妻は、くノ一:早すぎた終わりの続きに焦がれて(☆☆☆)
幕末の風の吹き始めた、幕末の平戸。変わり者の藩士に嫁いた妻は、たった一月で姿を消した。
幻のように消えた彼女は一体どこに。僅かな手掛かりを追い求め、隠居までして江戸表を訪れた男と、それを影から見守るしかない女。
終わりの始まる気配に揺れる日本を背景に、すれ違いを強いられる二人の物語、その開幕編であります。
風変わりな設定に、それぞれが生々しくも愛おしい人物象…… これがまた、なんていうか変なリアリティがあって。特にまた旦那の方が、ピュアと言うか浮世離れしていると言うか、趣味に生きすぎていると言うか。
そしてロジックで紐解く謎解きの風味に丁々のチャンバラと、サービス精神旺盛な一作。いやもう、登場人物だけでも設定だけでも、うわこれ面白そう、と思えるものを、うまいこと活用してくることといったら。
どんなものでも盛れそうな器だけに、シリーズ続刊を読むのが楽しみです。
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