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2012.03.02

重力使いの猫と回想 : GRAVITY DAZE(☆☆☆☆)

GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動

 というわけで、一ヶ月ごしくらいですか、クリアしましたGRAVITY DAZE!
 初めて購入したPS Vita専用ソフト(年末からはずっとセブンスドラゴン2020をやってたので)ですが、これは非常に当たりの作品でありました。

 全体を通した雰囲気は、スチームパンクと言うか、バンドデシネと言うべきなんでしょうか。どこか無国籍な、輸入された外国のアニメのような雰囲気。台詞やキャラクターのネーミングはフランス語っぽいのですが、時折挟まるコミック風のコマの中に出て来る擬音は、何語なのかもよくわからないような、そんな雰囲気です。

 主人公は記憶喪失の女の子。どこからともなく降ってきて、目が覚めたのは、巨大な機械でできた、空で出来た浮島のような街。
 天上から地の底まで貫くような、謎の柱を取り囲むようにして、四つの街区が鉄道で結ばれた、その「街」は存在している。時折起きては、街区を住民もろとも巻き込んで消滅する災害、重力嵐に悩まされながら。
 重力に弄ばれ、重力に抗えぬ世界。そんな中で、主人公- やがてキトゥンと呼ばれることになる少女だけは、違っていました。謎の黒猫ダスティを従えた彼女は、重力を自在に操る力を持つ「重力使い」だったのです。

 そんなわけで、これはオープンワールドのゲーム、といっていいんでしょうか。自由に動き回れる街中を走り回り、フリーミッションを請け負ったりアイテム探しをしたりしつつ。メインストーリーを「受注」することで、オープンフィールドの街中そのものが、アクションゲームのステージへと変わっていきます。
 キトゥンの落下と踵を接して、街に現れるようになった怪物ネヴィ…… 目玉のように輝くコアと、影のように伸縮する体を持った謎の存在…… との戦い、その他様々の目的のためにキトゥンは街中を駆け回る事になるのですが、ここで生きてくるのが、この作品のキモである重力アクションです。

 重力使いであるキトゥンは、自分と自分の周囲の重力を、自在に操る事ができます。具体的には、Rボタン一発で重力を「切り」、宙にふわふわと浮き始めます。
 ここで右スティック、もしくはモーションセンサーで視点を操作して、もう一度Rボタンを押すと、いま向いている方が「下」になり、そちらに向けて加速をつけて落下していきます。落下する先に、ビルの壁面などがあれば、そこを「下」にして、(結構痛そうに)激突したあと、すっくと立ち上がるのです。そしてそのまま、壁面でも天井でも下にしたまま、歩き回り走り回ります。もちろん、そこから(空中でも)もう一度、重力を「切る」ことも自由自在です。
 空中で飛行し、加速し、ある程度飛んだら重力を切って滞空、そこから狙いを定めてもう一度落下、と言う動作を繰り返す事で、(ある程度慣れれば)自由に空を飛ぶ事ができるのです。

 敵への攻撃も、地上でのキックなどもありますが、基本的にはこの「落下」を使って行います。上空から照準で敵に狙いを定め、□ボタンで「重力キック」を放てば、そのまままっしぐらに敵に向かって「落下」し、勢いをつけて高々度からのキックを叩き込んで粉砕します。ちょっとくらい的から外れていても、ホーミングしてくれるのも気持ちのいいところ。
 面白いのは、このキックを放つ距離が自由に調整できるところ。遠距離から放てば威力は増しますが、当然、相手も動くので、ホーミングしてくれるとはいえ当たりづらくなります。逆に近距離から放つと、威力は出ませんが、当然命中しやすくなります。このへんの目安がおもしろい。
 ちなみにキックが命中すると、反動でキトゥンがちょっと跳ね返るのですが、視点をすばやく調整して、至近距離からもう一度キックを繰り出すと、連続でがちんがちんと重力キックを叩き付けることができます。敵がいっぱいいるときは、次々と標的を切り替えて連続攻撃を繰り出す事ができるのですが、これがまた、なんていうか、気分がいいんですよねー……。

 ちなみに重力変化は、いつまでも維持できるわけではなく、メーターがあって使っていると徐々に減っていき、ゼロになると重力変化が維持できなくなります。具体的には、普通に落ちます。
 しかし正常な重力下であれば、かなりの短時間でフル回復するので。落下中に回復して(正常でありさえすれば、着地している必要すらないので)、地面に落ちる前に再度重力変化させて戦線復帰、なんて言う芸当も、普通にできるようになります。このへんはゲームを薦めていって、集めたジェム(ポイントのようなもの)を使う事で、上限を上げていけるようになっています。

 とまあ、これだけだとまださわりも紹介していないのですが。「いつかの時点から過去を回想している」と言う感じの、主人公キトゥンのモノローグ(「この時の私は思ってもいなかった--」と言う表現が頻出する)と、それに相反するように。記憶喪失と言う響きから受ける悲壮感や、見知らぬ街で生きる孤独感を、ときに覗かせながらも。しなやかにたくましく、日々を楽しんで生きようとするキトゥンの魅力が、ぐっと話を引っ張っています。土管に住んでるヒロインとかなかなかない。

 この手触り、NiGHTSやソニックを思い出すような、ハードを代表する上質なアクションになりそうな雰囲気がひんぴんとしています。
 体験版を触ってみて気に入ったら、購入して損はないと思います。アクションが苦手な人はちょっと苦戦するかと思いますが、たぶん、まあ、大丈夫。なんとかなります。
 というわけで、ぜひぜひ。お勧めと言うお話でした。

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