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2013.10.02

デッドプール、デッドプール!(☆☆☆)

デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス (ShoPro Books)

 マーヴルユニバースを徘徊する不死身の傭兵、彼の名はデッドプール、本名ウェイド・ウィルソン。たぶん独身。
 凄腕の傭兵、暗殺者でもあったウェイドは、不治の病に冒されたと知った時、己自身を悪魔に売った。超過福力の超人兵士製造計画の被験者となったのだ。そしてウェイドは不死を得た。なんというかもう、実にいろいろなものを犠牲にして。
 不死身と引き替えに彼が得たのは、マスクを手放せない醜く歪んだ容姿、そして-- 何者にも縛られない、と言うか、自由な、と言うか。自由すぎて困る脳味噌だったのだ。かくして、凄腕にしてお喋りが止まらない、覆面の饒舌傭兵・デッドプールが誕生したのだ。

 悪の組織・AIMからデッドプールが引き受けた指令。それは南極の原始世界サベッジランドに趣き、敵組織ヒドラの発見した生物兵器を奪い取る事。そのために衛星軌道から南極に砲弾みたいなもので放り込まれるデッドプール。……雑だなおい! これで死なない方も大概だけど! かくして幕を開けたデッドプールの作戦は、いろいろないきがかり上、全人類の運命を賭けた大冒険へと発展していく。襲い来る謎の恐竜! 謎の原始人! 眼鏡の美女にゾンビ軍団、パラレルワールドの自分との戦いに宇宙戦艦同士の大決戦! 際限なく野放図に拡大する事件に立ち向かい、時に美女といちゃいちゃし(だいたい妄想の中で)、時にひとりでおはなしする、デッドプールの大活劇! デッドプールの運命やいかに!

 なんていうか、本体のストーリーがものすごいので、ぜひこのまま読んで欲しいと思うデッドプールです。滅茶苦茶な筋だと思われると思いますが、だいたいほんとにこんな感じです。しかも結構セーブしてる。
 彼も立派にマーヴルユニバースの一員で、ウルヴァリンやケーブル、スパイダーマンとは縁が深く、X-MENの一員として活動していた時期もあったくらい(映画版ウルヴァリン・X-MEN ZEROでも出ていて、評判がいまひとつよくなかった)なのですが。

 こちらの原作コミック、作品全体に流れる、スラップスティックと言うか、シチュエーションギャグを積み重ねていく雰囲気と言うか。全体に起きている出来事は相当深刻なはずなんですけど、無茶でバイタリティに溢れるキャラクター達のお陰で、どうにも愉快で頓狂なのであります。
 もちろん自問自答…… と言うか、自分の他の人格と常に掛け合い漫才をしては、破天荒なほうに行ってしまうデッドプールのキャラクターもさることながら。眼鏡美人のスパイにして博士、のわりに、突っ込みがどんどん厳しくなるベティ博士、とても有能な巻き込まれモブ(「お前別のシリーズで死んだだろ、とかほんとひどい)のビルに、惚れ惚れするほど適当なAIM指揮官のブレイクと、曲者と言うかなんというか、まあデッドプール相手だから何してもいいだろ、的な雰囲気も、なんていうか無茶めで素敵なのであります。
 そんな無茶な登場人物達の真ん中にあって、もっとも無茶なのが主人公デッドプール…… なのですが、このデッドプールがどういう性格なのか、ということを考えると、意外にも、ちょっと骨だったりします。要はどんどんおかしなことを言ったりやったりしては、シチュエーションを面白い方に転がしていってしまう人なのですが。デッドプール自身が、別に状況を面白くしようと、つまりなんらかの演出をしようと、常に考えているわけではなくして。妙に真面目に考えた結果、状況が悪くなってしまうことも、なんていうか普通にあるわけで。

 自分なりに思うに、デッドプールって言うキャラクターの魅力は、幼児性、と言えるのかも知れません。
 彼は不死身の体と無敵の戦闘能力を持った、おおきなおともだちであって。つねに望んだときに、望むがままに。思いついた事をすぐ試してしまうのです。美女と見ればいいところを見せたくなるし、食べたいものがあれば食べたくなる。歌いたくなれば歌ってしまう。それがあまりにもあけっぴろげで、欲望がまるっと剥き出しであるがために。かえって嫌味なく、笑い転げて受け取れるのかも知れません。デッドプール本人があくまで(自分の欲求に)真面目なところは、道化の神というべきものの、取るべき姿なのかも知れません。

 今作中で、デッドプールが人類が危機を迎えていることに気付き、事の重大性に気付いて行動を決心するシーンがあります。キャップやスパイディが、罪のない人々の命を救うため戦おうとするだろう、その場面で。デッドプールはこう考えるのです。
 みんな死んじゃう? 俺の好きなドリンクを作ってる連中も、俺の好きなドラマに出てる人も、俺の好きなゲームの、拡張パックを作ってる連中も? ……たいへんだ! って。

 とにかくお子様で万事が何処吹く風で、雑で適当で、どこか憎めない可愛い男、デッドプール。
 すでに初動は大好評とのことですが、この勢いが吹き続ければ、さらに冗談みたいなシリーズの続刊も刊行されるやも知れません。僕も初めて読んだので、大きな事は言えませんが。もっといろいろな人に、こんなアメコミもあるんだって言う話が伝わればいいな、と思いつつ。

 ……ジャージャー・ビングスって、ほんと嫌われてるんですな、しかし……。

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