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2011.07.03

そして戦うマイティ・ソー(☆☆)

2011070206

(※写真と本文はあんまり関係有りません。新宿バルト9に見に行ったらなんかマシンザボーガーがあったので)

 というわけで、下北沢にスープカレー食べに行ったそのあとで。見て参りましたマイティ・ソー

 かつては人間に近しかった世界、いまは遠い世界。はるかな宇宙の彼方、神々の住まう世界アスガルド。
 神々の王・オーディンの息子ソー。愛用のハンマーを振るえば武勇無双の武神である彼が、世継ぎと定められるはずの晴れのその日に異変は始まった。祝いの席の隙をついて、宿敵ヨトゥンヘイムの巨人族が、アスガルドの武器庫へと侵入したのだ。

 彼らの狙いは、かつて人間の世界、ミドガルドを巡る争いで奪われた霜の力を秘めた箱。宝物庫の番人デストロイヤーが圧倒的な力で賊を焼き払い事なきを得たものの、激高したソーは父オーディンや義弟ロキの制止も振り切り、怒りに任せてヨトゥンヘイムへと殴り込みをかけてしまう。

 短慮が招いた世界の危機。息子に怒り失望したオーディンは、ソーの持つ神の力を奪い、ハンマーに封じ込めてしまう。神の力にふさわしい気高い心を持つ者以外は、決して持ち上げる事ができない、という魔法を込めて。
 かくてオーディンの怒りの前に、神々の世界を追放され、ミドガルドへと文字通り堕天したソー。ニューメキシコに墜落した彼が、物理学者ジェーン・フォスターの車と事故を起こしたのは決して偶然ではなかった。ジェーンが追いかけ、ついに尻尾を掴んだ空間転移現象の痕跡、それはアスガルドから他の世界へ続く、虹の門が開かれたときに生じるものだったのだから。
 神々の力をすでに失い、ただの人間に落とされながら、爛漫かつ傲慢な振る舞いを改める事のできないソー。ジェーンと仲間たちは空間転移現象の謎を解き明かすため、それ以前に放っておくことがどうしてもできず、行く先々でトラブルを起こす彼と同行を余儀なくされる。
 一方、ソーが去り、戦争の危機の迫るアスガルドでは。オーディンが、ソーの友であるシフと三戦士が、門の番人ヘイムダルが。そしてとりわけ、義弟にして策略の神の二つ名を持つロキが。それぞれの思惑で動き出していた。
 そして神々の王だけに従うデストロイヤーは、その恐るべき力を秘めて、宝物庫の奥底で、ただひたすらに王の命令を待っていた……。

 というわけで、雷神ソーの映画化でありました。3Dで見てきましたよ。マーブルヒーローの有名どころの中では、恐らく一番日本で知名度が少ないであろうこの作品。
 神話といいつつその実宇宙規模のヒーローの作風にふさわしく、地球は舞台のごく一部、にとどまらない広大な世界を文字通り交錯させながら展開していきます。ソーとその世界感がどういうものかというのはなかなかややっこしいのですが、話の序盤の展開で、うまいことまとめているんじゃないかという気がします。

 この作品の見所といえば、天真爛漫で暴れ者の雷神ソーの、無双の暴れぶり、と言うべきところなんでしょうけども、けだし作品の真の主役は敵役のロキといっていいでしょう。
 いたずら好きの神、策略の神のロキですが、この映画版のロキは、ただ悪意のための悪意で行動する愉快犯ではない、そうせざるを得ない血を吐くような事情があって、その罪に手を染める存在であって、キャラクターの掘り下げという意味ではもっとも納得ができる造形に仕上がっている気がします。たぶんロキの出来がよすぎるせいで、ソーの…… そういうキャラなので仕方がないのですが…… ナチュラルな傲慢さが、どうにも今一つ魅力を感じにくかったものにしてしまってたんではないか、と思います。それだけに中盤以降の展開は、ロキの陰謀が明るみに出るに従って、良くも悪くもあくまで陽性で、疑うということをあんまりしないソーの行動が、悲しいものに見えてくるわけなのですが。
 ともあれ、中盤のアスガルドでの展開あたりは、ロキの動向がかなり目を離せないものになっていると思います。

 ただ話を見ていて引っかかったのは、コメディチックな要素が目についてしまったところでしょうか。好みで言うと、あんまりうれしくなかったなあと言う感じ。ソーの傲慢さを嫌みがない程度に押さえるにはコメディとして処理すべきなんだろうなあ、と思わなくもはないのですが。
 映画ではソーはソーのままですが、原作コミックにおけるソーは、オーディンの怒りに触れて人間界に落とされた時、足が不自由な医師のドナルド・ブレイクとして一度転生する、と言う形で人間界に顕現しています(映画版でもドナルド・ブレイクの名前がちょっとだけ出てきますね)。

 つまりウルトラマンに対するハヤタ隊員みたいな感じなわけで。弱い立場の人間として暮らす事で、神に相応しい気高い心を身につけさせる、と言う展開だったわけですね。筋立ての関係で難しかったのだろうとは思うのですが。特に地上のシーンがコメディっぽい演出が多いのを考えると、そこはネジを緩めないでやってほしかったなあ、と言う感じは正直思います。ソーは傲慢で自信過剰だけれど、それだけに真剣であり誇り高くもある。あんまり茶化しちゃうのは嬉しくないな、と、そんなかんじで。今までシリーズほぼ皆勤なのに空気だったコールソンさんが、それなりに活躍しているのは嬉しかったのですが……。

 アクションシーンのバランスの取り方とか、残念ながらいろいろと気になってしまう点は多いのですが、アスガルドの(それにヨトゥンヘイムと)圧倒的なビジュアルと、オーディン、ソー、ロキの三者が繰り広げる親子兄弟の相争うドラマは大変に見所があると思います。

 ほんと、ロキですね。うん。

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» 【劇場鑑賞】マイティ・ソー<2D字幕版> [MAGI☆の日記]
マイティ・ソー<2D字幕版>を見てきました。 神の世界アスガルドの王オーディンの息子ソーは選ばれた者しか持つことのできない伝説の武器“ムジョルニア”を手に、最強の戦士としてその力を誇っていた。...... [続きを読む]

受信: 2011.07.04 16:13

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