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2008.08.13

ハルク殴るゥゥゥッ!(☆☆☆)

 ダークナイトにひきつづき、今日はインクレディブル・ハルクを見てきました!
 緑色の筋肉ダルマが暴れまわる映画にして、あの「超人ハルク」の映画化、って言っちゃうと身も蓋もありませんが。ダークナイト見ちゃったあとだけにどうかなーと思っていたんですが、これはこまごま気の行き届いた良作でありました。ダークナイトが芸術だとすれば、こちらは娯楽作と言っていいでしょう。
 メインストーリーは判りやすく展開はスピーディ、しかもちょっとマーヴルかじった人ならニヤリ、どころかニヤニヤ、が止まらないような足裁き。何がうまいかと言うと、「省略」が上手い。知らない人が見てきちんと理解できるのかどうかちょっと不安なところはありますが、それでも、きちんと語るとダラダラしちゃうけど、テキストだけで済ませると味気ないし…… というところを、オープニングのキャストの名前が出るところまでで、手際よく片付けてしまいます。さすが。

 どこから来たのか、誰も知らない。ブラジルに隠れ住んでいるひとりの男、彼の名はブルース・バナー。
 テレビを相手にポルトガル語を勉強し、柔術の道場で己を制御する方法を学び、ガラナ飲料の瓶詰め工場でアルバイトを始めてはや五ヶ月。機転も利き義侠心もあり、ちょっとした機械の修理もこなす。穏やかで器用な性格の彼は、誰からも愛されながら静かに暮らしていた。

 遠く、北米。「稲妻」の仇名を持つロス将軍と彼の部隊は、長きに渡ってひとりの男の追跡を続けていた。彼の名はブルース・バナー。カルバー大学でガンマ線による細胞変化の研究を行い、自らその被験者となった男。実験は失敗し…… あるは大成功し…… 謎の爆発と、多くの死者と、より多くの負傷者が後へと残った。バナーの恋人にしてロス将軍の娘、ベティ・ロスもまた、傷ついた犠牲者の一人だった。

 些細な手がかりからバナーの行方を突き止めたロス将軍は、特殊部隊の精鋭エミール・ブロンスキーを指揮官とする捕縛部隊とともに自らブラジルへと駆けつける。たかだか逃亡者一人を捕らえるのに、不必要なまでの大規模な部隊構成にかすかな不審を抱くブロンスキー。しかし彼の目の前で、その理由は雄弁に姿を現した。
 銃にも手榴弾にも、あらゆる武器にも炎にも傷つく事のない。二本の腕で戦車も装甲車も粉砕し、ヘリまでもを容易く撃墜する、身の丈270cm、緑色をした静止不能の暴力。インクレディブル・ハルクが、彼の標的だったのだ。

 住処を失いながらも、謎の協力者との繋ぎを取り続け、元の姿へと戻る手がかりを追い続けるブルース=ハルク。孤独な旅はやがて、ベティ・ロスを巻き込んだ追撃戦となる。執拗にハルクを追い詰めるロス、ブルースの孤独と恐怖を受け入れて彼とともに逃亡しはじめるベティ。そして、強敵ハルクの力に魅せられたブロンスキーは、もうひとつの怪物=アボミネーションへの道を、人知れず深く静かに辿り始める……。

 というわけで。ストーリー展開は意外に(と言うと失礼ですが)複雑な展開を見せていますが、それでも話の筋がずっとブレないので大変追いやすいレベル。その折々に、追いすがる米軍の近代兵器を、パンツ一丁でぐしゃぐしゃ粉砕するハルクの大活躍は、もはや胸がすくと言っていいレベルです。
 普通に考えると怪獣映画的なシチュエーションであるはずなのに、ハルクの暴れっぷりに入れ込む事が出来るのは、彼のもうひとつの姿であるブルース・バナーが、あくまで理知的で良心的で、ときに気弱ですらある好人物であることに由来するのでしょう。
 周囲はハルクに恐怖を抱きますが、ハルクもまた、周囲に恐怖を抱いているかも知れません。
 バナーは、怒りが自分をハルクに変えてしまうことを理解している。だからこそ、怒りを抑え、コントロールし、理不尽な状況のもとにあっても、根本の原因が何なのかを見失わない自省的な人物でもある。……それだけに、彼の怒りの振れ幅が限界を超えてしまうとき。譲ってはならないもの、傷ついてはいけないものに誰かが迂闊に手を触れてしまったとき。バナーの自省と忍耐はそのまま大容量の炸薬となり、ハルクと言う暴力の大爆発へと結びつくのです。
 まあ、語弊のある言い方ですが、キレるキレると言いますが、このハルクこそは、元祖キレ系のヒーローと言っていいでしょう。だからこそバナーは忍耐強く、周囲が一線を越えた時の、ハルクの爆発には凄味が出るのです。

 お話的にも短めで、よくまとまっている…… ややファンサービスがいきとどきすぎている嫌いがあるので、そこをして「まとまってない」と評されるきらいもあるかとは思いますが…… 良作です。
 そして、すでにあちこちで語りつくされているのでネタバレでもなんでもない気がしますが。ロバート・ダウニーJr、アイアンマンも、けれん味たっぷりに作中に登場。さらに登場人物達の語りだす、「マーヴル」ではおなじみの単語や人名の数々。
 これから始まるヒーロー達の饗宴の尖兵として僕らの前に現れた、優しく恐ろしい超人ハルク。ダークナイトとはまったく別の系譜として、これは見ておいて損はないですよ。

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コメント

むぅ、イイですかハルク

かなり初期、『アボミネーションと怪獣大戦争』的なプロットを見た段階で、
すっかり興味を失ってたんですが

んー、それは見に行くべきですかねぇ……

投稿: 貴鈴 | 2008.08.13 20:52

 いえいえ、こちら本当、お勧めですよー。丁寧に作ってある良作だと思います。宣伝とか露出の面で、だいぶ損しちゃってると思います。

 まあ、確かに最後はブン殴り合いストライキン’な怪獣大戦争にはなりますが。ただまあ、ただ殴り合ってかみつきあって、って言うようなアレでもないですよ。

 掌ばちん!で消火とか、ハルクの定番的動作もきちんと入ってるので、そういう小ネタ探しも楽しいですし。是非是非、ご覧になって頂ければと思います。

投稿: sn@散財 | 2008.08.14 09:22

うちの近辺、上映ないんですよね・・・アイアンマンは予定あるのに。

投稿: りょーいち | 2008.08.19 10:38

 そうそう、微妙に上映館少ないんですよねハルク。
 ダークナイト辺りは割とどこでもやってるのに、うちの近所でも探さないと無い&シネコンですら無いってくらいでしたから、敬遠され具合が伺われると言うものです。
 ハルクの最大の敵はハルク自身だったんですね。と、しみじみ。

投稿: sn@散財 | 2008.08.20 22:40

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