死すべき数は十四:ゲイシャ危機一髪!(☆☆☆)
キョートを闇から支配する、謎の巨大忍者組織ザイバツ・シャドーギルド。ニンジャスレイヤーが、ザイバツへ、新たな敵へ、キョートへと叩き付けた挑戦状。
それはあの悲劇の日、マルノウチ抗争に参加していた、十四人のザイバツニンジャのリスト。それはザイバツへの宣戦布告、抹殺の予告状だったのだ。
あるいは為す術無く、あるいは立ち向かい、次々とニンジャスレイヤーの前に斃されていく生き残り達。やがて彼らは結託し罠を張り、ニンジャスレイヤーを逆に陥れんと試みる。
だが、彼らとニンジャスレイヤーの生き残りを賭けた死闘も。またザイバツ内部に着実に地位を築きつつある、ダークニンジャの暗躍も。
ザイバツを統括する最強のグランドマスター達にとっては。互い同士の暗闘に比べれば、些末な出来事にしか過ぎなかった。支配者ロードにとっても、格別の関心を抱く出来事ではなかった。このときは、まだ。
書籍版ニンジャスレイヤー、通算6巻目、第二部の2巻となる、表紙の雰囲気がこれまでとはまた随分違う「ゲイシャ危機一髪!」。前巻に引き続き、キョート入りしたニンジャスレイヤーと、タフな相棒タカギ・ガンドー、そしてザイバツニンジャ達の戦いが描かれる事になります。
比較的まとまった時期のエピソードが多かった感のある前巻に比べ、この6巻はかなり前後の話が入り乱れていて、バラエティ豊かな展開。フジキドが(新幹線で)初めてキョート入りした顛末から、マルノウチ抗争の生き残りの殲滅戦、そして前巻最終話での引きの続きとなる、ニンジャスレイヤーとグランドマスターとの死闘。ヤモト・コキも久々に主役級で登場し、フジキドと共闘する事になります。
全体に登場人物が多くなり、それも複数のエピソードに渡って登場する人物が多くなるのは第二部の特徴ですが、この巻では、これまでの一対一、一対多に加えて、複数のニンジャが入り乱れて戦う、多対多の分厚い戦闘が多く描かれます。ザイバツのニンジャ達は、各自の能力を活かし、チームを組んでニンジャスレイヤーを襲います。そしてニンジャスレイヤーもまた、偶然や、様々な意図のもと。ヤモトのような他のニンジャと、あるいは協力しあい、あるいは三つ巴の様相を呈しながら、戦う事になっていくのです。
多数の勢力が絡み合いながらも、リズムのある描写と場面転換、そして呆気なく死んでいくニンジャ達と言う、戦闘描写のテンポの良さはそのまま健在。次から次へと繰り出されるニンジャ達の死闘を、存分に楽しめます。
書き下ろしエピソードは、第三部での主敵・アマクダリ・セクトの結成までに至る経緯を語る「ライズ・オブ・アマクダリ」。仇敵ラオモトの遺児ラオモト・チバと、裏から彼を操るアガメムノン、そしてチバの忠実な部下ネヴァーモア。彼らがザイバツに抗い、アマクダリを旗揚げするまでのエピソード。書籍版ではまだまだ先の登場になるだろうアマクダリ・ニンジャ達の、風格ある登場も嬉しい特別編です。
次巻で第二部も恐らくは中盤。グランドマスター陣もいよいよ登場し、分厚いドラマを期待したいところです。
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