古典派アップデート。(☆)
月に進出した人類が発見した、五万年前の死体。
あまりにも強烈で印象的な開幕から始まり、人類の起源に迫っていく、と言うこの作品及びシリーズ。J.P.ホーガンによる原作が刊行されたのは、もう今から40年弱も前の1977年のことになります。
今読んでも充分すぎるほど面白い原作のこのシリーズを、星野之宣がコミカライズしたのが、リンク先のシリーズです。原作「星を継ぐもの」にとどまらず、続刊である「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」までの内容をすべてカバーして、全四巻で刊行されています。
このコミックシリーズの魅力は、原作に誠実な再構成と言うべきか、原作への挑戦状と言うべきか、忠実でかつ大胆な、原作の再構成ぶりでありましょう。次々と驚愕の事実が明らかとなる大唸りな展開はそのままに、様々な筋を大幅に整理して読みやすく、ビジュアルイメージで強烈に印象づけてくれるのも嬉しいところ。
そしてなにより、ハイライトは中盤での展開だと思うんですけども。原作の時点ではあまり突っ込まれていなかった、「この前提であれば起きるであろう」種々の問題について。いかにも原作的な雰囲気で、それぞれの分野の学者達が議論して、判明していない謎に(作中基準での)回答を与えていく。と言う、このあたりの所作が、なんとも原作への敬意を感じ、喜びを感じるところなのです。
ラストあたりの、触れられなかった事実にからめての展開も、心温まると言うか、実にエモーショナルで。
贅沢を言えば、原作を三巻まで読んでから、あのコミック版の最終回を見て欲しいなと。そんなふうに願う作品でありました。
いにしえの、巨人のごとくありますように。
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