【イベントレポート】アメコミnight! 今度はフィギュアだ! コトブキヤSPECIAL【第二部・前編】
さてここからはUstreamの配信も始まりまして、休憩開けて第二部の開幕です。
と言うわけで、ここでカメラの前の皆さんのために、自己紹介がもう一回入ります。カメラの位置を確認した上で、すぴ豊さんがカメラにアピール。とはいえ第二部、いきなりフードのオーダーから始まります。スパムのせのロフトバーガーはこちらの名物なのだそう。
さて、本格始動。第二部ゲストが登壇です。第二部は本日のメインテーマ、「フィギュア」の話題。
という訳で、ゲストはこちらのお二人。コトブキヤから発売中のジャスティスリーグシリーズを製作された、原形師の竹内剛太郎さん。
そしてコトブキヤの営業、映画系ブログ「キカクガイズ」でも活動されている山下さんが登壇。自己紹介のあと、すぴさんからは立川市長(本社が立川市内にあるのです)のパーティでの挨拶で、特にコトブキヤさんに言及された優良企業である、と言う話題に。
竹内さんが着ているTシャツが、この会場の現場で買ったものである、と言う話から、まずはスタート。「フィギュアを作って討っているお金でフィギュアを買ってます」と竹内さん。
世界企業でありますよ、と言う話しから、コトブキヤさんがコミコンでも大人気と言う流れに。とはいえ、コミコンに参加している日本企業、減っているのだそう。
フィギュアと言えば、と、リタさんの過去の体験談で。「日本ではそんなに出ていなかった。原宿の輸入ショップとかに行ってた」と言う話から、突然やってきたスポーンバブルの話に。そしてトイビズの出していたフィギュアに搭載されていた、すごいギミックものの話などに。
さて、コトブキヤさんがアメコミを扱いだしたのは今から9年ほど前。バットマンからやりはじめて(ちょうど「キャットウーマン」が公開された頃になりますか)、マーベルを始めたのは6年ほど前から。今は御存知の通り二社とも手がけています。
「大変だった系のエピソードは、資料作って持ってきましたよ」と山下さん。「配信してますからね」「見た人はしゃべらないでくださいね」て。
ディズニーに買収される前のマーベル、代理店を通さないで契約しているのはコトブキヤさんだけで、代理店が何回か変わってもコトブキヤさんだけは契約関係が続いているのだそうです。ちなみにマーベルの買収は2009年のこと。
「商品化しているところが一番(映画の)情報を知っている、って言うのがあって。コトブキヤさん、アベンジャーズ2のこと、なんか知ってるのかなと」と、かまをかけるすぴさんですが、「でも僕ら、アイアンマン3でウォーマシン(のフィギュア)出した前科がありますからね」と受け流す山下さんです。
さて、ここからは山下さんのファイルを開き、パワーポイントを見ながらのお話となります。まず最初は、発売中のジャスティスリーグ、NEW52シリーズのメイキングのお話から。
「普段の仕事でパワーポイントとか使わないんですけどね」と言いつつ、画面には山下さん作成の資料が。その資料を見つつ、マイクは竹内さんに渡ります。
山下さんのパワポ一枚目、クトゥルフ系の設定を軽く飛ばした後、竹内さんによるフィギュアの原型の作成手法のお話に。実際に作成中のスーパーマンのフィギュアの写真を見ながらの、段階を踏んでのトークです。
最初は「芯を作ろう」。と言うことで、一番のベースになる姿が。間接をつないだ人形みたいなほんとのベース、顔にはちょうど漫画の下書きのような十字が入っている恰好、しかしこの時点で、完成時のポーズを想像出来るような、まさに立体下書きのような恰好。
人によってやりかたはそれぞれで、針金で芯を作る、と言うやりかたもあるそうですが、竹内さんは、芯を入れないで、樹脂粘土ですべて作っているのだそうです。
この樹脂粘土、スカルピー、と言う粘土で、焼けば固まるが、焼かない限りは作業がいくらでも出来る、と言うもの。東急ハンズでも取り扱いがあるのだとか。
