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2011.03.21

THE CASE BOOK OF YAGYU JYUBEI、剣豪探偵柳生十兵衛の事件簿(☆☆☆)

柳生十兵衛秘剣考 (創元推理文庫)

 時は寛永、江戸時代。三代将軍・家光公の治世の頃。すでに天下は平和に治まっているとはいえ、武断の気質はなお残り、武術修行の浪人者も諸国を放浪しているそんな、ご時世の事。

 皆様ご存じ、柳生新陰流の若様、剣豪・柳生十兵衛も、当時はそんな放浪の身のひとり。江戸の実家を追い出され、気の向くままに諸国を巡る十兵衛に、なにやかにやで関わり合いになってしまうのは、生真面目な男装の女武芸者・毛利玄達。
 旅行く先々で道行きが重なる二人、そしてその前に現れる古今の剣豪、彼らの振るう秘剣・事績の数々。飄々たる朴伝の兵法無手勝流、水面を斬れば遙か彼方の敵をも切れると言う秘剣・水鏡。あの宮本武蔵に勝負を挑んだ剣豪、その切り札は謎の奥義・八寸ののべかね。
 かくて剣豪達の様々な謎を目の前にして、僅かな手がかりを元に推理を積み重ねる十兵衛と玄達。やがて二人は次々と、秘剣、そしてその秘剣物語の、誕生の秘密を解き明かしていく……

 というわけで、英語のタイトルを見た瞬間に、えーッとびっくりしちまったこの本ですが、このタイトルは完全に内容を適確に現していました。自分は詳しくないもので、兵法無手勝流くらいしか知らなかったのですが、この本に書かれている剣豪の伝説は、すべて斯界では有名な、そしてそれだけに、たくさんの解釈や新解釈がなされているエピソードの数々。それらの物語を「状況証拠」から解き明かしつつ、言わば探偵役の十兵衛と、助手役の玄達が、なんだかんだと腐れ縁を漂わせる軽妙な会話を闘わせながら(なにしろ「姫様」「だから姫様と言うな」がこの二人のルーチンギャグ)、ミステリ的に頷ける解決を、ぴしりぴしりと軽快に当てはめていきます。もちろん主人公が柳生十兵衛であり、物語の秘密が秘剣にこそあるのであれば、十兵衛や玄達、それにゲストの剣豪達の立ち回りも、シンプルで力強い見せ場となりえます。時代ものの予備知識がそんなになくてもこれだけ面白いんですから、この手の世界が大好きな人ならきっとたまらんでしょう。
 いろいろな角度から楽しめる、興味深い連作中。作者の方の前作も興味深そうな構成ですので、そちらもちょっと探して読んで見たいと思います。

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