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2009.01.26

赤鬼小僧対黄金兵団!(☆☆☆)

リンク: 映画「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」オフィシャルサイト.

 彼はヘルボーイ。いつか世界を終わらせる宿命を背負った男。赤い大猿の異形の体に、粗暴だが傷つきやすい心を持った優しい赤鬼。
 彼等は『ゴールデン・アーミー』。かつてエルフの王が人間との戦争に投入し、そのあまりの威力、あまりの酷薄さに、却って人類との和平を決断せしめたと言う魂無き黄金の軍団。
 かたや目覚めかたや眠れる、世界を滅ぼすふたつの力。世界から姿を消したエルフの王子が、人類への怒りと共にニューヨークの地上に現れた時。二つの力は激突に向けて、引き寄せられるように動き始める!

 僕は大好きなこの映画ですし、むしろあんまりヘルボーイに詳しくない人には娯楽作として勧められるこの映画ですが。ヘルボーイの原作が好きな人にとっては、「これはこれ、それはそれ」の精神を発揮できるかどうかで評価が変わってくる映画だとかなり思います。なんていうか、「最高に出来のいい、ヘルボーイの二次捜索」と言う感じですね。
 陰鬱な中にユーモアをちりばめた第一作に比べると、なんていうかものすごく開き直ったこの二作目。怪物、クリーチャー、異形の飛び交う画面は暗いトーンながらも、ギレルモ監督が好きなものをパレットから思いっきりブチ撒けたような、曲がった豪華絢爛さに満ちあふれています。中盤、人間の世界から踏み入れる怪物の世界の入り口、トロール広場の溢れるほどの猥雑さ。黒い闇にも、何かが居るのを上から塗りつぶしたかの様な、押してくるビジュアルです。
 で。なにしろ。僕もちょっとしか読んだわけじゃないですが、原作のヘルボーイと言えば。そぎ落としたようなシンプルな線と、陰影の描写がソリッドな作品。墨絵の原作に対し、この映画版のビジュアルはこってりと油を載せた、盛り上がった西洋画の如き豪華さ。
 テキストやシナリオに関しても。乾いた雰囲気を湛え、削ぎ落としきったのような説明、少ない台詞で状況を想記させるのに対し、映画の登場人物達はみな饒舌です。不平をこぼし、粗暴に振る舞いつつも、不器用さや優しさを滲ませるヘルボーイに、前作の儚い雰囲気を一新し、タフな女性に成長したリズ。修羅場の中にあっても、どこか浮世離れしたエイブに、不平不満をこぼしまくるマニング局長。そして「お前に常識で突っ込まれたくない」と誰もが口を揃えそうな、ドイツ人のカタブツにして脅威の瓦斯人間ヨハン・クラウス。そして適役、人間への不信と家族や仲間への愛情に苦悩しつつも目的へ突き進むヌアダ王子と、誰もがみな多弁で、特に冒頭部分は軽妙で(しかし洒脱ではないですが)、雄弁ですらある。でもその中にはやはり、ヘルボーイ達の孤独が息づいており、だからこそこの映画はヘルボーイの映画なのです。
 マニング局長を除けば、彼等はみな、人間社会の中に隠れ住む怪物達です。ヘルボーイもリズもエイブもヌアダも、それぞれが違う意味で孤独なはみ出し者です(そしてマニングは、そんな彼等の中にいるからこそ孤立してしまう訳なんですが)。そんな彼等が、人間の預かり知らない処で、人間の運命を争い戦いを続ける。
 こってりとしたビジュアルに、多弁で軽妙な会話を続ける登場人物達。ちゃかちゃかした会話はヘルボーイらしくないかも知れませんが。本当は恐い夢の中から出てきたような登場怪物達をぜひ見てみてほしいと思います。

 最後まで見て思ったのは、ギレルモ監督にトランスフォーマー撮ってみてほしいなあ、と言う事。公式サイトを見れば、だいたいどういう事か判って頂けると思いますが。ああ、見てみたいなあ……。

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