続いて、筋肉をつけていく作業になります。ポージングを資料に合わせて、筋肉をそのあと持りつけていく作業になるのですが、竹内さんからは「この写真だとまだ、ジム・リー筋がないと思うんですよ」と、衝撃の発言が。ジム・リー筋。ジム・リー筋て。
さて、竹内さんの制作中写真のフォルダから、作成中の写真を見つつ、謎のジム・リー筋の話は続きます。
竹内さんの担当さん曰く「ジム・リー筋がない」状態と、ジム・リー筋をもう一盛り足した後の写真の比較。まず普通に筋肉をつけてから、胸のところにもう一段階筋肉を「盛る」ことで、それを差してジム・リー筋、と言うんだそうです。ジム・リーの絵にはある、でも解剖学的にはそんな筋肉はない、と言うような、なんでしょう、空想上の筋肉でしょうか。
「クリプトン人だから筋肉のつき方がちがうんですよ…… まあなに人でもつけるんですけどね」と竹内さん。「外国の人はそういう伝統ありますよね」「最終的にはロブ・ライフェルドに至るんですけどね」 オチに使われるライフェルド。
続いて「筋肉を作ろう」の続編に。身長の問題があるので、バットマンは一回リテイクになった(最初はグリーンランタンと同じ身長にしていたが、スーパーマン並の身長にしないといけなかった)のだそうです。シリーズで並べるフィギュアだと、そういう苦労もあるんですね。
そして「細部を作る」と言うことに。顔などの作り込みです。こういう詳細は、資料として貰うイメージボードを主な参考にして作っていたのですが、精密に作り込んだ後、イメージのほうに修正が入ったのだそう。
「素人的には、松田優作で作ってたのがトム・クルーズになったような感じですよね」と。実際にやったのも、そんな感じだそうです。
「細部を作ろう」、続いてハルきち編。ハルきち? グリーンランタンのことを「ハルきち」と呼んでいるのだそう。
「グリーンランタンでやった修正…… 修正話ばっかりですけども」。その話の最中、写真に写り込んでいたベビーパウダーの話題に。ベビーパウダー、さきほどのスカルピーで作業をする際、部品同士がくっつかないてしまわないよう粉を振る必要があり、それに使うのだそうです。「うどんとかそばを打つときと一緒ですね」と。
毛のはね方とか、髪の毛の流れとかを修正した後、最終的に「ひとまwり小さくしてくれ、といわれ、全面的に作り直しになったのだとか。小さいものを大きくするのは出来なくもないけれども、大きいものを小さくするのは、それはもう作り直ししかなく。それはそれはそれは大変なのだそうです。
竹内さんのお仕事ぶりやキャリアのお話に。気になる原形の生産ペース、「一ヶ月に一個」を目指しているものの、「修正が入りすぎると、もうだめだよパトラッシュみたいな感じになる」のだそう。
もともとは造形と言っても、映画のプロップや、博物館の展示物、CM美術等々を作られていたのだそうです。
最初はフィギュアと言っても「スポーンくらいしか買ってなかった」くらいで、アメコミもそんなに慣れ親しんでいた、と言うわけではなくて、「読んでもスポーンくらい」だったのだそう。最近はお仕事のこともあり、邦訳いっぱい出てすごい助かってます、とのこと。
話題は修正の話にすすっと戻りまして。向こうの立体物(アメリカ本国でマテル社などから販売されているフィギュアとか)を買うけど、結構適当で、ここまで(修正を)言われているのは日本くらいじゃないか、とか。
やっぱりクライアントのいる仕事は、相当大変みたいなのだそうです。「マテルの造形チームは、ジムリー・マッスルとか話していないよね、みたいな話しで
制作物の話は、GLからフラッシュの話に。パワポの写真には「全身のラインが面倒そう」みたいなかぶせ文字が。
アメコミのフィギュアは、裸で格好良くなれば八割できたも同じだ、との由。日本の美少女系フィギュアなどは、フリルなど服装の部分がかなりあるので、そこでも工夫がいるのだそうです。
