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2010.09.20

ブルートゥースは燃えているか! 衝撃のブラックリスター(☆☆☆)

 ブラックリスター、流浪なき難民。誰もの隣で獲物を待ち受ける、経済と言う怪物の犠牲者。
 しかし利用し尽くされ打ち捨てられた彼らを、なおも鞭打とうとする者もいる。
 彼らが投げ込まれたのは現代のコロッセオ。戦うは彼ら自身にあらずして、彼らが身銭で築いた分身。二足歩行のロボット達。

リンク: BLACKLISTER OFFICIAL SITE.

 華やかな夢の都会暮らしに、いつしか借金に塗れたフリーター・神無。捨てる神はあっても拾う神はなし、彼女がすがった『人生再生セミナー』は、とんでもない新たなトラブルの始まりだった。謎の男・蛇音色の差し金で、集められた男女四人は、莫大な違約金とさらに莫大な賞金に釣り上げられて、二足歩行ロボットによるトーナメントバトルにかり出される事になる。
 揚々と引き受けはしたものの、神無にはロボットのロの字も解らないまま。言われるままに訪れたロボットショップ・テクノロジアで体裁を整え、リハーサルバトルに望んだものの、そこで待ち受けていたのは、あまりにも大きな敵と現実だった。
 それぞれに引けない理由を抱えた闘士四人、さまざまな理由で彼らを見守り、彼らに関わる「格闘家」達。やがて訪れる決戦の日、勝ち残るのは一体誰か。そして彼らの人生に、再生の日は訪れるのか?

 ……と言うわけで、ブラックリスターの試写会見て参りました。最初の一言の感想は、大変失礼ながら「ちゃんと映画になってる!」でした……(笑)。
 全体にちりばめられた、なんていうか予算を感じるインディーズな風味や、脇役に当たる登場人物達の実在っぷり(ROBO-ONE GPなどで有名な人物にちなんだ登場人物や、それぞれの周辺設定の盛り込みっぷり)など、言ってしまえば内輪受けになってしまう部分は確かにありますが。そういったところをさっ引いても。
 苦難に頭から突っ込んでいく羽目になる主人公を軸に、王道に突き進む筋運びは、むしろカンフー映画と言うか、古色ある少年漫画と言っても通じる正統派な組み立て。主人公、そしてのちに登場する師匠とそしてライバルの関係など、まさに清々しいまでの王道っぷりです。師匠、カンフーマスターにも程がある。

 話のメインになるのはロボットのバトルなんですが、かなり「実在の二足のロボットでもやろうと思えば出来る」動きに、そこにファンタジーを盛り込んでいると言う風情。飛んだ跳ねたビーム打った、みたいな底の抜けた派手さはありませんが、がつんごつんと言う重量を感じるぶつけ合いは、実物のロボットバトルの雰囲気とフィクションを、うまいこと落とし込んでいると言う気がします。知らない人が見ると地味に思うやもしれませんが、今の二足って割とああいう感じなんです、と言うあたりで。

 渡邊監督の熱意と関係者の皆さんの尽力で成り立ったこの映画。インディーズ映画として見ても面白い部分が多くあるとのこと。NODEのブラックリスター紹介記事でも出ていますが、映像は全てキヤノンのデジタル一眼レフ、EOS Kiss X4のムービーモードで撮影し、交換用のレンズも一種類だけしか使っていない、とのこと。カメラのことはあまり詳しくない自分ですが、なんていうか、普通のカメラを使って撮影してるんだろうと思っていたので。一眼レフとはいえ普通のデジカメで映画一本まるまる撮っちゃったと言うところには、かなり驚かされた次第です……。

 手作り感で片付けるには失礼に当たる、様々な方面での驚きと意外性の詰まったこちらの一作。やや特殊な場所(銀座近く、築地本願寺ブディストホール)のみでの上映とはなっていますが。機会を設けてでも、足を運んで頂ければと思います。
 期間は27日~10/11までの、途中お休みを挟んで13日間。詳しい日程はサイトの上映スケジュールの方をご確認の程。たぶん10月の三連休あたりお勧めです。

 それにしても、主人公のお金に対する緊張感の無さには見ていてはらはらしますね……。
 どのへんがそうなのか、気になった方はぜひひとつ。

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