼って書いてみるって試みなので、ちょっと間違ってたら勘弁してくださいね。

 封神演義(少なくとも安能努訳では)のラストシーンは、殷周革命と封神と言う二つの大仕事を終えた太公望が、不平たらたらな弟子の武吉とあれこれ言い合いながら任地とされた斉の地に旅立つところで終わっています。
 斉は今の山東半島辺り一帯の古い地名。太公望は周建国の功績として、周の武王から初代の斉公に封じられたわけです。功臣に土地を与える(もしくはすでに持っている土地の所有権を保証する)封建制というものであります。
 さて、いま周の武王と言いましたが、この「武」と言うのは諱と言って、その王が亡くなったあとにつけられるものです。次の代になってから先の王の時代を総括し、この王にはこの字が相応しい、と名付けるわけですね。天下を統一した王であるからこそ、武王と呼ばれるわけです。因みにこの武王の先代は王ではありませんが、天下統一の事業に乗り出した事績を称え、とくに「周の文王」と呼ばれます。武に対する文、と言うわけでしょうか。

 周の都が破壊されて遷都し、影響力が衰えると、晋・斉・楚といった臣下の強国が勢いを持ち、列候の盟主として、他の国に影響力を及ぼそうとし始めます。これに成功した者を覇者と言いますが、それでも彼等はあくまで(名ばかりではあっても)周の王位を認めており、自ら王を号しようとしたことはありませんでした。
 この状況に変化が生じたのは、大国・晋が三国に分割された頃からでした。これ以前から南の呉越(呉越同舟のあの呉越)や楚といった国は王号を称していましたが、やがて北の諸国もそれぞれ魏王・斉王などと名乗るようになります。王は天下に一人のみ、と言う原則は破壊され、やがて七王が競う戦国七雄の時代が訪れます。

 戦国時代を終わらせた秦王は、二つの不満を持っていました。王はすでにありふれた称号であり、天下を支配する王の王には新たな称号には必要ではないか、と言うこと。そして諱は死後にあれこれと政治を批判する事であり不敬ではないか。そう考えたわけです。
 そこで、中国の神話にある三皇五帝の名を取って「皇帝」と言う称号を発明。諱は用いずただ数字として、一世皇帝である自分は始皇帝と名乗り、以後、二世三世と伝えていくこととしました。
 なんというか、称号がインフレ起こしたので新貨幣発行しました、と言う感じもしなくもないですが、肝心の秦は二世皇帝で滅亡(三世皇帝になるはずだった人は称号を秦王に戻したので)。以後、さすがにアレだからなのか、秦のシステムに習っての命名は出ませんでした。以後は王と同じように、皇帝にも諱が贈られる事になります。

 明の時代までは、皇帝は「~帝」「~宗」と言う名が一般的です。漢の高祖劉邦、武帝などは有名ですね。三国志に出てくる前漢最後の皇帝は献帝と呼ばれます。変わったところでは隋の煬帝。皇帝としてはあまりに非道、と言うことで、「ようてい」ではなくわざわざ「ようだい」と呼ばれます。もっとも、それを滅ぼした唐の太祖・太宗あたりの時代についた名前ですから、かなりヒドい評価のされようはしていると思うのですが。

 ちなみに、大抵は王朝を開いた開祖だけに「~祖」の字を名乗りますが、数少ないとはいえ例外もあります。明の三代皇帝、成祖永楽帝は例外的に祖の字を使われています。これはいろいろといわくのある様子。永楽帝即位に関わるあたりの話は色々面白いのですよ。
 そして今「永楽帝」と言いましたが、皇帝一代に一つの元号だけを使うようになったのも明からでした。いわゆる一世一元の制ですね。

 こうして書いてると、いろいろうろ覚えだったり勉強し直さないといけないなと思う事が多かったり。中国史の本は昔、はんぶんこになるくらい読んだもんですが。
 でもまあ、好きなんですよ中国史。今度時間があるとき、うろおぼえ中国史とか書いてみますね。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

封神演義は、去年アニメをYoutubeで見たので、そのイメージしかありません><
世界史は大学入試のために勉強したのに、ほとんど何も覚えてません
当時覚えたことは、もうほとんどが上書き済みで記憶に残っていません

投稿: ヨッコ | 2008.08.28 23:27

>前漢最後の皇帝は献帝
これは後漢では?

投稿: りょーいち | 2008.08.28 23:45

最近新番組のせいで、古代中国の兵士のイラストを描かねばなりません。
当時の兵士の鎧の資料が無くて困ってるですよ~^^;

投稿: CAMUS | 2008.08.29 08:36

>ヨッコ姉さん

 アニメは…… あれはあれでポップで好きですけど、まあ別物と言うことでご理解願いたく……(笑)。

 なんでいきなり中国史の話なんかはじめたかと言うと、北方謙三の水滸伝にいまさらハマってるからなんですよね。そういえば理由をすっかり書き忘れてましたが。
 宋銭の影響力の話とかも一回まとめて文章に書き起こしてみたいと思っているので、時々発作みたいにこんなエントリが立つかもです。

>りょーいちさん

 すいません、仰る通りです……>前漢→後漢
 あれじゃあ前漢最後の皇帝って誰だろ、と咄嗟に思い出せなかった自分。王莽に簒奪されたのは孺子嬰、その前は平帝だそうです。思い出せななんだ……。

>CAMUSさん

 引っ越す前まで、中国の武器や武装のイラストが載っている本が家にあったのですよ。そのことを思い出して探してみたのですが、どうにも発見できず……。

 どうもあのころの鎧のイメージと言うと横山光輝の漫画か兵馬俑のイメージになってしまうんですが、兵馬俑はともかく、フィクションの作品だと色々年代が混じっちゃってるみたいなんですよねー……。惜しい本を処分してしまった、と悔恨しきりです。

投稿: sn@散財 | 2008.08.30 01:55

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