あるいは別名を与えらるるべきか、無邪気と言う名の何か(★☆)
リンク: Business Media 誠:日本の地域活性が“何とかレンジャー”に委ねられちゃうワケ (1/3).
話そのものは興味深く読んだんですが、それよりも興味深かったのは、2ページ目に出てくるアメリカのヒーローと日本のいわゆるご当地ヒーローを比較したくだりでしょうか。
あれ? アベンジャーズ・イニシアティヴは? アルファフライト(とデパートメントH)は? それ以前にパワーレンジャーズへの言及がないのはなんで? なんて云う風に、まあそんな事気にしても仕方がないとは思うんですけど。気になるのは、この話が、文脈的には別になくてもいい話な辺りなんですよね。
ご当地ヒーローが日本特有の現象である、と云う事を説明するために、アメコミヒーローを引き合いに出した、のはいいんですけど、正直、アメコミが一般的な文脈で取り扱われる際の理解って云うのは、映画であれだけ紹介されていても、こんなものなのかなあ、と、いかんせんげんなり。
「自分のよく知らないものを引き合いに出して、何かを持ち上げる」って云う文章の書き方はどこにでもいくらでもありますが、ことに、特にアメコミは引き合いに出されやすい。曰く、単純だ、マッチョだ、擬音だ、と。
それらの意見を言う人が、アメコミを読んだ事があるか、と言うと、たぶん読んだ事がない。
一度読んで欲しい、と言っても、読まない。読む必要がない、と言う。
なぜ読む必要がないのか、と言うと、読まなくても解りきっているから。マッチョで擬音で単純で、日本の漫画ほど面白くないから、と。
その理由は、よく宗教観の違いだと言われている。米国のヒーローはスーパーマンやバットマンに代表されるように、人間の変化したものとして描かれる。キリストが人間であったように……。だから、強い男の象徴としてマッチョであるし、わけの分からん必殺技も持たない。人間が神なので、外から来る他者は、ほとんどが敵の扱いになる。
スーパーマンは宇宙人(クリプトン人)だから、「外から来る他者」ですが。まあ、「ほとんど」ってことで,例外なんでしょう。
たとえば一つの理解として、スーパーマン=クラーク・ケントは、アメリカ社会における『移民』の象徴である。他所の人間でも(あるいは、であるからこそ)アメリカ的な価値観を体現した市民になることができる、と云う解釈も、有力かどうか知りませんが聞いた事があります。
ついでに言うと、バットマンは怖気を振るうほど、忌まわしいまでに人間ですし、一番近いと思うスパイダーマンにしても、確かに人間から変化した存在ですが、そこにまつわる苦悩と、人間としてもともとある苦悩を山ほど背負い込んだ存在です。
話の主題になることに関しては、人は綿密に下調べをするし、慎重に筆を(あるいは舌を)進めるものです。でも、ちょっとした雑談や、重要度の落ちた話題になると、途端に警戒心が緩んで、おかしいな? と思う脈絡が出てくるところがある。
無邪気な発言、調べるまでもない、と思っていた処にこそ、あるいは、本当に覗き見られるべき本質が覗いてしまうのでしょう。
そういうことのないよう、いろいろと本質には気をつけたいものです。アメコミに限った話ではなく。
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コメント
DVD「コンスタンティン」にコミックが付いていました。
ダークヒーローではありますが、筋肉質キャラは出ませんし、擬音も少ないです。
HeavyMetalと言う雑誌も数冊持っていますが、同様です。
日本人のアメコミ概念は、狭い範囲の物なのかもしれません。
投稿: タカノ146 | 2009.12.23 20:04
HeavyMetalと来ましたか……! でもそれってけっこうあの。
そしてコンスタンティン。クレジットされてないですけど、あの人もムーア原案ですね-。
日本のマンガが優れている、って言うためには、日本以外のマンガを読まないといけないはずなんですけどね。
日本のマンガだけしか読んだことがないのに、日本のマンガは他より優れている、と主張して、何の疑問も抱かない人がたぶんいる。ここらへんのところ、おっかない話ですよね。
投稿: sn@散財 | 2009.12.29 00:21