« まぼろしの恐竜鏢局(☆☆) | トップページ | ものには置き場所。(☆) »

2013.10.29

そして新旧は合流する:逆転裁判5(☆☆☆)

逆転裁判5

 だいぶ遅く取りかかりましたが、ようやくクリアいたしましたー。
 思えば、逆転裁判5が出る、と最初に聞いた時。まず最初に思ったのは、「王泥喜くん居なかった事にされるんじゃ」と言う漠然とした不安感だったのですが。今にして思えば、それは不安感と言うよりも、僕の願望だったのかも知れません。
 そしてその不安と願望。つまるところの逆転裁判4へのもやもやした不安感は、ものすごくいい意味で裏切られてくれました。これは見事に逆転裁判4の、そして逆転裁判1から3の続編の、堂々逆転裁判ワールドの新作でありました。

 さて。逆転裁判もずいぶん長いシリーズになりますが、リメイクやコラボ作品を除いたナンバリングシリーズは、最新作まで含めて5作あります。
 弁護士を主人公に、検事を相手方に据えて。様々な事件の犯人とされた依頼人の、その無実を証明するために、現場で、そして法廷で、推理と弁論を武器に戦うと言うこのシリーズ。尋問や討論をゲームに落とし込んだ、独特のシステムが持ち味であること、言うまでもありません。

 さて、シリーズのうち前期にあたる1~3では、なるほどくんこと成歩堂龍一弁護士が主人公。ムードメーカーの霊媒師少女・真宵を相棒に、御剣検事をはじめとするライバル達(だいたい一作に一人登場)、そして様々な難事件を相手に、おおいに奔走する事になります。
 登場人物の踏み外した個性が人気のこのシリーズ。タイトルを重ねるにつけ、なるほどくんの回りにも仲間達が集まり、逆転裁判ワールドとでも言うべきものが完成したところで、シリーズはいったん完結となります。
 そして仕切り直しとなった、新シリーズの開幕編が「4」。新キャラクター、おどろきくんこと王泥喜法介を主人公に据え、3の数年後の世界が展開する事になるのです。ゲームそのものは、新しいシステムをおどろきくんの能力として組み込んできたりと、充分に楽しませて頂いたのですが。どうにもすとんと落ちなかったのは、再登場したなるほどくんの扱いでした。
 事情があり弁護士を辞めざるを得なくなり、と。作中での説明はなされているものの。なるほどくんの名前はついているものの、立ち居といい家族環境といい、どうにも3までのなるほどくんと、あまりにも繋がりにくい人間性で。要するに、4で登場するなるほどくんは、名前だけ同じの別々のキャラクター、と言う、非常にそんな強い印象を受けてしまったわけなのです。
 後で聞いた話では、もともと4にはなるほどくんの登場予定はなく、すべて新キャラクターでの世界を描く予定だったのが、会社から方針変更の指示があり、なるほどくんを出す事になったのだとか。……うーん、と。その話が本当だとしたら、非常に残念な話だし、誰も、とは言わないものの、少なくとも僕としては、とても喜べない方針変更だったなあ。と思っていたわけです。

 その後、しばらくはナンバリングタイトルは止まり、実写映画版や、スピンオフとなる「逆転検事」シリーズ、それにレイトン教授vs逆転裁判、といった関連タイトルが動いていましたが。仕方がないとはいえ、どの作品にしても、メインとなるのは第一期シリーズのなるほどくんと真宵ちゃんで、おどろきくんの影が薄い、と言うか、どんどん見えなくなっているのが、なんとも気に掛かっていたのでした。
 そんななかで5が出る、と聞いて、これはおどろきくんが、と言うか4がなかったことになるんじゃ…… と思っていたわけですが。これが見事に杞憂だったわけでした。

 4では弁護士を辞めていたなるほどくんが、5では弁護士に復帰。すでに事務所のメンバーとなっている王泥喜法介、そして5で初登場となる新キャラクター・希月心音とともに、弁護士チームとして事件に挑む事になります。
 1-3の主人公である成歩堂弁護士、4の主人公の王泥喜弁護士。そして5で初登場する希月弁護士と、ダブル主人公どころかトリプル主人公、と言う状態で。事件ごとに、あるいは場面ごとに。メインの登場人物となり、語り手となって、それぞれの事件が進行していく。そして、それぞれの視点から見たとき、そして本人自身の立場から見た時で、彼らの立場は大きく変わってくるのです。

 部下であるおどろきくんから見たなるほどくんは、4の時のような、どこか泰然とも鷹揚とも取れる態度で振る舞います。しかしなるほどくんの立場から、彼本人の立ち位置を考える時。部下達に相応しい上司としての振る舞い方、彼らを不安にさせないような事を心がけているような書き方がなされていて。
 なるほど、人の見え方、考え方と言うものは、見ている人の視点で変わってくるものだと。そして、他の人の内面は、他人が見ているのとはまた少し違うものなのだ、と言う。考えてみれば当たり前のことを提示してくれることで。4のなるほどくんに感じた、どうにもな他人さ加減を、うまく緩和して塩加減をつけてくれている感じがするのです。

 ……とまあ、自分が一番気になっていた事がうまく昇華されていて、非常に嬉しく思いました、と言う、そんなまとめになってしまうのですが。肝心のゲーム内容にまったく触れていないあたりがなんなんですけども。
 シリーズも5となると、さすがにここから、と言うわけにはいきませんが。4をクリアしたけど、もやもやしたものを抱えている、と言う向きには。ぜひやってみてほしい、と思う、こちらの5でありました。

|

« まぼろしの恐竜鏢局(☆☆) | トップページ | ものには置き場所。(☆) »

ゲーム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11580/58478729

この記事へのトラックバック一覧です: そして新旧は合流する:逆転裁判5(☆☆☆):

« まぼろしの恐竜鏢局(☆☆) | トップページ | ものには置き場所。(☆) »