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2008.12.07

バカロボ2008観戦記【後編】

 さあ、テクニカル系バカの祭典バカロボもここで折り返し。予想以上のマシントラブルもなく、残り三体が立て続けに登場しますよ。

4.顔面認識ロダンロボ 『考えるロボ』

 次に出てきたのはまた大がかりなもの。他のものに比べて横長なので、出てくる時に90度横を向いての登場です。ロダンの彫刻「考える人」の頭のところが液晶ディスプレイになっていて、その横にももう一つ、ディスプレイがついている。そんな感じのロボットです。
 横には制作者の人が立って、ちょっと確認した後。声を張って、観客席に挨拶します。最初はその道の人かと思ったほど、かなり声が出てますね。
 はきはき喋る制作者の人の横で、なんだかロボはしきり何かうんうん唸ってます。何か言われると、いきなり「うるさい!」と言う怒号が。音声認識でしょうか、話しかけられた事に相づちを打ってるんですね。
 何を考えてるのか、と聞かれ、「会場のお客さんが何を考えているのかを考えている」と返すロボ。会場のお客さんが? なんと彼にはそれが判るという。ここで、最前列の女性の方に協力が要請されます。渡されたのは、観光地によくあるような、顔をはめる小さい板。その上に小さく四角があって、中に「バカ」と書かれています。
 顔に枠をはめ、考えるロボに搭載されているらしいカメラの前に、誘導されて立つお客さん。するとロボが、スーパー系にエフェクトのかかった声で「顔、チェーンジ!」と絶叫。するとあら不思議。考えるロボの顔のところのディスプレイに、お客さんの顔の上半分くらいが。
 ……位置調整して、事なきを得ました。考えるロボの顔には、今お客さんの顔が。一方、観客席の様子を移している隣のディスプレイには? あら不思議、板を被っているお客さんの顔のあるべきところに、さきほどまで考えるロボの顔にうつっていた、漫画顔がスーパーインポーズされています。ははあ判った、これが噂の拡張現実。顔面の周りにある板、その上にある四角い枠の記号を拾って、その周りに画像を重ね合わせてる寸法ですね。
 さらにいたずらは続きます。これでお客さんの考えている事が判った!、と言うロボ。画面のお客さんの顔の口のあたりに勝手に動く唇が乗り、高い声でしゃべり出します。「私とってもスケベなんです」 今日はこんなのばっかりです。
 平謝りしつつお客さんには席に戻って貰い、ロボを叱りつける制作者の方。「うるさい!」と言いつつロボの脚が高速で足踏みを始めます。貧乏揺すりだ。激しい貧乏揺すりです。ロボの顔も真っ赤になっている。貧乏揺すりを止めろ、と叱りつけられ、またすぐに貧乏揺すりを始めてしまう。いきりたって叱りつける制作者の人を尻目に……
 ぴろりろん♪
 ……聞き慣れた音とともに、いきなりロボの顔面で、windowsがスタンバイモードに。一瞬、え、トラブル? と思ったものの、「ここでスタンバイかよ! 何くつろいでんだよ!」 と突っ込まれて、会場ぐわっと沸き立ちます。

 最後は、「こんなロボットを作った俺が一番悪いのかなあ」「そうそう」と、いきなり元の顔に戻ったロボに突っ込まれ、これで一幕終了となりました。

 あらん限り色々な技術を持ち込んで、ロボと人間の掛け合い漫才を繰り広げた考えるロボ。ロボのフリーダム加減は演技終了後も止まらず、山ちゃんの「ネタ合わせとか相当やってるの?」と言う問いに、勝手に「そうそう」と答えておりました。音声を拾って、何か分析してるんでしょうか、「そうそう」とか「うるさい!」とか、相づちを打ってるんですね。面白いなあ。

 樋口監督のぜひともと言う意見で裏側を見ると、胴体部のかなりなハリボテ感と、ワイヤーを束ねて可動部を動かしている機械仕掛けな部分。どちらかと言うと舞台装置っぽい感じでありまいた。
 制作者の方もお笑いを目指していると言うことで、そのうちM-1とかに出るかも知れませんね、と言う山ちゃんの声に、ロボはまた「そうそう」。
 社長からは「スタンバイモードに移行するまではどうなるかと思った」。辛酸さんからは「こんなテンションの高い理系の男性を見たのは初めてです」とのコメント。止めに稲見教授からは「技術としてはがんばってます」と斜めからえぐるようなコメントで、締めくくり。
 退場するロボの顔には、最後の一撃とばかりに南海キャンディーズのしずちゃんの顔が表示されておりました。

