ガフールの伝説(☆☆☆)
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いつかどこかの森の森。世界の王者たるフクロウたちが、ひそやかに文明を築いた世界。
ティト森林王国の深い森、メンフクロウの雛ソーレンは、両親と兄弟達とともに暮らしていた。夢見がちなソーレンと妹エグランタインのお気に入りは、「ガフールの勇者達」の物語だ。世界の何処かにあると言うガフールの神木、正義の志を持ち神木に集う、フクロウたちは、弱きを助け悪しきを討つ秩序の護り手だ。お気に入りの勇者。キールのライズの物語を熱く語る兄妹達に、クールな長兄クラッドは冷めた視線を送るのだった。
しかしある夜事件が起きる。ひょんなことから巣から落ちたクラッドとソーレンの兄弟が、悪しきフクロウの一団・純血団に捕らえられたのだ。ティト(メンフクロウ)だけが支配者と考え、誘拐したフクロウたち達を恐るべき月光麻痺で奴隷に変えていく純血団は、平和なフクロウ世界の征服を狙い着々と力を蓄えていた。
甘言で誘う女王ナイラに逆らい、サボテンフクロウの少女ジルフィーを庇った、ソーレンは、クラッドと引き離され月光麻痺に晒されてしまう。まだ飛ぶ力もない二羽は、やがてしかし空へ旅立つ事になる。新たな仲間、ディガーとトワイライトと出会う事になる。長い旅の果て、とうとうガフールの神木を見つけ出し、伝説の通りの救いを求め、彼らに純血団の陰謀を知らせる努めを果たす事になる。
しかし四羽の物語は、ここでは終わらない。勇者に憧れ、勇者に救いを求めたソーレンは、やがて自ら勇者の道を辿る事になっていく。生まれも種族もばらばらの、強い絆で結ばれた四羽。未来のガフールの勇者達の、誕生の物語が始まるのだ。
と言う訳で、「ガフールの勇者達」の映画版。ザック・スナイダー監督がフルCG、なおかつ3D作品と言う、外連味たっぷりな方向で見ても納得できる一作です。
原作で扱われているのは、だいたい1巻~6巻くらいの、勇者達と純血団の戦いまでを取り扱っています。もっとも話の筋はかなり整理されており、わりと筋運びは(一部わかりにくいところはありますが)解り良い感じ。このへんの手際のいい整理加減は、「ウォッチメン」で心配になっているところには嬉しい安心です。
ネタバレしない程度に大きな変更点を申し述べると、聖エゴリウスと純血団が一緒になっている(純血団の下にエゴリウスがあることになっている)事と、メタルビーク周りの設定でしょうか。もっとも大部分のストーリーは維持されていますし、キャラクターの魅力的さ加減は、フクロウの生態と言う事で想像しにくい部分が、かなりパワフルに描写されており、まさにCGは動く絵本と言う迫力です。
絵、といえば、動きはまさしく3Dで使うと言う事を前提にして作り上げた絵は、効果的に「止め」を多用した見栄っぷりたっぷりな代物。オープニングでも、抜け落ちた羽根が一瞬すごいズームになって絵が止まった後、また何事もなくフクロウたちが飛行していったりとか。カットイン演出が魅力です。
そして、鉄兜と戦闘爪(かぎ爪に装着する金属の爪)で武装したガフールの勇者達と純血団の戦いは、まさに空飛ぶ300人のスパルタ兵。戦闘爪と戦闘爪が火花を散らし、一回転して投げつけたり、撃墜されたフクロウ達が谷間の底へと消えていったりと、滅多に見られない肉弾空中戦っぷり。これは確かに、映画館で3Dで見ておきたい映像であります。
話の筋はうまいこと整理されていて、迫力十分な絵とストレートに勇気の大切さを訴えるストーリーは、映画館で一見する価値のあるものだと思います。個人的には原作を読んで、キャラクター達の省略されなかった本来の姿を(特に僕らのオツリッサ先生)見てほしいものだと思います。
そんなかんじで、お勧めの一作でありましたよ。初めてバルト9で見た作品でもありました。
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