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2014.01.08

振り返ればボブがいる。(★☆)

リンク: 寓話「荒ぶるボブ」 - Togetterまとめ.

 上のまとめを紹介するにあたって、いろいろ前提として必要になる知識があるので、そこを手短に。
 まず上記まとめは、twitterでニンジャスレイヤーを連載している公式アカウント(@njslyr)に掲載された内容の、その一部をまとめたものです。
 ニンジャスレイヤーの公式アカウントでは、本編の連載の他、と言うか合間合間に、書籍版などの関連商品のプロモーションをしたり、予告編を流したり、突然全然違う話が始まったり(大抵はものすごく手間のかかったPRだったり、エイプリルフールネタだったりするんですが)。
 上記まとめの主人公であるボブは、そういう関連ストーリーの主人公です。そして彼は、ネット上に存在する様々なコンテンツのファンの懸念と心理を、ぐっと極端にして、擬人化したような存在なのです。

 その話の中で、ボブと言う人物、たぶん少年が主人公になって登場する短編の連作があります。
 ニンジャスレイヤーを翻訳・連載している翻訳チーム(ただしメンバーは「エルフのせんし」とか「オーディン」だったりする)、彼らの根拠地であるほんやくアジト(そういう名前)の隣に住んでいるのがボブ。

 ボブはニンジャスレイヤーの大ファンであり、同時に翻訳チームが何か新しい試みをするたびに、それに対して不安や懸念を、代理して表明する存在でもあります。
 わけても彼の存在が大きくクローズアップされたのは書籍化前後の時期で、twitter転載が中止になるのでは、有料配信になるのでは、これまで公開されていた分が非公開になるのでは、等々の懸念を抱き、いろいろ余計な探りを入れては翻訳チームに見咎められて。いま懸念に思っている事は杞憂に過ぎない、と宥められる(これを何回となく、いろんなパターンとあの独特の文章で繰り返す)、と言う、そんな役回りを担っているわけです。

 そういえばしばらくボブ見ないな、と思っていたら、久々のボブ更新で登場。ボブ関連の話でタイトルがつくのは、多分これが初めてじゃないかな、と思うのですが。内容はと言えば、なかなかに考え込んでしまう、耳なり頭なり、あるいは心なりが痛くなるようなお話でありました。

 作中でボブが取るような態度は、サブカルチャーであろうがなかろうが、どのようなジャンル、どのような趣味であっても、それに歴史が生じてくれば、必ず何処かで目にするものであります。どこかの趣味で、ボブのような態度に批判的である人が、同時に別の趣味なりジャンルではまさにボブ的な振る舞いをしている、と言う事も、あるいは珍しくないのかも知れません。
 ものによりタイムスケールの違いこそあれ、「昔は良かった」→「今は良くない」→「昔が良くて今が良くないのは、昔の人間(つまり自分自身)が良くて、今の人間が良くないから」というような、昔は良かった的メソッドは。その人が若いか否かも問わず、必ずあるものだ、と思うのです。

 もっとも、知っている趣味の領域で、こういう風合いを感じない、と言うか、弱める事に成功しているところもあると思います。僕の知っている範囲での視点なので、実際は違うのやも知れませんが。
 そういうところは、最古参と言うべきレベルの人が問題意識をつねに持っていて、傾向を緩和するために、常に口に出して手も動かしていて。だからこそ空気の刷新に成功しているんじゃないかな、と思います。

 振り返れば、そこにボブがいるかも知れない。それは鏡に映った自分自身なのかも知れない。ボブを倒したかったのであって、ボブになりたかったのではないのに。
 ラスト辺りの流れを見て、重々。趣味の領域に関しても、気をつけるべきことは実際多い。と。改めて自戒する次第です。

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