ガンマ:ヒーローと悪とが日常と化した世界で(☆☆☆☆)
近未来の日本、次から次へと現れる怪人怪獣秘密結社に、毎日毎週平和が脅かされている世界。
しかしもちろん、世界を守るヒーロー達が立ちはだかります。それも割と沢山。アルトゥロマンやロックレンジャー、魔法少女ミカちゃんなどなど、方向性も規模もまちまちな、有名無名の幾多のヒーロー達が、地球防衛軍のバックアップのもと、それぞれに、あるいは協力し、悪と戦い続けている世界です。
しかし、現実には過酷な一面もあります。ヒーローを続けられる競技人生は、短くて1年、長くても5年。たとえ悪に勝利したとしても、力を失ったヒーローは、次々と現れる後続にその座を譲り、静かに花道を去って行くのです。かつて己がヒーローであった、と言う矜恃を、心のどこかに置き忘れたままで。
そして主人公はと言えば、地球防衛軍の相談課で働く姉妹。かつては地球最高のヒーローだった妹と、その姉の二人の目を通して。様々な悩みと苦しみを抱えて、生き、戦い続けている、現役の、あるいは現役を退いたヒーロー達の姿が描き出されていくのです。
ヒーローものの枠に準拠して、ヒーローの姿を描きながら、少し視点をずらして、彼らの戦いに加えて、戦う彼らの気持ちの揺れを描き出す(そしてその中で、主人公達を巻き込みながらメインストーリーの陰謀が進んでいく)と言う、基本フォーマットもさることながら。
作中でまるで何気ない事のように語られる、「ヒーローと悪の戦いが、日常化してしまった世界」のありよう、自分達が生まれる前から、ずっとそうだった世界に暮らしている人たちが、思わず口にする言葉に。この世界にがっしり向き合って描いている、と言う、独特の力強さに感じ入った次第。
そんなこと言ってるうちに、3巻ももう出てしまいましたけども。これは末永く続いてほしい、興味深い一作だと思います。
特撮ヒーローものが好きな方、あるいはアメコミ好きな方にもぜひひとつ。です。
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