王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件
武則天-- 長い長い中国王朝史の中で、唯一の女帝。
時は唐の時代。高宗皇帝の皇后だった武則天は、御簾政治と夫の死の末、ついには自ら皇帝の位に就く事を宣言する。武則天の治世の下、民衆は平穏と繁栄を享受していたが、唐朝李氏に忠誠を誓い、なにより類例のない女帝の即位に、先代の重臣や皇族達は強い不満を抱えていた。
圧倒的な権力と頭脳を持つ武則天はそのすべてを圧倒していた。皇帝即位はすでに目前、都にはどこからも望めるような巨大な仏像…… 通天仏が、その完成を目前としていた。
すべてはなるべくして、天命は改まるはずだった。しかし謎の事件が都を襲う。それは、人が突然燃え上がり、灰と骨だけを残して燃え尽きてしまうと言う怪事件。それも燃え尽きて死んでいくのは、王朝に使える重臣達ばかり……。
ついに通天仏の責任者である工部の大臣までもが犠牲になると言う事態に、武則天と、彼女が心酔する怪行者・国師は、ひとつの決断を下す。それは獄に下された、あの男を-- 8年前に武則天に諫言し獄へと落とされた、民に名高い名判事、ディー・レンチエを呼び戻すこと。
かくてディー判事は、監視役である武則天の寵愛する女官チンアル、そして上官が謎の焼死を遂げた副官ペイと共に、この怪事件に取り組む事になる。
だが権謀渦巻く都と宮殿との矛盾と騒乱が彼等を襲う。誰が敵で誰が味方なのか? 誰が善であり誰が悪なのか? 暗殺者の毒矢が、権力者の懐柔が、ディーに襲い来る。チンアルとペイもまた、お互いへの、そしてディーへの不審を露わとする。
迫り来るタイムリミット、即位の式典の時。果たして名判事ディーは、この謎を解き明かす事ができるのか、そして、その謎を解く事は、果たして正しい事なのか……?
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