KEYMAN、ヒーローすでに亡き世界で(☆☆☆)
人間に混じって生まれ始めた獣人が、世間に馴染んですでに四十年。
大都市ロックヴィルシティを、一人の男が守っていた。彼の名はキーマン! 無敵のヒーロー・キーマン!
鋼鉄の肉体、鋼鉄の精神。車を持ち上げ空を飛び、銃弾にも怯むことなくただひとり武装した敵に立ち向かう。アレックス警部ら、市警の面々も、指をくわえてキーマンの活躍を見守るばかり。
その日も銀行強盗を未然に防ぎ、ロックヴィルシティの平和はキーマンの手により守られた。ありがとうキーマン。そしてさようならキーマン。
キーマンは惨殺された。バラバラに引き裂かれて。誰が? 一体なんのために? それよりも一体どうやって? 恐竜のアレックス、相棒のゴリラ人間ウォルター、そして部下のピートとフロル達は数々の謎を求めて動き出す。
死体に刻まれたメッセージ、「DRNECRO」。その正体は、思いも掛けず向こうからアレックスの前に現れた。彼の前に現れた謎の少女は、自らをDr.ネクロと名乗ったのだ--。
amazonさんでお勧めされて以来、なにこれ面白い! ぜったい面白い! と、発売を楽しみにしていたコミック。買ってきて読んで見たら、案の定滅茶苦茶面白くて嵌りこんでしまいました。
物語のフォーマットはヒーローものかと思いきや、話の冒頭で肝心のヒーロー・キーマンは何者かに惨殺されてしまう。この物語の本当の主人公は、いつもキーマンに煮え湯を飲まされていたであろうアレックス警部。物語独特の設定で、登場人物のほとんどはなんらかの動物の属性を持った獣人なのですが(たとえばアレックスは恐竜、相棒のウォルター警部はゴリラ、そのほかカメ、キツネ、云々等々)、豪放で頑固、古株の刑事と思しきアレックスは、言わば立ち位置的にはホームズに対するレストレイド警部。彼ら警察の面々が、まさに「ヒーロー殺人事件」と言うべき事件に立ち向かっていく。
その意味でも、また生きている時のキーマンとアレックスの問答からしても、これはヒーローものをひねった変形スタイルと言えると思います。
このアレックス、それに相棒のウォルター、話の序盤から彼らに関わる事になる、キーマンの秘密を知る少女(のようなもの)Dr.ネクロの三人が、それぞれの立場で気っ風のいいキャラクターなのが、なんとも気分のいいところ。マスコミに問い詰められた時のアレックスの返答にはじまり、三人が真の意味で協力を約束するくだりの台詞回しなどは、実に痺れるものがあります。こういう言葉がかっこいい漫画って、好きですよなあ。
不器用で頑固なアレックスと彼を振り回すネクロ、決して軸のぶれない常識人ウォルター警部に、動転しまくりのピートに被害者にもほどがあるフロルと、キャラクターも、世界観もばっちり。アクションのスピード感も相当なもので、特にアレックスが暴れ回る時の、恐竜ならではの牙や尻尾を使いこなしも楽しいところ。
アメコミ的なマインドを、実に楽しくアクションサスペンスに落とし込んでいる印象のあるこの作品。
もっと読みたい早く読みたいと思いつつ、頑張って欲しいものだと思います。
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