古代ギリシャ展あるいは肉体への執念なるもの。(☆)
連日連夜と上野へゴーノン、ハイホーハイホー、パンダもなびく。
そんなわけで連休とパンダで賑わう上野公園。今度は国立西洋美術館に、古代ギリシャ展を見に行ってきましたよ。
毎回通るたびに写真を撮りたくなる地獄の門の前を通り抜け、それほど並んでいないと言う情報をもとに、中へと乗り込みます。
オリュンポスの神々、半神たる英雄。ギリシアの人々にとって神は人の究極たるべき属性を備えた存在であり、神の肉体は即ち美の極致である人間でした。
節制を重んじ、美とは肉体と精神の両方に宿るべきだと思っていた彼らにとって、たとえばディオニソスの従属者のビールっ腹は、ダメなものの象徴であり、しばしば現実に存在していたもののカリカチュアなのでしょう。
男性主義的なのは、これはもう古代社会の通例なのでしょうがないにしても…… とはいえ、アフロディテが美と愛の神であり娼婦の守護神でもあることを考えると、古代におけるインフォーマルな女性の地位と言うものには、まだまだ研究の余地がありそうな気がするのですが。こういう話をするとクロノアイズの「歴史上男性が強かった時代なんてホントはなかったんじゃないですか」って言う台詞を思い出すのですが、脱線回復。一陽来復。
競技会が神事であり軍事でもあった時代にあって、鍛え上げた肉体こそが美しく、その肉体にこそ美しい精神が宿る(もしくは宿る「べき」)と考えたギリシアの人々が、どれだけの注目を筋肉、そして肉体に注いだか。
その進歩史と筋肉、そして肉体描写の精緻。静的なそれではなく、実に動的な、張り詰められた弓に矢がまさに放たれんとするような、地を掴み全力を蓄えた、たとえば足の指の描写に。美しかるべき人間の姿を、ありのままに、あるいはもっと美しく記録しようとした、そこにある美は、遠い未来のひらたい顔の民族が見ても、美しいと思える。人の肉体が囚われた、美意識と言うものなのかも知れません。
ギリシアの当時の暮らしぶりをありのままに説明しているだけに、そこにあるあけすけな、と言うか、あけっぴろげな様々の当時の様子が紹介しているのも興味深いものがありました。ホモすぎる(意訳)とか美術品の解説に書いてあって割とどうしようかと思った。もっとも説明をきちんと読んでいると、同性愛が社会システムに組み入れられていたような雰囲気さえも受けますよな。
エロティックなアフロディテの像が、わりと真電の宣伝っぽい用途で複製されて設置されてたとか、色々わくわくする話を聞き込んだりとかしつつ。今まで一度も入った事のない常設展の方も覗かせて頂いて、退出して参りました。
この連休は三日中二日も上野の博物館に通った勘定になるわけですが。たまにはそんなこともあってもいいのかなあ。と、そんなことを思った週末でした。精神にも充電が必要ですよ。ねえ。
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