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2012.06.19

漂流巌流島、そしてkinoppyの電子版に解説がついていなかったことについてつらつらと思う。(☆☆)

漂流巌流島 (創元推理文庫)

 時折ちらっちらっと様子を伺いつつ、続きを書いてくれないかなーかなーと楽しみにしている作家さんが高井忍さん。
 「柳生十兵衛秘剣考」が大好きなんですが、この人のデビュー作がこちらの「漂流巌流島」。順序は逆になりますが、こちらも読んでみてみました。流行に乗って電子書籍、kinoppyのアンドロイド版でぼちぼちと、と云う感じで。

 さて、こちらのお話。巌流島の決闘に赤穂浪士の討ち入り、新撰組の池田屋事件に鍵屋の辻の三十六人斬りと、詳しい筋は忘れたけど聞いた事ある、的な日本史上の有名事件…… と云うか決闘事件を、その主題とします。
 頼まれれば何でも撮る、アグレッシブで無茶なB級監督と、その監督につきあわされる気の毒な突貫脚本家。この二人が「有名な事件をなんか目新しい的な切り口で」と、ああでもないこうでもない、と当時の資料に取り組んでいくうち、なにやら話は文字通り大漂流。気がつくと、とんでもない真相に流れ着いてしまうことに…… と云う筋立て。

 有名な伝説を取り上げた後、異説や当時の資料を引用して一応それを覆し、事実をつなぎあわせて真相を編み出す、と云うスタイルはなかなかにスリリング。鍵屋の辻の決闘のぎょっとする結論など、非常に愉快な代物でありました。

 さてこういう蘊蓄引用の多い作品で、本編と並んで楽しいのは巻末の解説なのですが、…………こちらには、解説がついていません。えー、どういうことかと云うとその。電子版には解説がついていないそうなんです。ええー!? なんで!?
 いやー、うん。そういうもんだと云われてしまうとそういうものだと思いますし、考えてみれば解説は作者とは違う方が書いてるんでしょうから、権利的に別なんでしょうけどもなあ。でもなあ。正直、「電子版には解説がついてないです」って商品ページに書いてあったら、電子版買わないで、紙の本のほう買っただろうなあと。

 電子書籍って云うのは産みの苦しみを延々と続けていて、たぶん読者も購入者も、出版社とか著者とかハードメーカーとか、みんながみんな特に望んでいない方向に、いろんな経緯でねじれて進んでいってしまっているんだと思うのです。混乱が片付くのに必要なのが、時間なのか話し合いなのか、それとも音楽の世界でのiTunesみたいな不意の一撃なのか、それはわからないんですけども。
 本棚から本が満ちあふれて、泣く泣く処分しなくちゃいけない、みたいなことを延々やるはめになる身からすれば、本を処分しなくてもいい、ストレージさえあればいくらでも本を持っていていい、って云うのはまさに夢の福音なわけで、わかりやすい素晴らしい未来な訳ですよ。そのためには多少の不便は引き受けてもいいし、将来のために今を買い支えるのにちょいとばかり協力してもいいと思っているのですが。思っているのですが。
 いくらなんでも中身は、中身だけは、紙の本と同じにしておいてほしいし、同じにしてほしかったなあ、と。せめて
買う前に「解説ついてません」くらいは一筆書いておいてほしかったなあ。と、そんな風に思った次第です。

 試しに買って、読んでみて、なんの前触れもなしに電子版には解説はついてません、って終わっちゃったら、電子書籍ってものを試しに買ってみた人は、二冊目に手を出そうとは思わない。少なくともそういうふうに考える人はいるはずだ、って思うのですよ。本が好きなら、なおさらに。

 なんていうか非常に残念なことだったし、こういうことが続くとなんかイヤだなあ、と思います。
 もともと解説がなかったとか、たまたまこの本だけだったとか、そういうことであるといいなあ、と思いつつ。
 kinoppyに別の本を注文しに行く、恣意的に懲りない自分です。

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