5.帰ってきたナニワの四足歩行ロボ 『プッシュくん&YOMEプッシュ』

 さあ、いよいよ岩気社長リベンジマッチ。プッシュ君の登場です。
 今回のプッシュ君はプッシュ君とYOMEプッシュの二台構成。そのプッシュ君はどんなのかと言うと、ゴミ箱的な胴体に、カニか昆虫のような脚が四本ついた、なんていうか這い寄るゴミ箱みたいな感じの愛嬌たっぷりなロボットです。胴体のペイントとか、ちょっとドロンパっぽい。
 YOMEプッシュも同型に見えますが、表面のペイントがビキニ風だったりするところが違いでしょうか。と思ってたらなんか部分的に光ってます。不安になって参りました。後ろに控えた岩気社長を横に、何かの曲がいきなりスタート。バ~カ バ~カ バッカロボ♪ と言う曲と共に、シンクロして踊るプッシュくんとYOMEプッシュ。後ろでは岩気社長が、踊りの〆は一緒に踊る。会場のリアクションが膨らみます。
 ここからプッシュくんとYOMEプッシュの掛け合いが。惜しいのはちょっと音が籠もって、会話が聞き取りにくかった事。ともあれ、プッシュくんは勝手に大会に出た事をYOMEプッシュに詰られています。大会とか出ないで地道に営業するとか言ってた。って事は、プッシュくんは芸人さんだったんでしょうか。ともあれ、ノリノリで旦那を詰るステージパフォーマンスを披露するYOMEプッシュの一人舞台モード。そしてムーディーな音楽で怪しい踊りを繰り広げるYOMEプッシュ。なんだかすごい世界になってきました。

 話の流れがいまひとつ掴めませんでしたが、いきなりYOMEプッシュが出産する事に。横でプッシュくんが励ます傍ら、直立してしゃがみ込んだYOMEプッシュの下から、何やら丸いものが。「玉のような男の子です」。そしてもう一個。一人? 一体? 今度は黒いのです。なんだかボンバーマンの爆弾のようにも見えて。

 その場で回転し動き回るプッシュ君とYOMEプッシュ。胴体を傾けて、ドラムのように胴体をカチカチ叩いたり、胴体下部をポコポコ叩いたりしてリズムを取ります。傾けて胴体を叩き始めると、やっぱりお客さんが受けますね。踊りをすっかり披露した2体、最後はバッカロボ♪ の曲とともに岩気社長も一緒に踊り、デモ終了となりました。

 なにはさておき、岩気社長のダンスに突っ込む山ちゃん。

「なんで岩気さんが踊ってるのか気になったんですが」
「3人目のメンバーのつもりですので」

 岩気さんが踊ってるところでお客さんが反応したのがやや不本意だったそうです。その社長のリベンジ~ の声に、一斉に屈み込んで腹筋を始めるプッシュくん。どうやって制御しているんですか、と言う山ちゃんの質問に、稲見教授。

「このマンマシンインターフェースは…… 主に、いざと言う時に使うものですね」
「いつでもいざと言う時でございます」

 ……えー、大部分のお客さんには、これがどういう質問で、これがどうナイスフォローなのか、何が起きているのか判らなかったかも知れませんが。審査員席(と、審査員席に角度の近い僕らの席)からは、舞台が始まる前から、なんだか見慣れた感じのプロポと言うか操縦機的なものを持った方が、舞台下袖にいたのが見えていた、と、そういう塩梅であります、ええ。途中YOMEプッシュだけ動いていた局面があったので、なにか切り替えがあったのかも知れません。

 子供が生まれた辺りの仕組みがどうなっていたのか気になる、と言う質問に、YOMEプッシュをひっくり返して「穴が空いております」と岩気社長。
 プッシュくんが全天候型になりました、と言う説明とともに、プッシュ君の中からビニールのゴミ袋を取り出す社長。これをプッシュ君のフタと本体の間にかぶせます。

