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2011.10.28

カウボーイ&エイリアン、1873年の宇宙戦争。(☆☆☆)

 草が転がり蠅の群がる、どこまでも続く西部。
 言ってしまえば、それはありきたりな始まりのはずだった。無愛想な流れ者。土地のボスのドラ息子。売った買ったの喧嘩沙汰、そして逮捕された息子をブン取りに来る、ボスにゴロツキどもと対峙する保安官。そして、夜空を跳び人を浚う空飛ぶ謎の機械たち。
 なんだあれは! なんてこった! 牛の内臓が奪い去られたのはやつらの仕業だったのか! 拳銃もライフルも歯が立たない謎の機械を、流れ者は腕輪から光線を放ち打ち落とす。それがなんなのか、どうして自分がそんなものを持っているのか。そもそも、自分が誰であるのかも判らないままに。

 かくして、奇妙な追跡劇が始まった。土地を牛耳る不遜なダラーハイドとその軍勢、そして、どうやらジェイク・ロネガンであるらしい男。神父、バーテン、保安官の孫、犬、さらにはジェイクに接近する謎の女までもが加わった追跡隊。彼らが追いかけるのは、空を飛ぶ謎の機械、そこから現れた正体不明の"侵略者"。
 無法の西部に、いま誰も知らないままに。人類最初の宇宙戦争の火蓋は切って落とされた!

 というわけで、カウボーイ&エイリアン見てきました。
 なんというか、剛速球でビーンボール、と言う名前のタイトルに反してと言うか即してと言うか、とにかく汚く正しく、非常に真面目な西部劇でありました。コメディやセルフパロディ的な、テレテレのギャグみたいなものを期待すると見事に失敗すると思いますが。パンフレットでダニエル・クレイヴが言及しているように、非常に真面目にやっていることが、一種のユーモアになっているような、そんな映画であります。

 丁寧と言うのもおかしな話ですが、とにかくまずはその美化されていない西部の雰囲気でありましょう。どこにピントを合わせるべきかも判らないような、広大な遠景に、どこまでも続く荒涼とした土地。華美とはほど遠い、臭うような、あるいは汚らしいまでの、男臭さに溢れた服装。埃にまみれた街の風景。孤独感を際立たせるもの悲しい音楽に、音。わけても蠅の音が非常に印象的でありました。

 そして登場人物達も、言うなればアウトローかろくでもない手合い達。善人であれば一癖あるか、あるいはこれはもううだつの上がらない人物揃い。決して綺麗事ではないし、一枚岩と言う訳でもない。
 ただ、主人公たるジェイクも、彼を言わば駆り立てる立場にあるダラーハイドも。決してただ、利己主義的な悪人と言うわけではありません。無愛想で、あるいは強欲で。一見、自分のことしか考えていないような彼らにも、そこに至るまでの経緯があり、違う横顔を知る人もいる。
 互いに銃を向け合いつつ、大きな敵と戦う為に仕方なく共闘を始めた彼らが。時に仲間を減らし、時に仲間を得ながら。彼らが未知の敵と-- エイリアン達と戦う術を整えていく。追跡劇からはじまり、あちこちに転じる物語は、思った以上に幅広く、そして時に、極めて真面目なままで、突拍子もないファクターが突然転がり込んできたりして、油断のならない展開です。
 そして最後の最後、まさにカウボーイ&エイリアンと言うしかない絵面のクライマックスに流れ込んでいく様相といったら。もう。

 名前だけ聞くと、シチュエーションコメディか一発ギャグとすら思えるシチュエーションを、まさにそのままで大真面目にニコリともせず撮り切ってみせた感のあるこの作品。
なんだか最大のライバルは「三銃士」なんじゃないかカテゴリ的に、と、そんなことを思ったりもしてしまいますが。
 バカな映画を見に行くつもりで見に行くと、うっかり興奮して帰る羽目になりそうな一作。時間がありましたら、ぜひぜひどうぞ。であります。

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