信頼は金では買えない、信頼できないと金は払えない。(☆☆)
およそ個人に関して云えば、信頼はお金では買えない、とは大体の人が意見を同じくすることだと思いますが、これが企業を相手にすると、そうとも云えなくなってくるのが面白いところです。
良薬は口に苦し、と云う言葉は、本来の語彙では受け入れにくい忠告こそ大事である、と云う意味になりますが、あえて表面だけで捕らえてみても、日常的な考えの中にある、なにかしらバランスを求めようと云う考え方が覗き見えて面白いです。
苦いからといって良薬とは限らないし、甘い良薬があってもいい。いや、むしろ甘い良薬があればそれに超した事はない、と思いはするものの。それでも、良薬は口に苦し、と云う言葉には、やましさを中和してくれるような、妙な安心感がある気がします。
プラシーボ効果(スパシーボ効果ではない)で説明されるような、「高い薬は効く気がする」と云うのも、考えてみれば同じような発想のもとなのかも知れません。効能に代償が伴えば納得できる。鋼の錬金術師ばりな発想が、なにかしら染みついているのかもしれません。金額が薬効に影響があるはずは本来ないのですが、人間の思い込みの力ってのは、まあなんだ、すごいものなのだと思います。
それがかたちのない、まさにサービスみたいなものになっていくと、さらにこのあたりの考えは曖昧なものになっていく気がしますね。どのくらいの効能を得られるのか? それは本当にそのサービスでしか得られない効能なのか。そこに支払う金額はどのくらいが妥当で、どのくらいが相場で、そしてどのくらいが納得できるものなのか。なんていうかまあ、よくわかんない、としか云いようがないですよなあ。
医療行為なりサービスなり、なんだか確実かどうかよくわかんないものに。こう大金を投じる人と云うのはそれなりにいるわけなんですよねでも。少なくとも、市場を形成するには十分なくらいにはね-。それはおそらく、「大金を投じた」と云う代償を自らに架す事で、はじめて「薬効があるはずだ」と云う確信を買う事ができる、と云うところに帰結するのでしょう。
鰯の頭も信心、と言いますけども、100円の鰯の頭より400円の鰯の頭のほうがありがたみがある気がする(そして5000円の鰯の頭を買う人がいたら、それはどうなんだと突っ込まずにはおれない)。観客様はみな鰯。
そういうのが人間の面白いところなのかも知れませんなあ。そんなことも思う昨今です。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 振り返り2024年インデックス(2024.12.31)
- 振り返り2024年(PBW)(2024.12.31)
- 振り返り2024年(ゲーム/PBW以外)(2024.12.31)
- 振り返り2024年(旅行&外出)(2024.12.31)
- 振り返り2024年(読書)(2024.12.31)
コメント
……良い表題ですなー(しみじみ)。
投稿: 蘭堂 | 2010.10.29 02:21
>蘭堂さん
おおう、タイトルとは意外なところに食いつきが。ありがとうございます(笑)。
個人が会社とかサービスとかと付き合う、って言うか、利用する/しない、っていうのは、色々考えるし色々難しいなあ。みたいなことを言おうとした、と言うようなお話でした(笑)。
そういえば記事のタイトルを書くときって割と考え込みますね。本文が出来てるのにタイトルが思いつかないとか、わりとある気がします。
投稿: sn@散財 | 2010.10.30 09:09