「これで重要なメカを雨から守ります」
「僕たちの30秒を返して下さい」
「屋外で雨天でしたら、プッシュ君が優位だったんですけどね」
「屋外の場合は雨天中止だと思います」

 山ちゃんと岩気社長。好調です。
 退出する岩気社長。何やら右側の舞台袖に使わない機械があったのが気になった、山ちゃんと観客席の我々ですが…… 審査員の方がさらっと、「スピーカーですね」と一言。なるほど、あれで音声を飛ばしていた訳ですね。

6.発泡スチロール脱力ロボ 『TSUNEOと仲間たち』

 ありあまるバカの大行進も、いよいよこれがどん詰まり。最後に登場するのは、これもプッシュ君に引き続き、昨年に引き続いての登場チーム。なんと学内バカロボコンテストを勝ち抜いての登場、三体のロボットから成るTSUNEOと仲間達です。

 えー、ステージの上には、ぞろぞろと女子高生の皆さんが。掃除機とおぼしきものに外装装備の緑色のゾウ。そして、なんていうか、ビリケンと中曽根康広さんとぬらりひょんを混ぜたみたいな、ごろんと横になったおやじさん。そしてそれとは別に、一人の人に抱えられて、細長いピンクの小豚のような何かが出てきます。

 三つのロボが順番にパフォーマンスをする様子。まず最初はピンクの豚です。「スパンコールを食べるスパンキーです」
 ……スパンコールを? 見るとどうやらハンドクリーナーっぽい(ステージ終了後、掃除機ではないと否定されていた)スパンキー。パフォーマーの人が手にきらきらとスパンコールを載せて、スパンキーの前に差し出します。きゅいーと吸引し始めるスパンキー。そして舞台上には、きらきらと激しい勢いで舞い散るスパンコールが。食べてないです! 吸った端から吐き出してます! ステージ上にきらきらするものを舞い飛ばしながら、「うるさい!」と叱られ演技終了。なんか緊張感が漂って参りました。
 次は緑色のゾウの出番です。ノズルから空気を吸引すると、ぴーとか言って音が。頭頂部に三つ、放射状に配置している、あの吹くと伸びて笛が鳴るあの笛が。びよーんと一気に伸びて音を鳴らします。こちらも「うるさい!」の声でストップ。
 電源を切ると、しゅるっとすごい勢いで縮退して何事もなかったかのように待機モードに。さて大トリはTSUNEOです。このおじいさんロボは一体何を…… 唸っています、これはモーター音。そして表現しているのはイビキ。じいさん高いびきです。腹がぷくーとふくれて凹んでいます。「いびきうるさい!」の声とともに、腹を押さえられるTSUNEO。最後はぼん、と腹が破裂したかして、終了となりました。

 なんでもステージに登場されているチームは、TSUNEOの作成チームだけで。残り2体の作成チームは、諸事情によりこちらに来られず、ロボだけが送り込まれたのだとの事。

「諸事情って、期末試験ですよね」

 なんとこちら、神戸の高校生の皆さんですが、期末試験の最中(木曜日まであるらしい)に抜け出して、こちらにバカロボのパフォーマンスに来られているとの事。先生がだいぶ絞られちゃってるみたいです。その先生はきっといい先生だ。
 こちらは昨年、「カキールX & JUNKO2007」を送り出したチームと同じ高校の方。昨年のレポートを読むと、芸術コースのある学校さんみたいですね。

「素材に発泡スチロールを使うのは、神戸の風習かなにかですか?」
「そういうわけではないです」
「この年頃の女の子のあやうさみたいなものを感じました」
「さっきから言ってますけど、ロボのほうを見て下さい」

 社長と制作者の方と辛酸さんと山里さん。稲見教授は「掃除機を使って散らかすと言うアーティスティックなところがいい」と言うコメントでしたが、「掃除機じゃありません」と切り替えされていました。スパンキーの中身、あれ何だったんだろう。

 さて、こんな感じで。終始こんな感じで、全6体、演技終了となりました。

 このあとは審査の時間となり、あいまに協賛企業の紹介となります。
 出店もしている株式会社キューブさんの社長による商品紹介なのですが、なんか出てきた人がおかしいです。黄色いかぶりものをしてケロリンとか書いてそうな洗面器持ってます。

