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2012.05.13

神秘の名は東洋文庫。(☆☆☆)

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 なんだか可愛い、猫の傘立て。

 日差しの暖かい日曜の昼。地下鉄を駒込駅で降りて、そういえば駒込って大学の近くだけど、このへん歩いたことないな、とか思いながら、うらうらと南下。

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 緑のきれいな六義園にも心引かれましたが、今日の目当てはこちらではありません(でも割引があったらしいと後で知ってガッデム)。
 野球少年達がランニングしていくのと次々すれ違い、へばったメガネくんが激励されている光景を目にしながら。ぐるりと六義園を回って、南側へ。

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 今日の目的地はこちら、東洋文庫
 正確には、併設の東洋文庫ミュージアムで行われている特別展、「東インド会社とアジアの海賊」を見学するためでありました。

 そもそも東洋文庫とは、なんて偉そうに説明するところで僕も全然知らなかったんですが。中華民国時代の中国に滞在したイギリスの外交官・モリソンが収集した東洋学に関する莫大な書物を、三菱の岩崎久弥がまとめて買い取り、それを文庫として公開したのが、この東洋文庫のはじまり。
 wikipediaさんによれば長年国会図書館の支部だったのですが、現在は独立して運営されているとのこと。貸し出しこそできませんが、貴重かつ莫大な蔵書は、誰でも申請すれば閲覧が可能。そして去年の11月にその東洋文庫に開設されたのが、東洋文庫ミュージアムなわけです。

 去年できたばかりだけあって小綺麗な建物は、博物館と言うにはちょっとサイズ的には小振りな感じ。しかし入ってすぐ、自由に触れてよい状態で明治時代の世界地図の図版などの古い本がごろっごろ転がっていたり、広開土王碑の巨大なサイズのうつしが壁一面に展示されていたり。そして正面のショーケースには、今回のテーマとなる海賊と東インド会社にまつわるさまざまな貴重本が広げた状態で並べられていたり(天草本版の「平家物語」、アルファベットで書かれているばかりか、なにやらローマ風の馬車に乗った平清盛が!)。箱は小さいけれど、展示は粒ぞろい、しかも余裕を持って展示されている。いいゆとりを感じる構成です。
 しかも、しかもだ。しかもですよ。ここ、撮影自由なんですよ。フラッシュさえ焚かなければ、撮影はいくらしてもOKという。さすがにblogに上げるのは気が引けましたが、階段を登ると四庫全書が! 四庫全書がぶわーとあるんですよ! いっぱいに並べられて。もうこの時点ですでにくらくらきていますが。圧倒的な本の壁の向こうには、当時の東インド会社やその関係者達が、アジアで、または帰国後に現した様々な書物と図版が。シンガポールとジャワの風俗、そしてもちろんシーボルトの書物まで。

 ぐるっと回ると、そこが展示のメインのコーナー。オランダ東インド会社と、イギリス東インド会社がいかにして競争(あるいは紛争)しつつ東洋を目指したか。アジアのオーバーパワー・清との激突と確執、そして彼等が相対する事になった、民間の武装である海賊との衝突。
 海賊に捕虜になった船員の体験談から、それを元に膨らませた小説。清の皇帝と面会した、イギリスの外交官の書簡とその映し。もちろん日本との絡みも、鄭成功に始まり、じゃがたらお春やおてんばコルネリアの話、そして面白いのは、「日本に行った事がない人が、日本に行った事のある人の話を聞いて作った日本解説書(絵入り)。間違ってはいないけど完全に合ってもいない、不思議で魅力的なかんちがい日本がそこにあります。
 そういえば、もう少し時代は下りますけど、点石斎画報は逆に、中国で刊行された、また聞き西洋見聞録みたいな内容でした。洋の東西で尾鰭話が飛び交っていたのかと思うと、ちょっと面白いものがありますね。

2012051304

 予想もしなかったもの-- 甲骨文を見て感歎しつつ、こじんまりとした中庭へ。
 黒いモノリスのような壁に刻まれていたのは、アジアの有名無名の人の遺した名言でした。

 不思議に心打たれる、小振りながらセンスに溢れた博物館。
 次の展示が何になるのか判りませんが、ちょっとまた、足を運んでみたいと思うところでありました。

 ……そうそう、こういう展示には必ずある図説が、この東インド会社展にもあったんですが、これがまた、ぐっと心引かれるもので、つい買っちゃいました。
 普通こういう図説って、分厚くて三千円くらいして、そのかわり全展示品の紹介が載ってたりするんですけど。こちらはぐっと絞って掲載して、そのかわりに説明をかなり増やしてるんですよね。そして平とじ、お値段は500円也。

 言うなれば、東洋文庫ミュージアム謹製のオフセット本。でもそのツボを掴んだ感じはすごい手頃かつ素敵なかんじで。
 次の展示でも、ぜひこういうのを作って下さるといいな、と思います。

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