夢見る魔法少女じゃいられない(キャリア10年ともなると)(☆☆☆)
一迅社 (2010-07-17)
売り上げランキング: 980
きのう届いて一気に読んでしまいました。さあ、なんていうか、これはなんて言っていいのか困る本ですな。
とりあえず、ウォッチメンが好きで魔法少女ものが好きで、冗談が解る人にはお勧めできます。そういう人はたぶん「俺ならこうする!」的な妄想がもりもり湧いてきそうな本だと思いますが、それを楽しみと見るか不満点と見るかが、また分水嶺になりそうな。
ウォッチメンは詳しいけど魔法少女ものはそんなに詳しくない、と言う人も十分に楽しめると思います。これは自分はこのカテゴリだからなのでしょうけど。逆に、魔法少女ものには詳しいけどウォッチメンには詳しくない、って言う人は、どうなんだろう。難しいかも知れない。最後にウォッチメンにも魔法少女ものにも詳しくない人は…… この本を読んでどういう感想を持つのか、むしろ逆に興味がある。そんな感じの本です。
魔法少女活動が法律で禁止されてから10年、非合法のまま活動を続ける、世界最後の『魔法少女』。そして偶然からそんな彼女のところに押しかけた「魔法少女の弟子」である魔法少女…… ではなく実は少年、その二人が主人公となる物語なのですが。
主人公が言うまでもなくロールシャッハであるように、登場人物や筋運びは、ウォッチメンのフォーマットに魔法少女もののキャラクターを当てはめている(元ネタがよくわからないのがあるので断言はできませんが)のですが、読み進んでいくと、それが本質からしてそうなのか、表面的にそうしているだけなのかがよくわからなくなってくる。魔法少女ものと言うフォーマットを使って、ウォッチメンを整理しているようにも見えるし、ウォッチメンの枠組みを使って魔法少女ものを自分なりに組み直しているようにも見える。どっちかのベタコピーかと思うと、そういうわけでもない。……なんていうか、微に入り細に入り、を忠実にパロディすることで、大枠を作り替えている事に気付きにくくしている、みたいな、そういう印象もそこそこに受けます。
戦うべき悪を見失った正義の行く末、と言う筋の組み立ては、確かにウォッチメン的と言うかロールシャッハ的なテーマを、魔法少女もの(それも一昔前の魔法少女もの)と言う柱と組み合わせて作りあげた、なんていうか、面白くないとか意味わかんないとか言われても、ソウデスヨネーとか返事しそうになる、一種の怪作。
続編を、書こうと思えば書ける恰好にまとめているのか、ややもって終盤に弱い、と呟きそうになりはしますが、まあ比較対象がウォッチメンなわけですから、比べられてしまう対象が悪すぎる、と言えましょう。
冗談が解って珍しいものを求めていて、あるいは元ネタを熟知している人にはお勧めできる作品だと思います。まあ、あれだ。大ヒットしてもまず間違いなく、アニメ化とかされることはない作品でしょうなあ……。
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