« 字と吹と(★☆) | トップページ | さくらさくら動物園、ユビキタスるは不発です。(☆☆) »

2010.04.10

【感想】第9地区(☆☆☆☆)

 説明しづらいですが、これはいい。これは見るべき映画だと思います。

 ある日、それは外宇宙から何の前触れもなく現れた。南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に出現したもの、それは空を覆うほどの巨大な円盤。頭上に浮かんだまま静止し、なんの行動も、なんの宣言も行わず、それはただそこに鎮座していた--。

 時、まさに1982年。--そして28年後、現在。
 巨大円盤の直下にある地上地域は、DISTRICT 9、第9地区と呼ばれていた。それは地球上で唯一の、エイリアンの居住地域、難民キャンプであり、隔離地区だった。
 頭上に現れたきり何の動きも見せない円盤に対し、業を煮やした南ア政府は突入を企図。未知の異星文明の産物のただ中へ飛び込んだ隊員達は、そこで予想もしないものを目にした。それは衰弱し栄養失調に陥った、数十万もの怯えたエイリアン達だったのだ。

 その外見から「エビ」と蔑称されることになったエイリアン達は、国際社会の意向により、円盤直下の「第9地区」へと移住する事になる。しかし甲殻類のような異様な姿、言葉も通じず武器を隠し持ち、ゴムタイヤを平らげてキャットフードで酩酊するエイリアン達と、地元の地球人達が上手くやっていけるはずもない。
 地域の緊張と不満はもはや暴動寸前に達し、「エビ」対策を一任された国際企業MNUは、新たな難民キャンプへのエイリアン大移住作戦を実行に移すことになる。
 この作戦の指揮官に…… 第9地区の「エビ」達から、立ち退きの同意書にサインをさせると言う仕事の指揮官に…… 選ばれたのは、仕事熱心で愛妻家だが、傍目にもぱっとしない平々凡々たるMNUエイリアン課の一職員、ヴィカス。
 大きな仕事を任され、やる気まんまんで護衛と部下を引き連れて第9地区へと乗り込んだヴィカス。しかし、わずか数時間後には全てが一変する事になる。
 「エビ」達、MNU、そして「エビ」達と裏取引を行うナイジェリア人マフィア達。昨日まで平凡だったヴィカスが、彼等全てを巻き込んでいき、沈黙の円盤の見守る下で、第9地区は未曾有の混乱に包まれる事になる--。

 と言う掴みのあらすじからは、その後、およそ予想外の展開となる訳ですが。そして途中の話をできないのが、とてもとてももどかしいのですが。ですが。
 これ、非常に幅広い見方をすることのできる作品だと思います。社会派の風刺として見ることもできるし、主人公ヴィカスの男気を堪能する、ある男が教訓を得る話として見る事もできる。主人公と、途中でつかず離れずの相棒となる人物とのやりとりは、骨太な男の(あるいは女の)友情の物語そのものです。
 そして、特に後半戦に展開するアクションはまったくもって凄まじい。12歳以下制限と言うのはうなずける話で、もうなんていうか。腕は千切れるわ人間はスイカみたく破裂するわ、そんな感じの描写も続発するのが修羅場です(もっともリアルにグロいと言うシーンはむしろそれほどひどくないので、そういう方はそんなでもないとは思いますが)。
 それよりも、エイリアンである「エビ」の動き方とか、その他いろいろなシーンとかが、昆虫がだめな人はホントだめかも知れません。そこは注意したほうがいいと思います。

 後半の、特にロボットが暴れ回るシーンは、高揚感と悲壮感を同時に存分に見せてくれる、非常にお勧めのシーンです。これだけは言えますが、ロボットのかっこよさ(デザインと動きと演出)に関して言えば、アバターよりもこっちが僕の好みですね。ミサイルも飛ぶよ! 納豆みたく飛ぶよ!

 地球に流れ着いた宇宙難民、それも180万人と言う、まるで突拍子もない設定と、頭上に鎮座したまま動かない円盤。そしてクリーチャーと言うには余りにも人間臭く、人間と言うにはあまりにも化け物然とした宇宙人、「エビ」達が、ゴミに群がり人々に追われる姿。そしてヴィカスの平凡さが熱い映画です。彼は平凡で、とても平凡で、混乱し打ちのめされて利己的ですらある。
 いろんな見方が出来る映画です。僕はここに、勇者でも大人物でもない主人公の、振り絞る勇気の輝きを見た。たぶん、いろんな意味で面白いと思える映画だと思います。どこを面白いと思えたのか、そこを聞いてみたい映画だと思いました。

|

« 字と吹と(★☆) | トップページ | さくらさくら動物園、ユビキタスるは不発です。(☆☆) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

観たいですね〜。
嫁が実家に一か月ほど帰るので、今月末にでも行ってみよかな。

投稿: CAMUS | 2010.04.10 20:27

 すっかり遅くなっちゃいました(汗。

 というわけで、非常にいいですよー、第9地区。ぜひ時間を見て見に言っていただければと思います。
 主人公のボンクラぶりと、だからこそ恰好良いところをぜひ見て頂ければと。

投稿: sn@散財 | 2010.04.17 08:24

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11580/48048834

この記事へのトラックバック一覧です: 【感想】第9地区(☆☆☆☆):

« 字と吹と(★☆) | トップページ | さくらさくら動物園、ユビキタスるは不発です。(☆☆) »