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2009.12.25

【読書】テルマエ・ロマエ I(☆☆☆)

リンク: Amazon.co.jp: テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX): ヤマザキマリ: 本.

 「一読して、お風呂に浸かりたくなった。」 -- 散財。

 時は紀元130年前後、中国ではやがて三国志に連なる後漢王朝が繁栄を極めていた頃。シルクロードで繋がれたはるかな西方で、歴史最大の帝国ローマもまた繁栄を極めていた。やがて五賢帝と称えられるハドリアヌスその人の統治の時代-- 一人の男が仕事をクビになっていた。
 彼の名はルキウス、建築大国ローマに暮らす、気鋭の風呂の設計技師。己の限界か周囲の無理解か、仕事に悩む彼はあるとき、ひょんなことから見知らぬ世界に迷い込む-- 謎の「平たい顔」族、そして彼等の恐るべき風呂文明の世界に!
 風呂を愛する心とローマを愛する心、異文化と愛国心との葛藤を抱えながら。時を超え空間を超え、湯けむりと共に現れる好漢ルキウスの大冒険! ルキウス・モデストゥスの運命やいかに!

 もうすこし自分の直感と言うものに素直になるべきだった、と思ったこの本。本屋で見かけて「おおおおお-!? 絶対これはただ事じゃない!」と思ったのですが、なぜだかその場で即買いが出来ず、家に帰って調べてから買おう、とか思っちゃったのです。調べて面白そうと思って買いに行ったらもう無くて。セブンネットの通販でようやく2刷を手に入れたと言う。

 閑話休題。どんなまんがかさっぱり解らないと思いますが、ほとんど横帯の解説が全て。ローマ帝国の時代、仕事に行き詰まっていたお風呂の建築家ルシウスは。公衆浴場に入っていた時についうっかりタイムスリップしてしまう(なぜかは解らない)。あまつさえ、飛んでいった先は、戦後日本の銭湯の浴槽! 見も知らなければ言葉も通じない平たい顔の民族(つまり我々の事)にびっくりしながらも、進んだ風呂文明にルシウスは目を奪われる。やがて元の世界に帰還したルシウスは、その見聞きした風呂文明を自分なりに…… と言う。

 なんていうか、これだけ書くと一発ギャグみたいな設定ですが、これが読んで見ると、びっくりするほどきちんと読ませる話になっており、徹頭徹尾、風呂の話でありながら、ローマを語り、そして異文化理解について語っている話にもなっているのです。

 ルシウスは典型的な、そして非常に良心的なローマ市民であり、突然巻き込まれた不可解な状況を、自分なりに(ローマ市民的な方法論で)理解し合理化しようとします。
 言葉の通じない「平たい顔」族、まあ銭湯に突然出てきた外人さんにびっくり仰天のおじさんおばさん達の、言ってみれば当たり前の行動を、いぶかしみ、自分なりに理解し、そして受け入れるルシウスの態度のズレに。おかしみだけではなく、真剣だからこそ結果ズレちゃう、と言う状況に対する、真摯な視点を感じるのです。

 そんなことが何遍も続いた後、ルシウスは次第に平たい顔族を、優れた風呂文明を持つ人々と(よくわからないままで)認めるようになっていくのですが。そこには「自国の文明こそ優れている」としたい心持ちと、「しかし、明らかに他文明のほうが優れている」と言う心持ちの、真剣な葛藤が生まれます。
 全く異質のものと触れた時、人はどうすべきなのか? ルシウスは悩みながらも、実に自分に素直に行動します。この主人公の好人物っぷりも、この物語の大きな魅力です。
 なんていうか、いろいろとてきぱきヒドい目に遭いまくるルシウス。悩める彼に安心あらんことを祈りつつ、続刊を待ちたいと思います。

 なんていうか、読むと風呂に入りたくなる漫画っていうのは非常に希有じゃないかと思います。
 カバーを見た瞬間「うおッ!?」と思った方は、買って必ず損はなし、と思う一品です。

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