マーヴルズ復刊!(☆☆☆☆☆)
リンク: アメコミ魂: ShoPro Books American Comics Lineup 2013.
おお オオオオオオ うあおあー!? 『マーヴルズ』が! 『マーヴルズ』がとうとうもう!
リンク先は小学館プロダクションさんの、今年の邦訳アメコミ刊行予定の記事なのですが。7月の項目で紹介されている『マーヴルズ』。聞いただけで冷静さを失うような大傑作なのです。
手持ちの本の中で、知り合いに読ませる本があるとしたら。密かな自信と切り札的な自負を込めて「これ読んで見てよ」と言う本があるとすれば。最後までとっておくだろう一冊が。つまりなんていうか、それだけ好きだし面白いのが、この『マーヴルズ』なのであります。ぜえぜえ。ついてきてますか大丈夫ですか。
そも、このマーヴルズの邦訳が出版されたのは1998年。すでに15年も前のこと。
原書が発行されたのは1994年だそうです。そう考えると、すごいタイムリーな邦訳ですよね。
この作品の主人公は、もちろんマーヴルコミックスの誇るスーパーヒーロー…… ではなく、ごく普通のひとりのカメラマン。
初代ヒューマントーチの披露記者会見に立ち会った彼は、不思議にもヒーローに縁を持つ人生を歩んでいき、ついには自らヒーロー達の姿を追い求めるようになっていく。ネイモア、キャプテン・アメリカ。アベンジャーズ、X-MEN、ファンタスティック・フォー、そしてスパイダーマン。
神話の如く天上を駆け巡り、戦いとロマンを繰り広げるヒーロー達を、主人公とその家族、そして街の人々は、下界からそれを見上げるがごとく。感謝し、憧れ、噂し、疑い、ひそやかな視線を向ける。
そしてこのマーヴルズは、ふたつの世界の両方にカメラと目を剥け続けた男の一代の記録であり、それはもうストーリーテリングと台詞回しが切なく熱く。
それもそのはず、ストーリーを担当したのはカート・ビュシーク。人情派と言うか浪花節と言うか、とにかく情感溢れる展開で幾多の名ストーリーを手がけ、のちに「アストロシティ」を生み出した作家です。
そして作画を担当しているのは、表紙はもちろん、全ページがアレックス・ロス。実際に人物に衣装を着てポーズを取って貰い、その姿をモデルにして作画する…… と言う超手間がかかる技法で、仰天の説得力を誇る、超絶な画です。
一枚一枚がそれだけ切り取って充分アートで通じるのに、一冊まるまるにビュシークの脚本、と言う、なんて言って説明すればいいのかわかんなくなってきた、素晴らしい作品です。
これもアメコミであり、これこそがアメコミでもあります。
最初の一冊がこれと言うのはあまりにもハードルが高い気はしますが。いつか読む気で買っておいても、けして損はしないと思います。
絵か、話か、キャラクターか。なにかひとつでも気に入ったら、ぜひ、ぜひ。ぜひ。
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コメント
そろそろバラバラになりそうな危険性も感じていた頃合いなのでちょうどいい時期かもしれない。
・・・「キングダム・カム」も復刊版売ってるうちに買い直すかなぁ。
投稿: りょーいち | 2013.05.09 23:00
ここで買い逃すと、次は果たしていつ手に入るやら、って言う感じですからねー。マーヴルズはもう一冊欲しいですのよ。普通にというか布教用にと言うか。
活況を呈しているうちに、いろいろ復刊してほしいものであります。
投稿: sn@散財 | 2013.05.12 13:51