トロン.2.010(☆☆)
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前作トロンの主人公ケヴィン・フリンを演じたのが、ジェフ・ブリッジズ。
28年後の、この続編でも。彼は、あれから27年後のケヴィン・フリンを演じています。
デジタル業界の旋風児、世界企業エンコムのCEO。そしてプログラム・トロンと共に、目映い電子世界で戦いを繰り広げた人知れぬ英雄。彼、ケヴィン・フリンが突然の失踪を遂げてから、もはや20年の歳月が過ぎていた。
父の帰還を信じた7歳の息子も、筆頭株主の地位と自分自身の気持ちを持て余す、27歳のサム・フリンとなっていた。経営へ関わるよう勧める重役アランの誘いも断り、納得のいかない憤りを抱えたまま生きているサム。彼が閉鎖されたゲームセンターに向かったのは、20年ぶりに鳴ったポケベルが原因だった。
父ケヴィンからの、20年ぶりの通信。願望と疑いがないまぜのまま、訪れるサムを、謎の地下室と鍵が刺さったままのドアが出迎える。これは何か、さらに先に……。一瞬の目眩のあとサムが迷い込んだのは、圧倒的な闇と目映い光で形作られた、幾何学的で非現実的な街並みだった。
捕らえられ、判決めいた文言を下され、わけがわからないままにプログラムと見なされて『ゲーム場』と投げ込まれるサム。歓声を上げる大観衆。一対一の戦いを強いられ、一瞬の油断で両断され微塵となって消滅するプログラムの剣闘士達。そして王の椅子から、その全てを見渡す独裁者。
それらすべてが、ケヴィンが作り上げた世界・グリッドだった。ネットワークから切り離され、誰一人知り得ない世界。単一のハードウェアの中に構築された世界。それはプログラムの独裁者がプログラムの民衆を支配する、スタンドアローンの独裁国家そのものだったのだ。
父親に会いたい、一緒に戻りたいと願うサムは、謎の女クオラともども否応無しに絶対者クルーとの戦いへと巻き込まれていく。ケヴィンはどこにいるのか、このグリッドに一体何が起きているのか。そしてかつての父の盟友、トロンは一体どこにいるのか? 謎を追いかけ、謎に追われ、ただひたすらに走り続けるサム・フリン。決戦の時と場は、刻一刻と彼と仲間を追い詰め続ける……。
てなわけで、あの。あの、トロンの続編、トロン・レガシーです。これがまた、なんていうか気合の入った作品でありまして。トロンの前作は実に28年前、1982年の映画なんですが、前作の主人公とその親友、ケヴィンとアランを、ジェフ・ブリッジズとブルース・ボックスレイトナーがそのまま演じています。作中でも27年(2009年と言う設定)の時間が流れているので、ほぼリアルタイムに「トロンの続編」なんですね。
前作トロンはどんな話かさすがに忘れてしまったのですが、今作で舞台になる仮想世界・グリッドは、前作のあとでケヴィンが単独で作り上げたシステム、と言う事になっています。滑らかな黒、と表現された闇をベースに、目映い光が重なるイメージは前作を綺麗に踏襲したままで。どこか8ビットな風情を漂わせたまま、当時の空想を遙か遙かに超えたレベルのCGを注ぎ込んで、危険なまでに清潔な世界を作り出してみせています。
リングの一撃で、キューブの集合体となり砕け散るプログラム達。冷たく固いソリッドな光の帯を引いて、地上を駆け抜けるライトサイクル(昔のゲームの通り、ちゃんと尻尾の光には当たり判定がある)。そのシンプルに引き絞られた画像を、きっちりと3Dに仕上げている様が、秀才的な美しさとなって映えています。
ソリッドで削ぎ落とされた(それを贅沢に表現した)映像の美しさと、プログラム同士の身を削り合う…… 本来であれば相当に血なまぐさい…… 戦いを、冷徹に非人間的に纏め上げた。その中に、ふっとあるはずのない人間味を漂わせるような。溢れるイメージをそのまま形に落とし込んでしまいました。そんな感じの作品でありました。
3Dの技術もかなり円熟になってきた気がしますが、元々が自然以外のものを集中的に取り扱っているこの作品、3Dの映像とはかなり相性が良い気がします。
というわけで、トロン見てきました! と言うお話でありました。
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