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2010.06.12

アイアンマン2、さもなくばアイアンマン対トニー・スターク(☆☆☆)

 アイアンマン! 黄金の鎧を纏う未来の騎士!
 胸に輝く超動力、無限のエネルギーを放つアーク・リアクターを動力源に、いかなる攻撃も寄せ付けぬ超金属の装甲、戦闘機に互して空を駆ける運動性、そしてレーザーから催眠ミサイルまで、硬軟取り混ぜた柔軟な武装。
 アイアンマンを生み出した者こそ、アイアンマンその人。天才技術者にして大富豪、スターク・インダストリー社を率いるトニー・スターク。

 彼が記者会見の席上で、自ら正体を世間に暴露してから半年。アイアンマン=トニー・スタークは相変わらず、社長として、ヒーローとして、エネルギッシュに活動を続けていた。アイアンマンとして、ヒーローとしての活動の一方、スターク社の社長として心血を注いでいたのが、スターク・エキスポ…… 世界中の企業と科学者を招いた大イベントの開催だった。それは30数年前にトニーの父ハワードが開催して以来となる、スターク・インダストリー挙げての大イベントだったのだ。

 絶好調を通り越して躁状態で快進撃を続けるトニー=アイアンマンに、周囲はさまざまな視線を注ぐ。
 人々はアイアンマンとトニー・スタークに熱狂していた。
 様々な国家、とりわけアメリカと友好関係にない国家は、それぞれのやり方で我流のアイアンマンを作り出そうとしていた。
 秘書ペッパー・ポッツとボディガードのハッピー・ホーガンは、家族同然のトニーの振る舞いに、時にうんざりしつつ不安を覚えていた。
 軍人であり友人でもあるジム・ローデス中佐は、トニーと周囲との軋轢を調整するのは自分の義務なのだと己に言い聞かせていた。
 政府はアイアンマン・アーマーを「兵器」と見なし、民間人のトニーから兵器を取り上げる計画を練っていた。
 ハマ-社を率いる兵器商ジャスティン・ハマーは、兵器産業から手を引いたスターク社の後釜となるべく、アイアンマンを超える兵器を希求していた。
 テレビの向こうで、ロシア人技術者イワン・ヴァンコは、トニーに憎しみの視線を滾らせていた。父親から引き継いだ憤りと憎しみを。
 秘密組織シールドのニック・フューリー長官は、どこかから何らかの手段で、トニーの行動の全てを監視していた。
 そしてトニー・スタークは、今背負っている責務に、そしてやがて支払うべき代償の重さに、徐々に自分自身を見失いつつあった。
 とりわけ、仮面を。仮面を被った自分自身を。

 華やかなスターク・エキスポの陰で進む様々な事態。やがて武装したイワン・ヴァンコが、ウィップラッシュとなってアイアンマンの前に現れる。彼は嘯く。お前の負けだ、トニー・スターク。彼の挑戦が引き金となり、トニー・スターク第二の試練、そのクライマックスは幕を開ける……。

 というわけで、アイアンマン2を見て来ました。立派にアイアンマン2だと思います! バットマン・ビギンズがダークナイトになったみたいな、野放図もない超進化はさすがに期待してはいけませんが、前作を見た(もしくは元々のマーヴルにそこそこ詳しい)上であれば、まず文句のない一作でありました。
 マーヴルスタジオの映画でいつも感じる、掴みのシーンの省略のうまさは、今作でも健在。最初のスタッフロールが終わるまでの間に、だいたい現在の状況を把握させてくれます。
 ……あ、そういえば、前回話題になった「ロボットが出来るまでの過程が面白い」と言う意味では、今回はアイアンマンがもう完成してる関係上、ちょっとそういうシーンは少なめです(無茶な開発してるシーンは出てきますが)。ただ作中で、めちゃくちゃなクライアントに振り回される技術者みたいなシーンがあるので、そういうところはニヤリとできる人がいそうな気がします。まあなんだ、技術者の方がもっと無茶だったりするのですが。

 もちろん僕らのヒゲ社長、トニーは相変わらずダメ、というか残念な感じの人なのは相変わらず。もっとも、前作時点のトニーに比べると、ダメっぷりが解りやすくなっている(ダメな理由もきちんと提示されている)ので、「アイアンマン1の時のほうのトニーがダメで良かった」と言う人もきっといると思います。我ながら何の話してるのかよくわかりませんが、きっとわかってくれる人はわかってくれる。だがしかし安心してはいけません。前作からのキャストももちろん素敵なのですが、本作初登場のキャストがなんとも魅力的で見所なのです。

 まず注目すべきなのは兵器商人ジャスティン・ハマーを演じるサム・ロックウェル。もうこのハマ-が、なんていうか、トニーがヒーローになった分、ちょい不足したダメ人間成分を補充して、かなり余りある感じの残念な人っぷりを発揮していて、もう画面に出てくると目が離せません。一言で言うと、ものすごく空気が読めてない感じなのですが。ハイテンションな一方的っぷりと言うか、人の言っている事や要求している事が根本的に解っていない感じがもうたまりません。イヤな奴って言えばイヤな奴なんですが、それ以上にいとおしいほどのダメな人っぷり。たまりません。

 じゃあサム・ロックウェルが一番の見所かって言うと、これが悩ましいことに。ミッキー・ロークの演じるイワン・ヴァンコ、ウィップラッシュが、またものすごく魅力的なのです。CMとかPVとかで、ウィップラッシュがトニーの乗ったレーシングカーを真っ二つにするシーンを見た人も多いと思いますが。あの登場、そしてあの暴れっぷりはイワンの活動のほんの一部にしかすぎません。先入観で思っていたのとはやや違う動きをし始めて、しかもそれが異様に恰好良いのです。
 そうそう、スカーレット・ヨハンソンのブラックウィドウも忘れてはいけません。彼女は面白い立ち位置で、なまじっか原作のキャラを知っていると、映画での立ち位置がかえって予想しづらくなるのです。この映画では逆に珍しい、人間のアクションも切れ良く見せてくれますよ。

 癖のあるキャラクターに捻った台詞、ダメさ健在の主人公に豪快爽快なメカ戦と、エンターテイメントを行儀良く詰め込んだ一作であります。お友達とアセンブルの上ゴーして頂ければと思います。

 見に言った人はぜひスタッフロールのそのあとまで! 恒例のちょっとおまけ、今回もありますよ。
 あるのはわかっていたのに反応してしまった自分がやや悲しい。「あーーーッ!」とか言っちゃいましたよ全く。

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