I KILL GIANTS:巨人は、いつかやってくる
口が周り、機転と雑言に事欠かず、授業中でも趣味の本に耽溺するゴーインマイウェイっぷり。いじめっ子には相手が諦めるまで抵抗する鉄の根性を持ち、メガネの読書家のくせに殴り合いもこなす。
強く、孤独な彼女には、なによりも大事な、神聖な責務がある。それは巨人を殺す事。巨人を待ち構え、巨人を罠にかけ、そして大業物、鉄槌コベレスキーで巨人を打ち砕くのだ。
でも、彼女のその重大な責務を、彼女の周囲は誰も理解できない。しようとしない。先生達、大人達、そして周りの子供達、根性の強い彼女を目の仇にするいじめっ子達も。
軋轢と衝突を際限なく生み出しながら、バーバラは苛立ちとともに待ち構える。まだ見ぬ巨人。彼女に倒されるべき巨人を。
しかしある日。巨人を待ち受けるバーバラの前に現れたのは、思いもかけず、彼女を恐れず微笑みかけたのは。まだ見知らぬ、転校生の少女だった……。
海外コミックとしては珍しいスタイルで、小学館IKKIコミックスから出版された、こちらの作品。
アメリカの小学校と、そこに通う相当風変わりな少女・バーバラを主人公にした、ファンタジーコミック、と言うべきものなのでしょうか。海外作品ではあるのですが、主人公バーバラの姿は十二分以上に(特に人によっては)共感できるもの。なにしろ兄貴やその友達と一緒にTRPGのセッションをやっていて(しかもバーバラがGM)、セッションさばきでブチ切れされたりとかしているわけで……。
多く語るのが、いろいろ難しい作品ではあるのですが。巨人がとうとう現れるシーンから、流れるようにラストまで辿り着く一連の流れ。重いなにかを残しながら、しかしなめらかに終息していく物語。
気がついて読むのが遅くなり、なんとも不明を恥じる限りなのですが。多くの人に読んで貰って、この気分に染みてもらいたいな。と、そんな風に思ったお話でありました。
絵柄に引かれて買ってもよし、それも後悔はしないと思います。ぜひひとつ。
| 固定リンク
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- スパイダーバース:スパイダーメン・アセンブル!(☆☆☆☆)(2016.05.30)
- 弱く優しく小さなヒーロー、人生出直し大作戦:「アントマン:セカンド・チャンスマン」(☆☆☆)(2015.09.18)
- ふたりの男、ひとりのヒーロー。アントマン:プレリュード(☆☆☆)(2015.09.14)
- 弓矢男の難儀な休日:ホークアイ:リトル・ヒッツ(☆☆☆)(2015.08.30)
- かなり意外だけどこれは本気で楽しみ。とんかつDJアゲ太郎アニメ化決定(☆☆)(2015.08.03)
コメント