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2014.01.26

犬笛と真実。(☆)

 犬笛、と言うものがあります。
 犬の聴覚は人間よりも遙かに優れており、人間に聞こえない音を聞き分ける事もできます。今調べたところでは、犬笛、と言っても必ずしも人間の耳に聞こえない音を発するものでもない、と言う事で。記事のタイトルを犬笛にしてしまったのはうっかり先走りではあるのですが。
 ともあれ、超音波、すなわち、人間の耳には聞こえない音、と言う言葉が存在する、と言う事は、人間は「聞こえない音」がある、と言う事を、理解しているし、納得もしているのだ、と思います。

 日常的に使われている言葉には、赤外線や紫外線と言う言葉もあります。この季節に赤外線は有り難いものですし、夏になれば紫外線は色々な人が気を使う存在となります。いずれにせよ、このどちらも、目に見える事はありません。赤外紫外と言うくらいで、人間の目が見る事が出来る周波数帯の外に、この色、この光は入っていないわけです。

 人間の耳には決して聞こえない音があり、人間の目には決して見えない光がある。
 にも関わらず、自分の目で見たものしか信じない、自分の耳で聞いたものしか信じない、と言う主義の人は、世の中に少なからず存在します。

 作品の決まり文句であり、よく聞くフレーズで、なおかつ自分があまり好きではない一文があります。
 真実はつねにひとつ、と言う、まあ、よく聞くしよく使われる文句ですね。どうしたものか、自分はこの一文がどうにも昔から好きになれず、それはどうしてなんだろうか、などと、以前から頭の中でだいぶん捻くり回しておりました。

 言いたい事の概念はシンプルです。真実はつねにひとつ。いろいろ考えた挙げ句。原理的には、これは正しい、と。自分も納得するに至りました。
 ただし、補足事項を付与して。「その日、その時、その人において」と言う、補足をつけた場合においてのみ。真実は、つねにひとつである。と。

 これが世間一般の概念と合っているかどうかは解りませんが、事実と真実とを、この際分けて考えてみたいと思います。
 事実とは、そこで実際に起きたなにごとかの一切合切。誰も見る事も聞くことも出来なかった、超音波や電磁波まで含んだ、切り取られた何か。
 ただし、それをそのまま見る事は、誰にも出来ない。なぜなら事実を見る人間には心があり、心とは、必ず歪んだレンズだからです。歪んだ心が事実を見た時、事実は歪み、そこに真実が生まれる。
 真実は、解釈された事実。見た人の感覚器と心の限界に削り取られ、歪められた、あるいは補正された後の事実の姿。それゆえに真実はそれを見た人によって異なるし、それを見た人自身の心の中でも、耐えず変更され、修正され、補正されていく。
 言い方を変えれば、事実とはレシピであり、真実とはそのレシピで作られた料理だと言ってもいいでしょう。
 レシピを食べる事はできません。そして作った人にとって(多少の留保はあるかも解りませんが)その料理は、レシピ通りの料理なのです。

 カメラは真実を写す、と言うのも、この話題の派生のような気はします。写真はカメラが写すのではなく、カメラを持つ人が写す。熟練された手と優れたカメラは、使い手の心のままに現実を切り出す。
 それは無味乾燥な事実の引き写しなどではなく、持つ人の心で彩色された真実であって。だからこそ、いい写真はいい写真なのです。撮りたい、と思う心が生み出した真実なわけですから。

 「真実が明らかとなっていない」とか、「真実を明らかにしてほしい」と言う言葉もあります。悲痛な願望だと思います。
 しかし、その言葉が求めるものを考えるとき。気持ちは痛切に理解できるものの、原理的に叶えられる事のない願いなのではないか、と思うこともあるのです。真実のもっとも重要なファクターは見る人の願いであり、このような場合の、真実が明らかになる、とは、しばしば願望通りに物事が推移する、それを期待している事を現しているのでしょうから。

 真実はつねに一つなのでしょう。その日、その時、その人の心の中においては。
 明日になって、耳が新しい事を聞き心働きが変われば、昨日の真実は都合良く棄却され、新たな真実がその人の心の中に芽生えるのでしょう。つねに一つの真実が。

 真実必ずしも真ならず。そういう存念を持ちたいものだな、と思います。

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