話題は製作の際に貰う依頼書に。立体物作成の際の根本資料ではあるのですが、向こうからの依頼だと、三面図がつながってなかったり、そもそも三面図が無かったりするのだそう。そのため、打ち合わせの課程では、イメージ優先であわせるしかないのだそう。「設定があるようでないから」と。その点「映画のときはきちんと3Dデータがあるから」ということで、映画の方がありがたいのだそうです。
ちなみに修正に関しては、日本とアメリカではセクシーと言う度合いに結構な温度差があって…… と言う話になりかけますが、この話は山下さんがあとでじっくり語る事になります。
パワーポイントの資料は、「鱗を作ろう!」の文字。ウロコとは、アクアマンの体の表面にある、鎧のテクスチャを作る話に。フィギュアそのものが小さいこともあり、ディティールを作るのは大変でしょう、と言う話題になるものの。「ディティールは、誰でも時間さえかけて、根気よくやればできる話で。ここまでやれば、あとは掘るだけなので気が楽」とのこと。修正の部分が、やっぱり一番大変みたいですね。それでもウロコなどの細部は担当者のチェックを受けて、それから掘り出すのだそうです。
「ジムリーうろこはないですね」「ジムリーは関係ないですね」。
アメコミのキャラクターについては、アメリカのキャラクターならではの思い入れがある、とのお話。「僕は日本人なので、ドラえもんを外国で作ってもらうような感じじゃないですか」と言うことで。アメリカの代表的なキャラクターを、日本で作る、と言う事には、任せて貰えたと言う気合があった、と言うお話。
そういうことで、スーパーマンとバットマンに、特に力が入ったのだそうです(そしてなぜか、話の流れに関連なくdisられるアクアマン)。
そして画面にはJL最後の一人、サイボーグが。メカニカルなデザインがかっこいいマシン系ヒーローです。「サイボーグかっこいいじゃないですか!」と盛り上がる中、「これは設定が…… なかったですね」と、だしぬけから大変なことに。
先方からもらった資料が、なにしろそれぞれ矛盾しているので、慎重に打ち合わせして作りあげていったのだそう。明らかに動きそうにない足首あたりのデザインについて、「日本人だからなんでしょうが、ディティールに理由を求めたい」と言う事で、足首まわりなどは非常に慎重に細部を決めていったのだそうです。非常に納得の行くお話。
そしてキャットウーマンの、顔の作成の話に。先方の指示で、キャットウーマンの顔を、別のフィギュアの頭イメージで作って欲しい、と言う指示に従い、頭の作成の過程。二つ並んでいる頭の写。、片方、上下2mm詰めて、バランスを調整した、と。
このキャットウーマンのフィギュア、ゴーグルが付け外しできるようになっているのですが、そのゴーグルをつけたバージョンを作っている画像が。「(フィギュア版のように)曲がっているゴーグルだと、顔がどうしても歪んで見える」ため、大変だった、とのこと。
このキャットウーマンの頭、作成途中の図にもかかわらず、女性ときちんと解る、艶のある出来。「アメリカのフィギュアは胸があるなしで男か女か、と言うのしかないけど、お尻とかできちんと女性なのかわかる」と、キャットウーマンについてすぴさん。
女性の顔については、頬骨の壁がある、と言う話でしたけども、実際にアメリカでは(漫画とかだけじゃなくて)頬骨のある女性のほうが男性に好まれるのだそうです。このへん、ほんとに美意識の違いなんですね。
さてここで、山下さんが会場にいる上司の方に、許可を求めている様子が。
上司のOKが出たので、「これ会場限定の情報なんですけども」と、パワーポイントを見ますと。シャザムの、いやこれはブラックアダムです。発表に会場からは喝采の声と、しかし「でもFacebookに乗ってましたよ」てツッコミの声が。昨日のfacebookで更新されていたのだそうです。山下さんが狼狽しているのが印象的でありました……。
このあとは後半戦、山下さんによるフィギュア監修に関するあれこれのお話です。
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