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2014.02.10

王子の苦悩、王子達の苦闘:マイティ・ソー/ダークワールド

リンク: マイティ・ソー/ダーク・ワールド | Thor:The Dark World | 映画.

 神々の世界は、ようやく平穏を取り戻そうとしていた。
 偽りの神ロキの陰謀により、翻弄されたアスガルドとミッドガルド。二つの世界で起きた、二度に渡る大事件の余波は、この宇宙を構成する九つの世界すべてを乱したが、雷神ソーと彼の率いるアスガルドの神々の尽力は、ようやく世界に秩序を取り戻しつつあった。

 元凶たるロキを捕らえ、世界の混乱を収めた王子。息子ソーの成長に満足し、神々の王オーディンは王座を譲る事を考え始める。だが、ソーの心を捕らえていたのは、ロキとの戦いの最中に出会った、遠く離れた世界に住む人間の女性。愛するジェーンの面影だけだった。

 しかし、そのジェーンがミッドガルドの…… ロンドンでの異常現象を調査している最中、事件が起こる。起きるべくして起きたその世界の異常は、遙か古に追放されたアスガルドの敵、ダークエルフの軍勢が、悠久の昔より待ち望んでいたものだったのだ。

 かくて、首魁マレキスを中心に、スヴァルトアールヴヘイムの軍勢が帰還し、アスガルドへの攻撃を開始する。
 ジェーンを巻き込みながら、再び始まった神々の世界同士の戦い。光と闇の神々、磨り潰すような破滅を伴う、世界同士の全面戦争が始まろうとする中。ソーは最も信用のならない敵に手を差し伸べる。
 雷神ソーと、偽りの神ロキ。いがみ合い憎しみ合う神々の兄弟の戦いの果てにあるものとは。そしてアスガルドとミッドガルド、すべての世界を巻き込み進む、神々の戦いの行く末は……。

 というわけで、実は一週間も前に見ていたのですが。ようやく感想を書いておりますマイティ・ソー2。
 前作マイティ・ソーで初登場し、アベンジャーズでの結集を経て。ソーの登場作としては三度目、主演作としては二作目となる続編であります。いや、これはいい作品です。娯楽アクションとして手堅く面白さを固めてきた上に、シリーズの上で脈々と続いてきた、ソーと、宿敵ロキの「アベンジャーズの後」の話を、しっかりと踏みしめて書いてきています。
 アイアンマン3もそうですけども。大盤振る舞いのアベンジャーズを一回やってしまうと、どうしても、さらにそのあとの作品は、個別のヒーローの物語であるだけに、緻密に描くことはできても、絵柄的には地味に思われがちだと思います。
 見かけの派手さのインフレを一回起こした後は、そりゃあ大変だろうと思うのですが、アイアンマン3はそこをアーマー総進撃って言うもっと派手な演出と、トニー・スタークの生身のアクション、と言う方向を切り出した、と思うのです。
 そして今作のソーですけども。おれぞれの戦い方の個性を前面に出しつつ、生身の…… とはいえ、それは神々の生身の…… 肉体の迫力と斬り合い面白さを出してきて、そこで面白さと、アクションの華美さを担保しているのだと思います。
 ソーとロキの、それぞれの戦い方の差異もさることながら、ソーの部下である三勇士(一人お休み状態ですが……)と、盾の女神シフといった脇役達にも、それぞれスポットどころかきっちりと見せ場が作ってあるのが嬉しいところ。中盤のあたりは次々に場面の主役が変わる、目を離せない見せ場であります。前作のマイティ・ソーでは、どうしても派手な、というか、いかにもなアクションが、冒頭のシーンだけで終わってしまった感があるだけに。頭から尻尾までアクションがぎっしり詰まった今作は、もう素直に嬉しい構成です。

 話の本筋は、神々の戦いではありますが、むしろ、王家の物語、王家の争い、と言う風に理解したくなる感じ。
 神々の世界の指導者同士の戦い、ひとつの王冠を争う二人の王子、ソーとロキの相剋。さらには王子のソーと父たる王オーディンとの対立、その原因となるジェーンとソーの身分違いの恋。
 こう書くと、すべて神々の世界を中心の物語で、人間が関与していないようにも思えてきますが、人間達も、もちろん物語の中で重要なウェイトを占めています。そして主に彼らの搭乗するシーンで発揮されるのが、予想もしないユーモア性。
 アベンジャーズにも搭乗したセルヴィグ博士が初登場するシーンなんかは、すでにもう吹き出すを通り越して口ひらきっぱなしになる感じですけども。ところどころの要所で、主に人間達の登場シーンで。あくまで真面目なのにどうしてそうなるんだ的なシーンが挟まって。重厚さ漂う本編のストーリーと、うまく緩急をつけている印象になっていると思います。いやでも僕は大好きでこれくすくす笑ってたんですけど、これ駄目な人はひょっとするとふざけすぎって思うかも知れませんね……。最後に戦線復帰するあたりの下りとか特に……。

 そんなこんなで。前作ソーとアベンジャーズを見ておいたほうがいい、とは思うものの。アクション作品としても緩急つけた展開としても非常に手堅く面白く。アベンジャーズ2へのトスも確実に出してきた感じの、固い作りの娯楽作品と言う感じのマイティソー2でありました。
 ハンマーが飛び交う大乱戦は3D映えしますし、とにかく全編バランス良くアクションシーンが織り込まれている感じですので。ソーを見て、確かあれちょっと地味だったな、とご記憶の方も。是非に、と思います。

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