月の背中を誰もが知らない:トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン(☆☆☆)
リンク: 映画『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』オフィシャルサイト.
そのとき、誰もが月を目指した-- 住みよい地球と言う我が家を出て、自分の足で隣人の扉を叩こうと。
月が人の住まない空き屋だと、誰もがみんな知っていた。でも、それでよかったのだ。いつか本当の隣人を見つけるための、それは最初のノックだったのだから。
そのとき、ほとんど誰もが知らなかった。月に落ち、月に眠る、宇宙の果てからやって来た巨大な隣人がいることを。
時は下り、現代。地球には我等の隣人、トランスフォーマー達がやってきていた。
二度にわたるディセプティコンとの戦争を切り抜け、オートボットの指揮官オプティマス・プライムは国際社会と信頼関係を結んでいた。ひそかにディセプティコンの再来を監視しながら、人間社会の抱える問題にも、彼らなりのやり方でちょっとした助力を提供していた。
彼らとはちょっと距離を置いていたものの、トランスフォーマー達の地球人最初の友人サムも、順調な人生を歩んでいた。大統領から勲章を貰い、新しい恋人とワシントンに住み、目下就職活動中な事と両親が相変わらずハイテンションな事を除けば(それになぜか同居しているミニトランスフォーマー達も)、人生はまずまず順調と言ってよかった。
しかしその頃、メガトロンやスタースクリーム達、ディセプティコン軍団もまた、激しい戦いを生き延び砂漠に潜伏していた。トランスフォーマーの暗殺者を社会に放ち、人知れず暗殺を繰り返しながら、何かを、じっと進めていた。あるいは、何かをじっと待っていた。
不穏な気配のただよう中、ある調査依頼の結果から、オートボット達は意外な事実を知らされることになる。地球人による月有人探査がなぜ進められたのかという、その真相。そして月に眠る何者かの正体。
なぜ地球人は、そのことをずっと秘密にしていたのか? 不信感と憤りを抱えながら自前の宇宙船で月に向かったオプティマス達は、そこではるかな過去の同朋を見つけ出す事となる--。
とまあ、そんなかんじの筋書きで始まる、トランスフォーマー三部作の完結編であります。
まずはなにより映像ですよね。3Dの効果と言うのは、見ている方が慣れてきた感もあるんでしょうけど、さほど違和感なく入ってこられます。むしろ風景や背景、巨大なビルと、人間とトランスフォーマーと言う大きさの感覚がじっくりと感じられて、動きの迫力よりも遠近感、巨大感を感じるのに一役買っている感じです。……そこがまあ逆に、「非常に大きいはずのものだけが映っているカット」で対比となるものがないと、途端に不思議なミニチュア感が漂ってきてしまうところにつながっている気もするのですが。
アニメについては、今回は前回や前々回にあった、体のあちこちがどこか必ず動いている、と言うようなぬるぬる加減は若干減った気がします。生物よりもロボットっぽい硬質に振った感じがしてますね。ディセプティコンが生っぽい感じの動きをする機体が多かったので、それとはうまく対比している気がします。
今回いいなあと思ったのはアクション。これまでの作品はトランスフォーマーvsトランスフォーマーのぶつかり合いであり、人間(軍隊)が絡む事はあっても、基本は巨大なもの同士の激突。そんなわけで巨大感と重量感はあるものの、ひとつ間違うと非常なアップの絵が続いてなにがなんだかわからなくなる、と言う恐れがありました。
今回はキャッチコピーにある通り、ある事情で人間が主力でディセプティコンと戦う事になります。そこで描かれるのは、ともすれば忘れられがちなディセプティコンの圧倒的な巨大さと重さ、そして残虐さ。
人間対巨大な殺人機械、と言う、怪獣映画的なアクションが、久々にここで展開されることになるのです。混乱し武器も乏しい中、自分よりも遙かに巨大なディセプティコンに立ち向かう軍隊…… これがまた結構強いんですが…… そしてその圧倒的なはずのディセプティコンを、鮮やかに容赦無く薙ぎ倒すオートボットと、バトルのシーンはこのあたりの対比がとても見せ場を押さえている感じ。
また絵敵には、人間に比べて巨大なトランスフォーマー達、その彼らよりもはるかに巨大な敵やものを出す事で、うまく巨大感の強調過多を調整していると思います。
ストーリー的には非常に正統的。過去作品や過去シリーズに出てきた設定やギミックをうまく使いつつ、完結編に相応しい決着編に仕上げていると思います。ストーリーと言うかシーンに冗長なところがあるとは思いますが、野心に溢れた実写版トランスフォーマーの完結編に相応しい作品じゃないかな、と。そう思います。
ともかくもあれです。そのとき、人類は月に立ったんですよ。
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