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2013.12.17

その日、カイジュウは初めて:パシフィックリム・イヤーゼロ(☆☆☆☆)

パシフィック・リム:イヤーゼロ (ShoPro Books)

 2013年8月、サンフランシスコ。その夏、戦争は始まった。突如深海から現れた、謎の巨大生物・カイジュウが西海岸を襲ったのだ。
 街を破壊し軍隊を蹂躙し、ついには自国への核攻撃と言う最後の手段までも繰り出した果てに、ようやく怪獣は打ち砕かれた。テンドー・チョイ、のちのイェーガー管制官は、この日、怪獣を最初に目撃した人類のひとりだった。怪獣に襲われた、最初の人類の一人だった。
 怪獣の初襲撃、K-デイに始まった、人類苦闘の日々。ひとりの記者がカイジュウ・ウォーに挑む人々を巡り、その記録と記憶を追いかけ始める。テンドー、ペントコスト司令官、そしてヤンシーとローリーのベケット兄弟、のちの物語の主人公となる人々。
 そして記者が辿り歩くのは、未だ語られざる物語。巨人イェーガーの、そしてドリフトの誕生。最初に怪獣を倒したイェーガー、ブロウラー・ユーコンの登場。そしてペントコストとともに東京を救ったイェーガー、コヨーテ・タンゴの、もう一人のパイロットの真実。
 すでに明らかとなった開戦の日へと続く、知られざる戦いの日々の物語。これは怪獣紀元、怪獣元年にはじまる戦記物語である。

 というわけで、パシフィック・リム本編を見ていることが前提ではありますが。アレックス・ロスの表紙もまぶしい、外伝的作品イヤーゼロ、買って読んで参りました。

 映画本編では、すでに人類が怪獣の初襲撃を受けてから、それなりの年月が過ぎたのち。イェーガー達の黄金時代も過去となってしまい、時代遅れの落胤を押されつつある残存イェーガーを掻き集めての、人類最後の反攻作戦が描かれていました。おりおりよく「テレビシリーズのあとの劇場版」などと言われていた所以です。
 そしてこのイヤーゼロでは。当時を知る人に記者がインタビューしていく、と言う体裁で、怪獣の初襲撃から、映画の開始時点に至る、様々な時点の物語を時系列順に追っていく事になります。
 初めて怪獣がサンフランシスコを襲った、Kデイに始まる悲劇。反攻手段を捜し求める人類に持ち込まれたイェーガーと言うアイデア。
 そして、初めてイェーガーが実戦に臨んだその瞬間を経て、イェーガーの実戦配備、アカデミーの設立。ベケット兄弟とジプシー・デンジャーの登場と続き、そのそれぞれに絡みつつ。縦糸のようにペントコスト司令官の物語が進む事になります。
 映画の作中では、かつて日本製のイェーガー、コヨーテ・タンゴのパイロットであり、そのときモリ・マコと出会った事などは語られていますが、その詳細はさらっと流されていました。そもそもイェーガーは二人乗りで運用するもの。コヨーテ・タンゴにはそのとき、ペントコストと、「もうひとりのパイロット」がいたはずです。その人物は果たして……

 あくまで映画を見たことが前提ではありますが。世界観が好きな人、設定を読むとわくわくする人には溜まらない、もちろんイェーガー中毒怪獣中毒になってしまい、2はまだかもっと見せろ、と言う状態に陥ってしまった人にも、強くお勧めのこの一冊。発売したばかりのブルーレイと一緒に、ぜひ揃えて頂きたいと思います。

 個人的には、トラビス・ビーチャムの序文で、「THEビッグオー」に言及があったのが、たまらなく嬉しいところでありました。あの動きとあの重さはメガデウスですよね、そうですよね……!

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