「フロイス博士です」

 フロイス博士だそうです。このあと、山ちゃんとフロイス博士による商品紹介が実に愉快に投げっぱなしに進行しておりました。これそのものが企業紹介じゃなくて、バカロボ有段者による演武なんじゃないかと言うくらいに、すでにしてひとつのショーとなっておりました。一つだけ僕に判ったのは、山里さんはいい人なんだって事ですね。あとUSBふくろうはちょっと欲しくなりました。

 さて、このあとは結果発表! ……と言った直後に、カムベイビー(キューブ社の商品。倒れるとぴーぴー鳴く)が泣き声を上げたりして、絶妙に蹴躓きつつも。最後に、今日登場したバカロボが一斉にステージ上に。それほど広くないステージだけに、かなり上はぎゅうぎゅう。殿は相変わらず殿のまま登場で、最後のTSUNEOチームは台座なしで、それぞれロボを抱きかかえての登場。TSUNEOなんか腕とか頭とかもげてしまいます。
 そのぎゅうぎゅうの状態のさらにあとから、審査員の皆さんが登場。BGMは明和電機の曲が再び流れております。四苦八苦して審査員の皆さんが前へ。これははけるのは大変そう。

■結果発表

 ……さて、発表です! 今年のバカロボ2008、グランプリはエントリーNo.2番、YKRNでした!
 チームの皆さんは大喜び。わけてもデータ入力を担当していたと言うインドネシアかららの留学生の方がいらっしゃり、「賞金を貰ったらインドネシアでチームの合宿をやろうと言っていた」と大喜びでした。
 他のチームの皆さんの作られているものも立派だったので、授賞できて嬉しい、と、とても謙虚な留学生の方のコメントに、一瞬ここが何の会場だか忘れそうになりました。
 審査員からのコメントで。皆さん方向性の違うバカで大変困りましたが、と前置きした上で。土佐社長、「バカロボの原点、バカロボ三原則に沿って考えました。皆さんメカニックです。人を笑わせている。この点については遜色はない。そして、役に立たないと言う観点で考えたところ、他のものは、商売に出来たり、玩具にできたりと言う用途が思いついたけども、こればっかりは役に立たない、論文すら書けない、と言うところが、大きな決め手になりました」とのこと。秀才的に台無しです。

 これからもバカロボが続いてほしいと言う声に、稲見教授が最後に一言。「優秀な研究者の方がこんなものを作っていると言う所に、なにか背徳的な喜びを感じる」とのコメントで。2008年度バカロボ、全編の終了となりました。

 昨年の、なんていうかアート的な全力疾走おいてけぼりな感じに比べると、今年は結構、わかりやすいパフォーマンスが増えたと言う気がします。少なくとも、嫌な汗と緊張感にまみれる感じは、去年よりもギリギリな感じは薄かったかな、と。時間帯が昼間だったのも大きい気はしますが。去年は深夜番組ライブみたいな感じでしたしね。
 技術的な面のパワーアップは全体的に著しく、また、人のパフォーマンスとロボのパフォーマンスをうまく組み合わせている、と言う気がします。しょっぱなのちょんまげ嘘発見器の人が白眉ですけど、例えばスウェーデンの方の下ネタロボでも、音声もきちんと出すけど、「文章じゃないと判りにくい」と考えて、液晶に文字ネタも同時に移す。

 さんざんバカバカ言ってますけども。でも要するにやりたいことを余さず伝える、誤解なく伝える、なろうことならミスリードや誤解も意図的にコントロールする。そういうかたちで、凄いことやっても誰も気付かない。多分パフォーマンスをやっている人達は、「この技術をわかりやすく伝えたい」とか、きっと1バイトたりとも考えていない気がするのに、結果として、そういうのを笑いながら見る形になってしまう、と言う。そういう、妙な、他になんとも言えないので、妙な、としか言えない味がありますね。
 ラマーズ4やらイナザウラーやら勃具やらが猛威をふるった昨年に比べると、かなりイベントそのものの味が違う方に進んだ気はしますが、このバカロボ、どうかこのまま、軸がぶれっぱなしのままで、今後も変な方に進み続けてほしいものだと思います。

 表に出たらまだ明るいのが、ちょっと信じられなかった、バカの波状攻撃を浴びた土曜日の出来事でした。

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