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2011.03.06

恐れを知らず死にも怯まず(☆☆☆)

デアデビル:ボーン・アゲイン

 たとえその目に光はなくとも、彼は何者も見逃す事はない。
 昼は盲目の弁護士マット・マードック、夜は研ぎ澄まされた超感覚で戦う闇のヒーロー・デアデビル。スパイダーマンやキャプテン・アメリカら超人的なヒーロー達とも時に肩を並べ、法と超法規の両方の手段を用い、社会に隠れる悪と戦い続けるデアデビル。
 これは、なにもかもを失った彼の物語。地位も職業も、信用も秘密も、そして正義すらも。

 ごくごく小さな出来事から全ては始まった。マットのかつての恋人が、わずかなドラッグと引き替えにデアデビルの秘密を売ったのだ。情報はたちまちのうちに、デアデビル最大の宿敵・キングピンの手に落ちる。ニューヨークの暗黒街を支配する帝王キングピンは、周到に注意深く罠を巡らせていた。
 罠に落ち、家も財産も職業も失い、ぎりぎりまで追い詰められて暴走しはじめるマット。彼の秘密を知らないがために、苦悩を知りながらも事態に戸惑う親友フォギー、この混乱の最中に破局を告げる恋人。そして真相を追う記者ユーリックもまた、街のあらゆる場所に潜むキングピンの組織の前に、孤立と不信の危機に追い詰められていく……。

 というわけで、マフィアのボスたるキングピンの恐ろしさが遺憾なく発揮される本作。かなり前の作品ではありますが、「シン・シティ」のフランク・ミラーの若い頃の作品だけあって、ストーリーと台詞回しは絶品です。
 前半のマットが(キングピンの罠とは関係無い部分も含めて)じわじわと絞め殺されるように追い詰められていく様は、まさに圧巻。フォギーやユーリック、カレンといったマットの仲間達も、それぞれに孤立し、窮地に立たされていくのです。どこにでも、警察の中にすら内通者がいて、誰も信頼できない状況に追い込まれていくのですが…… 話を見ていて特筆すべきだと思うのは、デアデビルもキングピンも、どちらもそれぞれの敵と戦いながらも、より強く、自分自身と戦っているのだ、と言う点でしょう。数多くの味方、あるいは無数の部下に囲まれながら、この二人はどちらも、どうしようもなく孤独でもある。

 己自身を信じる、と言う、どうしようもなく長く、宿命的に孤独な戦い。ハードボイルドの小説に見いだすべきテーマを真正面から盛り込んだ骨太の作品であり、それができるデアデビルのポテンシャルを楽しめる、そんな作品だと思います。これは「デアデビルがどういうものか?」って知らなくても、わりといけると思いますね。

(でも順番で言うと、巻末の特別編を先に読んだほうが、話の流れがわかりやすいと思います。と、思いました)。

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 素顔を隠すと、私たちは大胆になる。程度の差はあるけれど、普段の自分と異なる言動ができるようになる。  悪い例だと、ネット上で悪口を撒き散らす「名無しさん」とか、覆面 ... [続きを読む]

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