【創作】シャワーをねだる幽霊(☆)
Twitterさんの課題もので、なんだか面白そうなネタを貰ったので挑戦してみました。
課題:
@snzaiに問題です。「未明」「騎士」「シャワー」の3つの言葉を含め、7ツイート以内で不思議な話を書きなさい。 http://shindanmaker.com/5279
回答:
----
30年程前の事、ローマのあるホテルに幽霊が出ると評判になった話を知っていますか? その幽霊は十字軍時代の軍人の恰好をしており、部屋のドアを激しくノックして、水を、浴びるほどの水を、と、宿泊客に請い願い、夜が明けるまで帰らないのだそうです。
とある日本人のルポライターがその話を聞き、ひとつ幽霊を見てみよう、と興味本位でそのホテルの問題の部屋に泊まってみたのだそうです。支配人が止めるのも関わらず、彼はその部屋で夜通し番をすることにしました。やがて満月の隠れる頃、ドアが激しく叩かれました。
男は恐れず、むしろ喜んでカメラを構えましたが、ノックは突然止まり、そして幽霊は叫びました。その声をはっきり聞いた瞬間、ぞっとして凍り付いたのです。騎士はこう叫びました-- 「異教徒がここにいる! 血を! 浴びるほどの血を!」
血を!血を!血を! 地の底から響き渡る大合唱に、男はカーテンを引きドアの前に机を椅子を押しつけて、がたがたと震えながらひたすらに朝が来るのを待ち続けました。血を!血を!異教徒の血を!叫びは波を風を凌ぎ、窓枠はがたがたと揺れて、男はひたすら浅慮を悔いながら朝日を待ちました。
--やがて、曙光が差しました。溶けるように夢のように、地鳴りの如く響いていたノックの音は遠く去って行き、やがて光と小鳥のさえずりだけが男の部屋に残されました。安堵の息を吐き、彼は躊躇ってからようやくドアを開きました。
ぼろぼろになった鎧を、サーコートを着た骸骨が、そこにいました。透き通る身体を持つ彼は、とげとげのついた大きな大きな鉄球のついた帽を頭上に振りかざしていました。血を、と、骸骨ののどがひゅうと告げました。がらんどうの目が、彼を確かに捉えました。
夜が開けたのに。呟く彼に。骸骨はひゅうひゅうと、風のような声で答えました。愚かな異教徒よ、我がモルゲンステルンが見えぬと申すか。未明の星はお前の頭上に、このとおり輝いておるわ。骸骨が棘の鉄棒を振り下ろし-- 夜は明けて彼は消えていきました(終)。
----
って、ぴったり7ツイート使い切ったのに「シャワー」って入れ忘れてるんですよ-! ぼくのばかー! あと不思議な話って言ってるのにホラー風味の落とし話になってるし。
とまれちょっと気に入ったので、ここに再録しておきます。
| 固定リンク
「冗談」カテゴリの記事
- 【創作】ビロウ・ザ・レストルーム(2021.06.06)
- 【ロボットイベントレポート】大坂ロボットプロレス・チームばんび旗揚げ興行観戦記【公開リハーサル】(2016.12.07)
- 会社人間カンパニエ(全二巻)(☆)(2016.06.23)
- ぼくの考えたキン肉マン:マッスルエンパイア編(☆)(2014.08.30)
- これ昨日書けば良かったのかな:俺の山月記がラノベすぎてつらい(☆)(2013.04.02)
コメント