気になる密教、下の人。(☆☆)
平成館の向こうにちょっぴり見えるスカイツリー。
昨日の徹カラですっかり出遅れましたが、期間あとわずか、東京国立博物館で行われている「空海と密教美術展」にばたばたと行ってきました。
空海と密教美術展は、主に密教の創始者、弘法大師・空海にまつわる様々な文化財を紹介している展覧会。
内容はいくつかのカテゴリに分かれており、空海の書いた書や手紙類、そして唐から招来した様々な仏教関連の品物。さらに葬礼な仏像に巨大な曼荼羅図などの、様々な密教アーティファクト。等々を、主に年代やテーマごとにまとめて展示しています。
どちらかと言うと神秘主義的な傾向を持ち、かつまた様々な祈祷をよくした密教にあって、内外への説得力を持つ儀式、それに用いられる密教ガジェットは重要な意味を持っていたのだと思います。わけても、仏そのものの姿である仏像と、世界の構造を緻密に著した曼荼羅の二種は、きわめて重要であり、また研究されたのだと思います。
寺院と言う舞台装置から切り離されてところにあるものを、今日の自分の目から見ても、なお圧倒されるわけですから。これが相応しい場所にあって、中世の人々の目の前にあったときに、そこに実物があると言う説得力は相当なものがあったのでしょう。
理論は理論でむろん大事なものであり、それなくしては宗教は論理として成り立たないわけですが。もし宗教が理性と非理性の両方に訴え、人々を「正しく惑わせる」と言う目的を持つものだとしたら。その表看板を背負っている仏像が圧倒的なのは、なるほど理に適っている非理性なのだなあ。と。
五大明王と薬師如来に囲まれ、また(ダイジェスト版とはいえ)仏像曼荼羅の並ぶ展示室をちょっと高いところから見た時。そう感じ入った次第です。
仏像は仏様そのものではないけれど、仏様が宿るとしたらそれは仏像であるべきなのだろうな、と。そんなことを思いました。
それはそれとして、ちょっと面白かったのが、持国天や降三世明王などは色々別なものを踏んづけているのですが、この踏んづけられている邪鬼達(降三世明王が踏みつけてるのはなんとシヴァ様)が、なんとも味のある、ユーモラスな表情をしていることでした。
褌一丁に筋骨隆々、でもどこかデフォルメされて寸詰まりになった邪鬼達ですが、踏んづけられたまま頬杖をついたり、顔がむぎゅっと潰れてしまっていたり。実に味わいのある、例えるなら、主役二人にやっつけられて、ふて腐れてる三悪みたいな。そんな愉快な小鬼達が、見るからに強くてかっこいい四天王達にむぎゅーと踏まれているわけです。
途中で気がついて、あとはすっかり「下の人」が気になって、そっちばっかり見ていたのですが。憤怒、威力を著しているのであろう四天王や明王の像に、ユーモラスな雰囲気が忍び込んでいるのは、なんとも不思議な感じがします。大変おもしろいのですが、どうしてこうなったのやら。
そんなわけで、すっかり堪能した後。浄財を投じて、小さい持国天様をお迎えして参りました。よくできてるんだこれ。
マシントラブルや諸々の不具合を調伏してくださること、祈念しております。
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コメント
ワタシが思うには幼少時に女王様と適切な関係を築けなかった事に起因するのではないかと
投稿: サンドマン | 2011.09.17 23:58
そんなフロイト的解釈は知りません。
いわゆる阿闍世コンプレックスですかね(関係各位にあやまれ)。
投稿: sn@散財 | 2011.09.19 14:55
楽しそうですね。
「惑わせる」には異論があります。
投稿: ヨッコ | 2011.09.19 22:38
遅くなりましたがお墓参り並びに伐採お疲れ様でした。ノコギリカマは物騒かつ有り難かったです-。
惑い直しは、前に災害についての本について書いてあった概念で、なかなか面白いと思って頭に残ってたんですよね(そうしようと意図せずして結果的に果たしている、みたいな意味だったのかも知れませんが)。
なんとなーく思いだして書いてみた次第です。
投稿: sn@散財 | 2011.09.25 20:54